表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カリス公爵令嬢は幸せになりたい  作者: 成海さえ
第二部 魔法学園二年生(15〜16歳)
90/172

II-11 船上パーティー1

 楽しい時間が過ぎるのはとても早く、いつの間にか船上パーティー当日を迎えていた。


 ドレスを着用した私とカミラ様は、頭にカクテルハットを被っている。これには目の部分を覆うレースがついていて、お兄様の特別な瞳を隠す役割を果たしている。

 髪は二人とも巻き髪で、私は後ろでまとめ、カミラ様はハーフアップにしていた。


 この日のために、作戦会議以降は私もカミラ様も外出時はヒールの高い靴、表立った護衛はレオとメイジーだけにとどめた。

 海の上なので海軍と連携を取っており、指揮官とも何度か打ち合わせを済ませている。


 使者様はお留守番するそうなので、私はカミラ様、ルイス様と共に会場へ向かった。


「姫、参りましょう」


 メイジーの腕に手をかけて会場へ入る。レオとどちらがエスコートするか揉めたけれど、夫のいる私にはメイジーが妥当だろうと言う事になった。カミラ様はルイス様と一緒に会場へ入っている。


 会場内ではシリル様と護衛騎士のジーン様、そしてルイス様の周りにご令嬢達が集まっていた。私とカミラ様に挨拶をして下さる方もいたけれど、今夜の主役は一目瞭然だ。


 ダンスタイムが始まる前に私の気分が悪くなり、カミラ様と別室へ、ルイス様も頃合いを見計らって退場する予定になっているけれど、あんなに囲まれていて大丈夫かしら?


「リーディア、そろそろいいんじゃない?」


 カミラ様の言葉を合図に、私は胸を押さえてよろめいた。


「姫、ご気分が悪いのですか!?」

「どうしたの? リーディア!」

「すみません、会場の責任者を呼んで下さい」


 大げさにみんなが騒いで、私達は会場の責任者から特別室に案内された。ここは他の客室よりも広く、寝室が別で浴室も併設されている。

 中には既にドレス姿のお兄様と、侍女姿のルディが待機していた。


「わあ、姫ちゃん、見て下さいよ。俺の巻き毛がこんな所で役に立つとは!」

「そうね、持って来ていて良かったわ」


 お兄様は髪が短いので、レオの髪を加工したウイッグを装着している。それにしても、お兄様が美人すぎて! 女神様みたいだわ。


「姫、準備しましょうか」


 メイジーに促され、別室でカミラ様と共に侍女の衣装に着替える。目立たないように、髪は茶髪のウイッグを被る。

 その変装が終わった頃に、ルイス殿下も合流してドレスに着替えた。




 しばらくして大きな爆発音が響き、停泊していた船が前後左右に大きく揺れた。私はドレス姿のお兄様にしがみつく。


「失礼します!」


 部屋のドアがノックされ、メイジーが扉を開くと、給仕らしい男性と兵士が慌てた様子で立っていた。


「船倉で火災が発生したようです! 優先してご案内いたしますので、すぐ避難して下さい」


「分かりました」


 メイジーは気分が悪そうな演技のお兄様を支え、レオはルイス様の側につき、侍女の私達も一緒に部屋を出ようとする。


「お待ち下さい」

 兵士がメイジーを呼び止めた。


「騎士様お二人は、水の精霊魔法が得意だと伺っております。どうか、火災の鎮火にご助力頂けませんでしょうか? 王女殿下とカリス小公爵夫人は、私達が責任を持って安全な場所まで誘導いたします」


「‥‥殿下、いかが致しましょう?」


 レオがルイス様に尋ねる。


「行っておあげなさい」


 王女殿下の許可を得て、二人の護衛騎士は側を離れ火災現場へ向かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