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コロシタノダレ ~黒幕の脅威と地下学園脱出~  作者: まつだんご
―エピソードⅣ― 「裁判枠と冷凍人間」
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第三十五話 『 切札枠 』

 運命を左右させるくじ引き!?


 何処か見覚えのない建物内にて監禁された老若男女30人。彼らはプレイヤーと呼ばれ、強制的に脱出ゲームに参加させられてしまう。ゲームの詳細を聞いた30人がこれから行う取り決め。大広間に集められたプレイヤーがくじ引きを行い、枠ミッションと呼ばれる脱出条件を分配する。30人目の被験者である神崎夏男をトップバッターにして被験者ナンバー順に悪夢のくじ引きを行う。


 重い足を一歩ずつ前へ進める。くじ引きの箱の前に立って深呼吸。


『くじびきは1枚だけ引いてね。2枚引いたら反則だからなー』

「…………」


 くじ引きBOXに手を突っ込む夏男。中に入っている何十枚かの紙を確認してからそれを指でシャッフルする。緊張しているのだろう、なかなかくじを決められないでいる。


『何が出るかなー何が出るかなー★』


 くじを一枚選んで掴み取り、箱から手を出す。


『はーい、まずはチュリに見せてみなさーい』


 言われた通り折りたたまれたくじの中をチュリに見せる。確認が済んだチュリがオッケーサインを出してその場を後にする。振り返ると他のプレイヤー達が夏男の顔をじっと観察している。


 夏男はまだ何の枠を引いたのか見ていない。他のプレイヤーに注目される事が分かっていたので、表情からボロが出ないようあえて見ないでいるのだ。プレイヤー達の横を通過して背後に回ってから辺りを確認する。


 プレイヤー達の注目は夏男に向けられたままだ。この時先程チュリぞうが忠告していた言葉を思い出す。


 『オ前ラに一つ忠告しておくけど、ゲームに参加するしないに関わらず、安易に自分の提示されたミッションを口外しない事をお勧めするよ』


 此処は素直に信じておいた方が得策だと判断した夏男は一旦大広間を後にする。


『次ー被験者29番、青田向日葵』


 大広間を後にした夏男は、廊下に入って自身の個室付近で足を止める。辺りを見回してみるが誰もいないみたいだ。


 静かにくじに書かれた内容を見てみる。一見すると汚い字でまとめられている夏男の枠ミッションとその内容は以下の通り。


――――――――――――――――――――――――――――――


 あなたは〝切札枠〟を引いた。

 こちらは当たり枠になるんだ。

 むかつくけどおめでとうって書いておく。

 おめでとう。


 さっそく切札枠の説明をしてやる。


 切札枠とは全ての枠内容を知る事になる。

 その上で自分の立位置を自分で決めてもらう。

 つまり、他枠のキーパーソンに成り得る枠なんだ。


 他のプレイヤーに渡される枠ミッション内容は以下の通り。


 ★殺人枠(全7人)

 二人以上のプレイヤーをあなたの手で殺害してくれ。

 殺害方法等は問わない。息の根を止めれば何でもオッケー。

 しかし、ただ殺せば良いってものじゃない。

 他のプレイヤーにバレないように殺す事を条件とする。

 二人以上殺害してから他プレイヤー死体発見後72時間経過するまでの間に犯人である事がバレなかったらミッションクリア。


 ★裁判枠(全8人)

 ゲーム中に殺人事件が起きた際にミッション開始となる。

 あなたは裁判員の権力を得、犯人を暴く必要がある。

 特に注意してもらいたいのは殺人を犯してミッションクリアしてしまう殺人枠の連中だ。

 殺人事件による被害者の死体を、他プレイヤーが発見してから72時間以内に犯人を決めなさい。

 容疑者に決定された者が犯人であろうがなかろうが、処刑を定めとする。

 30日間殺人枠をミッションクリアさせなかったらオ前ラがミッションクリアだ。


 ★脱出枠(全5人)

