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コロシタノダレ ~黒幕の脅威と地下学園脱出~  作者: まつだんご
―プロローグ― 脱出(本章)
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第三十ニ話 『 大広間集合 』


 暴れ狂う女を止めろ


 学園の寮のような場所で目を覚ましたプレイヤー達。彼らが此処で目覚めた理由も、外へ出れない状況にも心当たりが無い。そんな状況下でさっそく一人の女が暴れ狂ってしまう。彼女は部屋の入り口でナイフを振り回し、他のプレイヤーらが近づけぬよう脅している。


 近づいたら殺す。そんな彼女の部屋に訪問してしまったのは主人公である夏男の部屋を訪れた篠原由香里だ。ナイフを振り回す女の足元で倒れ込んで涙を流している。


「お前らが考えてる事なんてお見通しなんだよイカレ共。無防備なウチを殺そうとしているんだろう。でも残念だったな、ウチは自分が生き残るためなら手段を選ばない!」


 その言葉を聞いた由香里は涙を拭い、ナイフを持つ女から逃げる。


「篠原さんくそっ」


 夏男の呼び掛けを無視して走り去ってしまう。


「フ、フフフフフ。どうだ恐れ入ったか。今度ウチの前に現れたら今度は確実に刺してやるからな、覚えておけ!」


 そう言い捨て個室の扉を閉めてしまったナイフを持つ女。その部屋の扉に貼られたネームプレートには【松本蕎麦子】と書かれている。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 重要人物 松本マツモト 蕎麦子ソバコ(16)

 女性 身長165cm 体重45kg

 いつも髪の毛グシャグシャに地味めな服装

 護衛用にバタフライナイフを所持

 自分が生き残るためなら手段を選ばない

 8人目の被験者(初登場)

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


 由香里を追いかけた夏男。彼女は建物の隅でひどく脅えていた。


「ガタガタガタガタ……」


 他にも駆けつけてくれた人物がいる。その人物は男性、黒いロングコートに黒のハットを被った人物。


「怪我は無いかい?」


「は、はい」


「一体何が起きたんだ。あの女、殺される前に殺すって言ってた」


「ガタガタガタガタ……」


 周りを見渡す夏男。数人の人物が今の光景に驚きを隠せないでいる様子。夏男の脳裏に嫌な予感が過ぎる。


「あ、あんた。どこの誰だか知らないが、此処が何処だから分からないのか?」


「俺も君達と同じ状況だろう、気付いたらこの建物の個室で眠っていた」


 男の話を聞いている最中、何かに気付いた夏男はそれに向かって走り出す。そこは幾つもある個室のドア。


「ネームプレート」


 急いで自分の眠っていた個室のドアを見てみる。ネームプレートが貼られていて、それには【神崎夏男】と書かれていた。


「まさかこれって」


 再度辺りを確認する夏男。今度は個室の数を数えているようだ。


「三十二……いや、この部屋は何だ。部屋の向かいにも似たような部屋があるが」


 その部屋の入り口のドアには【エスケープ・ルーム】と書かれている。エスケープルーム向かいに存在する部屋もどこか不気味な雰囲気が漂うものだった。先程自分の名前が書かれた部屋に置いてあった電子手帳を開いてみる。


 ――【電子手帳030号】と表示され、その下に被験者『神崎カンザキ夏男ナツオ』と表示。


「被験者……30人……ま、まさか!」


 此処に閉じ込められたであろう人数、その合計三十人以上ということか。此処の部屋のネームプレート。それぞれに名前が書かれている。その数三十。つまり、俺を含めた30人が今この非現実的な目に遭っている……30人が閉じ込められている!?


 走り出す夏男。出口へ通じると予想されるシャッターの前で立ち尽くす。


「い、イタズラにしてはちょっと……」


 自分の置かれた状況に気付いたのか、拳を握り締め体が震え出す。


「やり過ぎじゃないか。何処のどいつの仕業か知らないがどういうつもりだ。俺を此処から出しやがれ!」


 神崎夏男に近づく一人の男。カツンカツンと足音を立てながらゆっくり近づいて来る。


「さすがは未来の名探偵。早くもこの状況を把握したみたいだね」


「あんたは?」


「俺の名前は【赤西堅也】。夏男君とは協力していきたいと思っている」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 重要人物 赤西アカニシ 堅也ケンヤ

 男性 身長171cm 体重61kg

 黒のロングコートに黒のハット着用

 黒幕サイドに【例の男】と呼ばれているが詳細は不明

 舞園創と石川ナツの2ショット写真を預かっている

 29人目の被験者(第十二話初登場)

