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Someday  作者:
8/26

7.策士、策に何とやら

6話と7話を間違えて投稿していましたので置換修正しておきました。ただ本来の7話が消えてしまったのでわずかな記憶を頼りに再執筆致しました。内容的には大きい差はありません。また、話の展開的にも問題ないように思います。誠に申し訳ありませんでした。

玄関。

俺は着替えや道具が入った鞄を肩に掛けながら上履きに着替える。

ほとんど真っ暗な校舎内に不気味さを感じながら教室を目指す。

1年の教室は校舎の3階にあるため階段を登らなければならない。

俺は階段を一段飛ばしから二段飛ばしへと切り替えて教室へと急いだ。


途中で視界に入る廊下は深い闇につつまれていて見るだけで少し寒気がする。


(急ぐか…)


廊下は走らない。

そんな張り紙を見て見ぬフリをし、教室までの廊下を走った。

三階までくると目的地である教室から明かりが漏れていた。

一気に廊下を駆け抜け教室の扉を開ける。


――ガラガラ


古い木製の扉を開けるとこれまでの明るさとは正反対の状況に一瞬目がくらんだ。

最初に飛び込んできたのは、俺の席でしかめっ面で白い紙とにらめっこしている宮城さんだった。


「遅れてごめん」


「ううん、全然いいよ」


「美希は?」


「資料探しに図書室に行ったよ」


俺は教室の隅に鞄を放り一息つく。


「あ、席…ごめん」


宮城さんは思い出したように勢いよく立ち上がった。


「いいよいいよ。続けてて」


俺は宮城さんを促し教卓用の椅子を持って宮城さんの前に腰掛けた。


「どこまで進んだ?」


すると宮城さんは気まずそうな表情をして首を振った。


「まだ何にも…」


「どんな話しにするか、とかも」


「美希ちゃんが学園もので昼ドラみたいなやつにするって…」


昼ドラ?

あんなドロドロのをやんのか?

美希はどこか人と違った発想の持ち主だということを認識した。


「なるほどねぇ…。でも面白そうじゃん」


「美希ちゃんらしいよね」


「まぁなー」


俺と宮城さんは同時に笑う。

可愛いっちゃあ可愛い。

いや、可愛いな。

いい匂いもするし。

って変態か俺は。


「劇なんて他がやんない事でしかも昼ドラネタってのがインパクトあっていいな」


「話題性はばっちりだね」


それからあーだこーだ話を進めしばしの沈黙が訪れた。


「あ、そういえば部活お疲れ様」


「どーも。宮城さんもお疲れー」


「どーもどーも」


俺の真似してんな。


「赤川くん上手なんでしょ?」


「いや、そんなことねーかな」


「先輩にも混ざってやってるじゃん」


「たまたまだよ」


「…別に自慢してもいいんだよ?」


数秒の沈黙。


「…まぁ俺は中学ん時から上手いって言われてきたし、高校でも先輩なんかメじゃねーかなー。同学年のやつなんてもっての他って感じ」


ノリでそこまで言い終えると、ただならぬ空気を感じ無言な宮城さんを見た。


「…赤川くんって腹黒いんだね」


「いや宮城さんが言わせたんじゃん」


宮城さんは白い歯を見せて笑った。

人をからかって笑ってら。


「てか何で先輩と混ざってやってんの知ってんの?」


「えっ…それは…うん、美希ちゃんが教えてくれたんだよ!」


おいおい。

目が泳いでますけど宮城さん。


「ふーん」


俺はわざと意味深な返事をした。


「宮城さんってポジションどこなの?」


「言ってもわかんないと思うよ?」


「言ってくれなきゃ分かんないじゃん」


「…リベロ、ってとこ」


俺はよくバレーを見るし小学生の時にバレーのクラブに入っていたため知っていた。


「じゃ宮城さんも俺のポジションくらい忙しく動くんだねー」


「いや、あそこまで走んないよ」


しめた。


「何で俺のポジションが走り回るって知ってんの?」


「えっ!?それはだって…その……」


嘘のつけない子。

さっきにも増して目が泳いでるし、俺と目を合わそうとしない。


「お楽しみのとこ悪いんですけどぉ…」


扉の方から美希の声がして宮城さんと同時に視線を向ける。


「おかえり。資料見つかった?」


「ただいまー。てか昼ドラの資料が図書室にあると思う?」


じゃあ何のために行ったんだよ。


「…それじゃ何のために行ったかわかんないじゃん」


いいぞ宮城さん。


「ちょっとしたヤボ用でね」


そう言って美希は俺にウインクをした。

意味がさっぱりわからん。


「てか二人きりでナニかしてたの?」


「ただ劇の話し合いしてただけだよ!」


「お疲れとか言い合っちゃって」


「いつからいたんだよ…」


俺は美希の意味不明な行動にため息をついた。

その内、見回りの先生に帰宅するように言われ、とりわけ何も決めずに俺たちは荷物をまとめ玄関へと向かった。

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