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Someday  作者:
3/26

2.不思議

扉が開く。

クラス全員の視線が扉に注がれる。


「ここかー」


現れたのは小柄な男子生徒。

顔立ちは整っているがかなり童顔だ。

またもや期待は外れた。


「ちげーよ。お前は隣。ここは俺のクラス」


小柄な男子の体を引っ張り後ろから他の男子生徒が顔を出した。


(…あっ!)


その後ろからきた彼こそ、面接時印象に残った男子だった。

私はとっさに配布されていた名簿に目を通す。


(赤川…翔一郎…)


彼の名前だ。

私は再度確認する。

長身細身で綺麗な栗毛。整った顔立ちで切長の目。

顔までは見てなかったが恐らくあの日の彼だろう。

彼は連れの男子と挨拶を交わし一番前の席につく。


何だろう。

彼からは落ち着いた雰囲気を感じる。

窓の外を見る後ろ姿は何だか私に安心感のようなものを感じさせる。


後に担任の紹介があり授業等のシステムの説明がありお決まりの自己紹介が始まる。

「じゃ…一番最初からいこっか」


先生があの男子に目をやる。

彼はゆっくり立ち上がって自己紹介を始めた。


「赤川翔一郎。北中学出身っす。野球やってたんで野球部に入ろうかなと思ってます。1年間よろしく」


拍手がおこる。

そして彼が着席し後ろの先徒が立ち上がり次々と自己紹介をしていく。

その間も私はチラチラ彼の方を見ていた。

隣の女子生徒と楽しげに話している。

友達かな。

近寄り難い雰囲気あるけど意外と社交的かも。

すると私の順番が来てやや緊張気味に立ち上がる。


「えと…宮城茜です。南中学から来ました。バレーボール部に入りたいです。仲良くしましょう」


拍手がおこり変な照れを感じながら席についた。

それからすぐに自己紹介タイムも終わると同時に休み時間になった。

彼の前に一人の女子生徒が立って何やら話している。


(モテそうだなぁ…)


するとお互いに携帯電話を取り出した。

多分アドレスとか交換してるんだろな。

私も無意識に携帯を取り出し意味もなく電話帳画面を開く。


男子のメモリは一人だけ。

高校は違うけど中学から付き合っている彼氏、仲井雄也なかいゆうやの名前のみだ。

最近は全くメールも電話も連絡と呼べるものは一切取っていない。

そんな状態が3ヶ月ほど続いていて友達には

「別れた方がいい」とか

「絶対他に女作ってる」

とか言われている。

私もズルズル行くのはいけないと思いつつもこちらから連絡するのは何かしゃくに触る気がしてならない。

だから変な意地を張り続けてここまでに至る。

もう別れようかな。

嫌いじゃないけど好きとも言い切れない。

ただ単に恋人同士という肩書きだけで繋がっている関係。

どうしよ。そんなことを考えていると、さっき赤川くんとメアドを交換したであろう女子生徒が声を掛けてきた。

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