 あなたは脱出ルート内にある宝箱を5つ集めなさい。

 脱出ルートの場所は探せば見つかるだろう。

 プレイヤー同士の間で小競り合いがあろうともそれを無視して、ひたすら探しなさい。

 30日以内に5つの宝箱を見つければミッションクリアだ。

 ただし気を付けてくれ。宝箱には限りがあって合計20個しかない。

 早いうちに他の脱出枠プレイヤーを殺してしまうのも一つの手かもね。


 ★裏猫枠(全3人)

 あなたはゲーム中〝猫〟になって下さい。

 1~15日目は裁判枠か殺人枠を選んでもらう。

 16~30日目は植物枠か脱出枠を選んでもらう。

 選んだミッションを両方クリアすればミッションクリア

 占いの力を持っている枠があるので、何に化けるかが重要。

 更にあなたが裁判員に犯人だと決定され、処刑が決まった時点でもミッションクリア。

 当然処刑はされません。


 ★黒幕枠(全3人)

 あなたは黒幕サイドに仲間入りしたぞ。

 なのでこれから宜しくお願いする。

 主な詳細については本日午後23時に食堂へ来てくれ。

 その時間の間は就寝時間で出入りは禁止されているけど、問題ない。

 オ前ラは既に黒幕サイドの人間なんで罰など存在しないのだ。

 では、23時に食堂でお会いしよう。


 ★植物枠(全2人)

 あなたはそのうち植物人間になってくれ。

 分かりやすく言ったら死体に化けてくれ。

 あなたはダレカに殺されたフリをすれば良い。

 あなたが死体と認められ、最後までバレずにゲームを終えればミッションクリア。

 本日の就寝時間にいつでも死体に化けれるよう、特殊メイク道具一式を持っていく。

 なかなか難易度の高いミッションになるけど頑張ってくれ。


 ★人造枠(全2人)

 あなたは高橋未来ともう一人の未来と枠ミッションを交換しなさい。

 ゲーム開始から24時間以内に交換出来なければ処刑します。

 交換が完了したら、あなたはその交換した枠ミッションに従いなさい。

 交換された高橋未来ともう一人の未来の枠ミッションは〝未来枠〟になる。

 未来枠とは、特殊なもので一夜に一人占う事が可能だ。

 占われた者は何の枠ミッションなのかバレてしまう。

 つまり、殺人枠にとってはかなり厄介な相手になるという事だ。

 あなたが交換した枠ミッションが殺人枠なら……殺しちゃいましょう。


 枠ミッションの種類と説明は以上だ。


 あなたが今後どう動くのかチュリは楽しみにしてるからな★

 ちなみにあなたのミッションクリア条件は現時点では内緒なのだ。

 死ぬんじゃないよ。



――――――――――――――――――――――――――――――


 自分の枠ミッション内容を理解した夏男……


「な、何だよこれ……まるでコロシアイゲームじゃないか」


 くじを思い切り握り締め、涙を流す。くじに書かれた内容を読んでいた夏男は、気が付いたら自分の個室に居た。


「ふざけんなよ……ふざけんなよ!!!』


 全速で大広間へ引き返す。その道中すれ違うプレイヤー達が個室へ向かって走っていた。夏男の横を通り過ぎる高橋。


「おい、お前何処に行く!?」


「早く部屋に戻って!」


「何?」


 大広間の方からからチュリぞうの声が聞こえる。


『はーやくしないと爆発するよーーん★』


「くじ引きは終わりました。それと同時に爆弾が爆発すると言い出してカウントを始めたんです。各自一旦部屋で待機するよう命令されました。君も早く自分のネームプレートが貼られた部屋に行って下さい!」


 そう言って走り去ってしまう高橋。他のプレイヤー達も各自部屋に入る。


『15、14、13、12、11……」

「ちくしょおおおおお!」


 個室には行かずに大広間に向かって走る夏男。


「はあはあはあ……」

 奴の狙いは俺達を拡散させる事だ!――だが今みんなを一人にしてしまう状況は危険過ぎるんだよ、ちくしょうっ!


 大広間に到着した夏男。しかし……


 大 広 間 に は 誰 も い な か っ た 。


 ゲーム内容を知ってしまった、ただ一人の切札枠である夏男の零日目。


 これからどう動く!?

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