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カリス公爵令嬢は幸せになりたい  作者: 成海さえ
第二部 魔法学園二年生(15〜16歳)
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II-16 リリアン

「皇太子殿下ぁ、お待ちしていました。おはようございます!」


 官吏コースに進んだはずのチェリーピンクの髪色の目立つ女子生徒が、神官コースの教室の前で殿下にお辞儀をする。カミラ様も隣にいらっしゃるのに、見向きもしてないわ。


「おはよう」


 ルシファー様は笑顔で応えてカミラ様と共に教室へ入る。私も室内からリリアン・ドイルを眺めて嫌な気分になっていた。


 チェリーピンクの髪色の少女=リリアン・ドイルは、私が見た予知夢の主人公で、王太子殿下や各公子達と恋に落ちてハッピーエンドを迎える‥‥夢の中ではそうだったけれど、この現実世界ではうまくいかず、どの王子様とも好感度を上げられていなかったので、諦めたのだと思っていたのに。


 ルシファー様に優しくされて、また欲が出てきたのかしら? 夢の中で成功体験を積んでいるのが厄介だわ。



 今日は剣術の授業がある。

 更衣室で着替えて訓練場へカミラ様と向かう。メイジーとルディも途中で合流した。ルイス様は今日はお休みだ。


 まだ暑いので髪はアップにして半袖のシャツと鎖帷子を身につけている。私達がストレッチしているのを、ルシファー様は入り口近くの屋根のあるベンチから笑顔で眺めていた。その向こうに“Princess Camilla”と書いたボードを持った男子生徒が並んで立っている。


 やがてそこに、お兄様とレオの姿が現れた。皇太子殿下に挨拶してからこちらへ歩いて来る。ちなみにお兄様は既に規定の単位を取得済みなので、どの授業でも空きがあれば自由に参加できるらしい。


 お兄様が手をあげて私に微笑みかけた。レオも笑顔で大きく手を振っている。騎士を目指しているであろう生徒が、瞳を輝かせてレオを目で追っていた。


「リーディア、様子を見に来たよ」

「ありがとう、ディラン様」


 お兄様は私の言葉に頷き、カミラ様にも挨拶をしていると、入り口付近からまたはしゃいだ声が聞こえた。


『やだぁ、皇太子殿下が見学されてるって本当だったんですね! 私、ルシファー様が訓練してる姿を見てみたいなぁ。ね、ダメですか?』


 結構離れているこの場所まで聞こえるほどの声量だった。短剣の素振りをしようとしていた私は、思わずその方向を見た。ところ構わずアピールするやり方も腹に据えかねるわ‥‥

 そんな私の頬をお兄様の両手がそっと挟んだ。


「はい、リーディア僕を見て。深呼吸しようか、ゆっくり吐いて、大きく吸って‥‥うん、可愛いよ」


 目の前でそう言われ、条件反射で喜んでしまう。入り口を観察していたレオが言った。


「ほぼ不敬じゃないですか、あれ‥‥確か、授業は見学自由ですが、部外者は中まで入るのって禁止でしたよね? ちょっと注意して貰って来ます」


 そうして、リリアンが警備兵に摘み出されるのを確認して戻って来た。


「自分もこの授業を取っていて、中で見学する予定だって嘘をついていたそうです。もう出入禁止にしては?」


 それまで黙っていたカミラ様が口を開いた。


「みんな、ありがとう。私は大丈夫よ」


 そうは仰っているけれど、毎日嫌な場面を見せつけられているカミラ様のメンタルが心配だわ‥‥そうだ、一度お祖父様に相談してみよう。


お疲れさまです、最近、プロテインを飲み始めた成海さえです。


いいねやブクマ、⭐︎の評価もありがとうございます。

嬉しいです、更新頑張りますね!

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