110話 精神と肉体の乖離
がたがたと車輪を揺らして、馬車が街道を移動していた。
現在は、セリア達と馬車の護衛をしている最中だ。
道中では、そこそこの頻度で荷物を積んだ馬車とすれ違っている。
この事から、物流が活発であると窺い知れた。
どうやら、グルニカは確実に復興への道を歩んでいるようである。
「うわっ!」
突然、御者の驚くような声が聞こえてきた。
そして、すぐに馬の嘶きが聞こえると馬車が止まる。
前方を見ると何匹かの魔物がいた。
早速出やがった。
馬車から降りると、セレナが馬車から飛び降りて疾風の如く魔物達に向かって行った。
相変わらず速い。
「達也は空から来る魔物とセレナの援護をお願い。私は馬車を守るわ」
「了解した」
セリアは馬車の前に陣取るように待機する。
乗客の護衛をするために、あらかじめ決めていたフォーメーションだ。
俺はと言えば、見通しの良い場所から狙撃するため馬車の上によじ登っていた。
本日初公開の2連装強化ボウガンを食らわせてやるぜ。
そういえば、レベルと装備の公開をしてなかったな。
今の俺はこんな感じだ。
日坂部達也 年齢18
冒険者レベル18→21
HP95→110
MP0
力85→100
魔力0
体力85→100
速さ90→105
命中180→220
装備
ベレッタMODEL92(攻撃力100)9mm×19mmブラックタロン(ホローポイント弾)×15発
2連装強化ボウガン(攻撃力100×2)
矢筒 鋼の矢×50(攻撃力30)
ロングソード(攻撃力10)
ナイフ(解体用)
革のラウンドシールド改(防御力30+10)手裏剣(攻撃力20×10)
革の鎧改(防御力40+15)投げナイフ(攻撃力50×3)
ポシェット 火炎瓶×3 ソーン(最高品質)×10 特効薬(最高品質)×5 毒消し×5
ジッポライター
まきびし
リュック
お金
102,911,000グルニカ
アイテム
ソーン(最高品質)×10 矢筒(木の矢×3 鉄の矢尻の矢×40 鉄の矢×50)
皮のマント 弦(予備) コッキング紐 水筒 (水) 皮袋大(蒸留酒) 小型ハンマー(採取用) なめし皮の風呂敷 真珠×20
在庫
革のヘルメットランプ(防御力10) ナイフ(採取用)
POINT 2
GUNBOX
BENELLI MODEL 3(攻撃力50×15)12GAUGE(00バックショット)×7
HK417D(攻撃力600)7.62mm×51mm(フルメタルジャケット弾)×20
ダネルMGL(攻撃力500)40mm×46mm(HE弾)×6
FIM92 STINGER(攻撃力3000)70mm×1520mm(地対空ミサイル)×10
9mm×19mmブラックタロン(ホローポイント弾)×20
12GAUGE(ライフルドスラグ)×7
12GAUGE(BBバードショット)×4
12GAUGE(00バックショット)×10
7.62mm×51mm(フルメタルジャケット弾)×24
40mm×46mm(HE弾)×6
40mm×46mm(HEDP弾)×6
M67 FRAGMENTATION GRENADE(攻撃力1000)×3
M84 STUN GRENADE×2
VICTORINOX SOLDIER(アーミーナイフ)
NIGHT VISION ATN PS15-3I FOM 1400(暗視ゴーグル)
COMBAT RATION(戦闘糧食)×115
NEW EQUIP
2連装強化ボウガン
鋼の矢
FIM92 STINGER
70mm×1520mm(地対空ミサイル)
まずは、レベルが20で貰える兵器の紹介だ。
そう、スティンガーである。
これは携行地対空ミサイルだ。
地対空ミサイルとは、地上から空へ向けて撃つ対空ミサイルの事だ。
速度2200kmというスピードで飛んで行き、飛行している物体を破壊する。
最大射程は8kmで最大射高は3.8kmだ。
こいつには画像赤外線誘導という追尾装置が装備されている。
赤外線を形として認識することで、目標を画像としてロックするので命中率が飛躍的に向上している。
これで、俺から空を飛んで逃げるという事は事実上不可能だろう。
音速の2倍で飛翔する魔物なんて、さすがにいないだろうからな。
しかし、航空目標を撃破するために作られた兵器だからそこまで威力はない。
それでもミサイルであるため1kg以上も炸薬を積んでいる。
当然ながら、威力は拳銃など比較にならない。
貰えたミサイルの数が10発と驚いたがポイントでの交換ができないようだ。
つまり、使い切ったら終わりだという事なので、ここぞという時に使おう。
ポイントでグレネードのHE弾6発とライフルの弾10発を交換した。
次に、通常装備の紹介だ。
新装備として2連装強化ボウガンと鋼の矢に換装した。
当然ながら攻撃力が格段に上がった。
店での購入はこれ以上はないので、ボウガンによる攻撃力上昇はここまでだ。
アイテムは火炎瓶用に蒸留酒を持ってきた。
ただし、セリアの前では火炎瓶の使用を自粛しようと思っている。
親父の例もあるからな。
お金の方は1億グルニカと凄い事になってしまった。
200万エルくらいを50倍で交換したのでこうなってしまったのだ。
やりすぎてしまっただろうか?
そういえば、セリアが渋い顔をしていたな。
ふひひ、さーせん。
ギルドで預ける事ができるので預けておこう。
20レベルからステータスの命中の上昇率がさらに上がった。
すでに、精神と肉体の乖離が気になっている。
反応速度に体が追いつかないため、かなりもどかしい状態で戦っている。
俺はどうなってしまうのだろう。
セレナが疾風の如く魔物を斬り裂いていると、飛んでいた魔物がセレナの上空で滑空する。
そこをすかさず狙い撃ちして撃ち落とす。
そして、戦闘の方はあっという間に終了した。
まあ、セリアとセレナが居るので戦いになるわけがないのだが。
その後も、何度も魔物に襲撃を受けたがすべて撃退した。
魔大陸とやらは地上ですら安全な場所は無いらしい。
御者のおじさんの話しだと、昔はここまで頻繁に魔物は出没しなかったそうだ。
少し前に魔物達に一気に押し切られてしまったそうで、近くのダンジョンからも魔物が溢れ始めてしまってこんな状態になってしまったのだそうだ。
もっとも、勇者バッカスの活躍により最低限は盛り返したそうなのだが。
最初は護衛任務をやった事がなかったから、少し不安だったんだよね。
だけど、セリア達とのコンビネーションはばっちりだった。
パーティを組んで戦った経験が活かされているようで良かった。
道中における乗客の安全は完璧に近い状態だった。
襲ってきた魔物達は馬車に近づく事すらできなかったくらいだからな。
約束したハッサンの町まで無事着くと、護衛の報酬を受け取る。
御者のおじさんは俺達の仕事に大変満足していたようで、次からは護衛の仕事をすぐに請けられるようにしてくれるそうだ。
やったね。
護衛の仕事はセリアの冒険者ランクが高いから請けられたんだよな。
俺だったら、護衛をすると言ったところで門前払いだ。
冒険者ランクは早く上げておこう。