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「どうして俺の名を知っているんだ?」


「こいつを見てくれ」


 赤西がポケットから取り出したのは、先ほど部屋で見つけたIDカードやメッセージ用紙と一緒に置かれていた携帯電話サイズの電子機械。


「君もこれを部屋で発見しただろう。ちょっと貸してくれ」


 言われるまま電子機械を赤西に渡す夏男。何をするのかと思えば赤外通信。


「これで良い。こうやって互いの機械を赤外線で送受信すると個人情報を交換する事が可能だ」


「個人情報の交換?」


 赤西は電子機械の画面を指でタッチしてそれを夏男に見せる。


 『FRAMEフレーム DEADデッド GAMEゲーム プレイヤー名簿』


 電子機械の画面に写り出されたのはプレイヤー全三十人の個人情報等が観覧出来る名簿。どうやらこの電子機械は此処に要る人物ら全員に配られ、それぞれの身長や体重から始まる細かな情報を観覧出来るみたいだ。そのためには赤外線で互いの個人情報を交換しなくてはならない。


「この機械は〝ペル〟と呼ばれる電子手帳で、こいつは情報を仕入れる際に使える便利な機械なんだ」


 画面を見直してみると、三十枠のうち、二十九人目の覧に赤西堅也の情報が載っていた。


「つまり此処に居る全員と赤外線で個人情報を送受信すれば、この画面の空欄が全て埋まるという事になる」


「なるほど」


 画面を指でスクロールしながら何かを考えている様子の夏男。


「やはり此処で閉じ込められていると思われる人数は30なんですね」


「多分な」


「ペルでしたっけ。こいつの使い方は分かりました。でもどういう訳でしょう、赤西さんでしたっけ。内情を知っているのか何なのか、この機械にお詳しいじゃありませんか」


「…………」


「ペルですか、変な名前ですね。しかしまぁよくご存知で?」


「悪いが今は何も話せないんだ。とにかく俺は此処から抜け出す事を優先に行動していきたい。そのためには君にも協力をお願いしたいのだが……」


「…………」


「すぐに信用してくれとは言わない。君もすぐに自分の置かれている状況を全て知る事になるだろう」


「どういう意味です?」


 廊下に取り付けられた時計を見て時刻を確認する赤西。


「そろそろ奴の方から現れるであろう時間だ」


「え?」


 夏男も時刻を確認する。ただいま午前午後不明の7時50分。先ほど夏男の部屋で見つけた黒幕からのメッセージによると、午後8時にゲームの詳細を伝えると書いてあったが、その事であろうか。


「なるほど。この時計が午後7時50分であるなら、残り10分でゲームの詳細やらを説明しに何者かがやってくるって事ですね?」


「ああ」


「篠原さんの様子を見てきます」


 警戒心が解消されないまま、赤西から離れる夏男。酷く怯えていた篠原由香里の元へ引き返す。しかしどういう訳か、先程由香里が腰を下ろしていた場所に戻ってみたが、彼女の姿が見当たらない。辺りを見回すが、何処にも居ないようだ。


 きっと自分のネームプレートが貼られた部屋に戻ったのだろうと篠原由香里の部屋を探してみる。探索中にすれ違った道着を着た【丸坊主の男】との初対面。眉間にシワを寄せてこちらを睨み付けて来る。思わず彼に話し掛けてみる夏男。


「おい」


「あん?」


「あんたは此処が何処なのか知らないか?」


「うるせーよ」


「は?」


「知ってたらどうだって言うんだ、あん!?」


「えっと……俺、アンタの気に障る事とか言ったか?」


「目障りなんだよ」


「あーそうかい、馴れ馴れしく話し掛けてすいませんでしたっと」


「ちっ!」


 そのまま歩き去ってしまった丸坊主の男。奴は何者なんだ?


