表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
超えて行く者(異世界召喚プログラム)  作者: タケルさん
第三章 超えて行く者
110/225

109話 為替で儲けろ

 ここは、魔大陸南端にあるミューズの港だ。


 何事もなく、魔大陸と呼ばれるグルニカ大陸へ到着していた。

 

 「ふへえ! ここが魔大陸か」


 「たっつんたっつん! あれ見て! 大きいねぇ」


 「ほら、セレナ。他の人の迷惑になるから、はしゃぐのは後にしなさい」


 セレナが興奮したように俺の手を掴むとブンブン振り回す。


 入港してきた商船は三本マストの大きな帆船だった。

 どうやら、セレナは入港して来た大きな商船がお気に入りらしい。


 セリアはいたって平静なようで、いつも通りセレナの面倒をみていた。



 港町の風景は想像していたよりも活気があった。

 しばらく前には陥落寸前だったとは思えない程の賑わいで、喧騒まじりの笑い声が聞こえ商船が次から次へ入港していた。


 まずは、お金の交換をしてしまおう。


 この世界には3大紙幣があるんだ。

 大陸の名前から、グルニカ、エル、モンドである。


 そして、ここからはグルニカという単位の紙幣に変わるので交換しないといけない。

 面倒なんだけど、内地に入ってしまうと紙幣間の交換はしてくれないんだよね。

 普通は、その国の紙幣と金貨などの共通硬貨しか交換できないんだ。


 しかし、為替としては今がチャンスらしい。

 魔大陸が壊滅寸前だったため、グルニカ紙幣が紙くずみたいな価値になっていたとのこと。

 一時はエルとの交換レートが250倍までいったそうだ。


 ちなみに、現在の通貨価値の差は50倍である。

 1エルで50グルニカと交換できる。


 持っているエルの紙幣をすべてグルニカへと替えた。


 ふへへへ、大儲けじゃあ!


 嬉々として全額交換する。

 ふと隣を見ると、セリアが何か汚い物を見るような目でこちらを見ていた。


 まずいぞ? 俺のクリーンなイメージが……

 なんとか誤魔化すのじゃ!


 「いや、これはだね、経済学における地政学的見地に基づいてだね……」


 しかし、セリアはあきれたような顔をすると、弁解している途中で何処かへ行ってしまった。

 しくしく。


 まあ、しょうがない。


 ほとぼりが冷めた頃を見計らうと、セリアに話し掛ける。


 「セリア、この後はどうするんだ?」


 「まずは冒険者ギルドへ行ってみましょう。ギルドがしっかりと機能しているのかを確認しておきたいわ」


 ミューズの港にはギルドが無かった。

 ギルドのあるハッサンの町へ移動するため、馬車乗り場へと向かう。


 馬車乗り場の近くまで来ると、なにやら喧騒が聞こえてきた。

 何かの騒ぎだろうか?


 「馬鹿野郎! 今が稼ぎ時なのに護衛がいないだと? てめえは何をやってたんだ?」


 「そんな事を言われてもな。この港が危なかった時に契約していた冒険者達がこぞってエル大陸へ戻ってしまったんだ。しょうがねえだろ?」


 馬車の御者と乗り場の管理者らしきおじさんが言い争いをしていた。

 どうやら、馬車の護衛がいないらしく出発する事ができないみたいだ。


 魔大陸はエル大陸と違って地上でも魔物が出現するため、馬車で移動する時は必ず護衛が必要なんだ。


 「セリア? どうするんだ?」


 「どうするも、チャンスじゃない」


 セリアはそう言うと、言い争っている御者達の傍に向かっていった。


 何をするのかと見ていると、セリアが冒険者カードを御者達に見せていた。

 それを見た御者と管理者らしきおじさんが驚いた表情をすると、契約がなんやらと難しそうな話しを始めた。


 少し時間が掛かりそうだな。


 「セレナ、お腹すいたのぅ」


 じっとしているのにあきたのか、セレナがぐずり始めた。


 コンバットレーションからビスケットを出すとセレナに渡す。

 セレナは嬉しそうに受け取るとリスのようにかりかりと食べ始めた。

 心が癒されるなあ。


 可愛いらしいセレナの頭を撫でながら、セリアの話しが終わるのを待つ。

 セレナは食べ終わると満足したのか、俺の腕にしがみついて甘えていた。


 しばらくすると、何かの契約書にサインを書いていたセリアが戻ってきた。


 「話しは付いたわよ。護衛の仕事を引き受けてきたから」


 どうやら、俺達が馬車の護衛をするらしい。

 馬車の代金を払うのではなく、逆にお金が貰えるとはさすがは守銭奴のセリアだ。


 「さすがは守銭奴のセリアだ、いだぁあ!」


 セリアに槍の柄で足の甲を突かれた。

 どうやら、途中から声に出ていたらしい。


 「セリアちゃん怖い」


 腕に抱きついていたセレナがふるふると怯えていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