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Someday  作者:
2/26

1.桜の木

4月。

この地域の桜開花は他より遅めだがそんな桜もちらほら咲き始めた頃。

今日は高校の入学式。

年が明ける前に受けた面接試験も難なく合格し、晴れて今日から高校生だ。

私は正門の両端にある大きな桜の気を眺めていた。


「茜!何してんの!体育館こっちだから早く来なさい!」


入学式に付き添う母が迷惑そうに私を呼ぶ。

「ちょっとくらい浸らせてくれたっていいじゃん」


「そんなの入学式が終わったらたっぷりすればいいのよ!」


そんなに急かさなくてもまだ式が始まるまで20分もあるのに。

膨れっ面になりながら母に手を引かれ体育館へ入った。



館内は予想以上に人がいた。20分前だというのに新入生達は顔をこわばらせながら用意された席に座っている。

私も造花のバッジを胸につけ指定された席へ座った。


(そういえばあの男子は…)


私はさりげなく周りを見渡したが四方八方セーラー服ばかりだ。


(なんかキョロキョロするのも恥ずかしいな)


私は面接で見た男子の探索をやめた。

間もなく式が始まり、校長の言葉や野球部による校歌の合唱などがあり1時間程度で式は終わった。



1年8組。

私のクラス。

さすがに高校にもなると生徒数も多いため一学年10組まである。

名簿番号は40人いる中の34番。

教室まで行く途中にいろんな部活動からの勧誘のチラシをもらいお目当ての教室に辿り着いた。


(一番後ろだ)


私はその席に腰掛け一息ついた。

知らない顔ばかり。

同じ中学の子も何人か入学したがクラスは違うようだ。

すると前の入口に学制服が見えた。


(あ、まさか…)


入ってきた瞬間騒がしかった教室内は一気に静まりその男子生徒に視線が集まる。


(男子も7人だけいるんだしね)


その男子は面接の時の生徒とは違った。

しかしかなりの長身でなかなかの豊かな体。眼鏡をかけて何だかモジモジしている。


(なるほど…)


私はすぐさま彼のイメージを悟った。

それからぽつぽつ男子生徒が入ってきたが面接の彼は入ってこない。

違うクラスかな。

私は頬杖を付きながら物思いに更けた。


始業開始5分前。

ほとんどの生徒が着席し空席は一番窓際の一番前の席だけになった。


(あそこの男子遅刻かな…)


名簿の最初から7人分は男子が並び後は女子なので一番前なら男子だと分かる。

それにしても入学式早々遅刻とは。

私は見知らぬ男子生徒に呆れていると教室の扉が開いた。

学生服が目に映る。

不思議な緊張感が私の心臓の鼓動を速くした。


(来た…!)




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