 少し歩いた先で篠原由香里のネームプレートが貼られた部屋を見つけた。とりあえずインターフォンを鳴らしてみる。


 ピンポーン。


 反応は無い。


「篠原さんいない?――何処行っちまったんだ」


 とその時、午後8時をお知らせするチャイムが建物中で響き渡る。キーンコーンカーンコーン。


「チャイム。午後8時になったのか」


 辺りを警戒している夏男。周りに人は居な……居る。一人、女が目の届く位置に居る。


 ピーー。校内放送。


『チーーっス、ミンナ溌剌ハツラツシテルー?』


「校内放送!?」


『トリアエズ、コレカラ始業式を行イタイノデ、至急大広間に集マッテ下サイ!――良イデスカー、不参加ハ許サレナイカラ、部屋ニ閉ジコモッテイル連中モ絶対に参加スルノダゾー!』


「大広間か」


 大広間まで早足で急ぐ。その道中、部屋に閉じこもっていた人物達も表に出ていた。ふと松本蕎麦子の動きを確認してみる。


 一応部屋の外に出て待機しているが、部屋の入り口付近でナイフを片手に人を寄せ付けようとしないでいる。


 30人が此処に居るであろうと予想はしていたが、いざ30人を目の前にした夏男は思わず呟く。


「こ、こんなに居たのかよ……」


 ぞろぞろと現れる見知らぬ人達。比較的学生服を着た人が多く、若い人達が集まっているように見受けられるが。いや、中には30、40代であろう歳の方も居るみたいだ。


 一人一人を観察してみると、なかなか個性的な雰囲気漂う人物が大多数のようだが。


 初めて重なり合う三十人の運命。以下プレイヤー達の会話。


「こいつらが例の被験者って呼ばれる連中か、どいつもこいつも薄気味悪そうで敵わねぇなぁ!」


 柄の悪い男がプレイヤーらを見回しながら煽る。先程、夏男にメンチを切った丸坊主の男の名は……


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 重要人物 花丸ハナマル 家康イエヤス(15)

 男性 身長158cm 体重52kg

 小柄で道着を着用、髪型は丸坊主

 的場高等学校新入生で弓道部員

 現在家出中で両親から捜索願いが出されている

 19人目の被験者(初登場) 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「はぁ。チビが偉そうに何言っちゃってくれてる訳。こういう奴ほど危険なのよねー」


 花丸の挑発に乗ったのは、派手な色をチョイスしたアクセサリーや小物を身に付けた露出度高めのギャル。彼女の名は……


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 重要人物 早乙女サオトメ 薫子カオルコ(17)

 女性 身長153cm 体重40kg

 黄緑髪ロングで露出度高めの黄緑色の制服

 派手なアクセサリーが目立つ

 希望ヶ丘学園の問題生徒で有名な【ギャル子】

 27人目の被験者(第二十七話初登場)

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「あんだとクソビッチ」


「もぅーそんなにおっかない顔してー私困っちゃうーん」


「お前の方こそ、その厚化粧はどうにかならねぇのか。まるで化け物だな」


「何ですって」


「大体お前の方がチビだろうが」


 早くも気が合わななそうな二人の関係が完成されてしまう。そんな二人の会話を聞いていた女が口を挟む。


「ちょっとあんた達うるさいから黙っててくれないかしら!?」


「あん?」

「はぁ?」


「これから此処に私達を集めた張本人が現れるかもしれないのよ。そんな時に何でどうでもいいそこの二人が言い争っているのよ」


 さっそく始まろうとしている二人の口争いをみっともないと言い捨て、駄目出しをする彼女の名は……


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 重要人物 石川イシカワ 奈津ナツ(15)

 女性 身長159cm 体重46kg

 舞園創と亮介とは5才からの幼馴染

 体力には自信があり運動神経抜群

 裏で黒幕の計画に参加している

 2人目の被験者(第一話初登場)

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「何だよあのビッチ、何マジになってんの。普通こんな状況で冷静でいられる方がおかしいだろ」


 花丸が石川ナツを睨み付ける。早くも重たい空気になってしまったこの状況を見て、一人の男が口を開く。


 「君達が情緒不安定になるのも無理は無いけど、今はそれどころじゃないよね。言い争いはこの状況を何とかしてからにしてくれないかな。ね、ゴミみたいな言い争いは体力を消耗するだけなんだしさ」


 冷静に割って入ってきた男。少々言い方に問題があるようだが、二人の喧嘩を止めようとする彼の名は……


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 重要人物 ?? 未来ミライ(17)

 男性 身長177cm 体重62kg

 神奈川留置場に収容されていたが釈放

 銀髪で不気味に微笑むのが特徴

 血筋はスペイン人と日本人のハーフ

 25人目の被験者(第九話初登場)

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「ね、みんなで協力しないとさ。ほーら落ち着いてー。ね、一つ一つ問題を解決していこうよ」


 絡み合う


 ※改定場所

 花丸家康の名前のフリガナが『ハナマ』になっていました。正確には『ハナマル』です。

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