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天使様、通る

初投稿となります。誤字脱字等、あるかと思われます。温かく読んでくださりますようお願いします。ちょこちょこ書いていきます。

「やっと終わったぁ」ため息と1:1の声が漏れた。無限に感じられた書類の受理が終わり、部屋にあった荷物を際限なく押し込めたバッグは少女と同じくらいに膨れていた。


いまさっきまとめ終わったそれを眺めた瞬間、億劫が湧き立ち、足が沈む。ふと「独りで運ぶ」と、ため息と2:1の声が漏れた。


天国への始発列車はあと半刻で出発してしまうのに、季節外れの五月病。鍛えた翼でまだひんやりと淀んだ空気を押し出し、埃を巻き上げ、飛び立つ。


部屋に一葉を残して。




 今日は気分がいい。


緩む頬がそれを教えてくれた。ここは天国の名に恥じぬ場所だと思えているのだろう。


専ら人々は楽しそうにしていて、奴ら天使は敬われ、時には共に過ごしている。


でも、そういう時、痩せた翼の奴ら天使はちょっと幸せな顔をしている。それを見るたびちょっとだけ毒の芽が育つ。


天使が人と同質の幸福を拝んで堪るか。


その翼で人と差を生んだはずが、

わざわざ降りて同じ椅子に座るならその翼はなんの為にあるのか。


私には痩せた翼がどうも許せない。


飛べない天使は人間より醜い。

心で奴らを天使モドキと呼ぶのはこれほどまでに正当な理由がある。


だから私は絶対的天使としての役目を果たす。相対的天使モドキと一緒にはさせない。そう思うと背中の翼の重みが大義と重なり、私を証明してくれる気がした。


脚にばかり重みを感じる天使モドキの皆さんには一生わからない。


そもそも天使は死人の魂を天国へ誘拐し、「これほどいいところはないでしょう?」と言って人を騙す職業なんだ。


リンドウ先輩は言ってた。


「天国は誰にとっても天国で、それは天使も例外じゃないわ。変な役職に就かない限り、お呼びがかかるまで貴方たちはずっと遊んでてもいいし、変な役職に就くのだって誰も咎めないわ。」


天使は近年増加していて、仕事はほぼない。いや、仕事がほぼないので、天使は近年増加している。人間から成れるのはごく一部だと聞いていたが、私みたいなのは今や少数派。


リンドウ先輩以外の名前は覚えてない。床のタイルが何枚か数えていたからだ。


「天使さーん!一杯どう?」呑んだくれの声が聞こえた。「え、私ですか?」奴らに寄せた向日葵の笑みを振るう。「そうそう!おいでー!」タメ口もほどほどにしろ。私は降りながら周りを見た。


無人を確信して高揚感に堪えなかった。


「一杯だけですよー?」足を着く。翼を片方畳む。反対の手をふわりと浮かせ、天と目を合わせた。猪口を持った手が私に触れた瞬間、全神経が逆立ち、私は猪口を翼で叩いた。割れた鋭い音とは対照に、腑抜けた顔の男を見て言った。


「私は他の天使とは違うんです。」ため息と1:3の声を吐き出した。騙る。「この白い髪をご覧なさい。高潔な証よ。覚えときなさい。」全身の血が舞っている。高鳴る。「酔う目が世界一嫌いなんだ。」蘇る。一通り罵ったあと、男に記憶が飛ぶほど呑ませ、頬に口紅をそれらしく塗った。起きた時、男の邪悪な欲望は幸せを運ぶだろう。




「天使様が通る。そう、天使様が通る。だから人は畏敬の念をもちなさい。天使モドキとは違う。受肉したてのか細い翼では、人の願いは正しく掴めないの。」


奴らとは似つかない、

紫陽花の笑みが枯れ落ちて行く。

最後まで読んでいただき誠にありがとうございます。今後、残虐な表現がみられますので、お気をつけ願います。マイペースに書いていきます。

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