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カリス公爵令嬢は幸せになりたい  作者: 成海さえ
第二部 魔法学園二年生(15〜16歳)
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II-7 市場見学

 翌日は、街の見学に連れて行っていただいた。

 そのままの格好だと目立つからと、あらかじめ変装を勧められており、観劇の際にしていた商家の娘風の衣装に着替えた。


 私とカミラ様、メイジーは茶色のウイッグを付けて服装も変えたけれど、ルディは元々焦茶の髪色とオレンジの瞳だったので、服以外はほぼそのままの姿だった。


「おはよう‥‥うん、変装も完璧だね。今日は何でも揃っているペンタクルスの市場に案内するからね!」


 色のついた眼鏡をかけて帽子を被ったシリル様を先頭に、途中までは馬車で向かい、それからは歩いて市場へ入った。


 カミラ様の隣にはメイジー、私の横にはルディが付いている。使者様は所用があるとかでお留守だ。

 市場は朝から混んでおり、髪や肌の色を見れば、さまざまな土地から人が訪れているのが分かる。


「何か欲しいものや食べたいものがあれば、言ってね。俺が買ってあげるから」


 そう言われても目移りして決められず、キョロキョロしていると人にぶつかってしまった。


「あっ、ごめんなさい」

「大丈夫?」


 受け止めてくれた方は、背の高い男性だった。前髪で目が隠れており、髪色もあってかゲーム内でのお兄様を思い出した。


「ありがとうございます。お嬢様、大丈夫ですか?」

 ルディがすぐに私を引き取ってお礼を言った。

「ええ、平気よ‥‥ありがとうございました」

 その彼にお礼を伝えると、微笑んで立ち去って行く。


「銀髪だから、カリス領の商人ですかね? それにしても、久しぶりに来ると、市場はやっぱり見応えあるなぁ」


 私の肩から手を離し、ルディは懐かしそうに見渡した。色々思い出があるのねと思い、彼と話しながら歩く。


「俺の実家は領地を持たないので、小さな農園を運営しているんです。収穫された果物を市場でも売っていました。子供の頃は俺も手伝ってたんですよ」


「そうなの、ルディのご実家のフルーツ、食べてみたいわ」

「じゃあ、今度送って貰いますね。俺が公爵家で雇用されてるって、両親ともまだ半信半疑らしいので」

「では、パーティーが終わったら何日か休暇を取って、その制服のまま実家に寄るといいわ」

「もうじきレオさんも来るし、そうさせて頂こうかな?」


 お昼はシリル様お勧めの屋台でいくつか食べ物を購入して、その一画に設けられた飲食スペースで食事を済ませた。このような場所でのお食事が初めてだったカミラ様は、最初は戸惑っていらしたけれど、慣れると楽しそうにされていた。


「どう? この市場。一日ではまわりきれないから、見たいものがあれば教えてね」


 シリル様にそう言われて、カミラ様と私は服飾品のお店に案内して貰い、王都で待っている侍女達へお土産と、自分にもカミラ様とお揃いのブローチを購入した。代金は全てシリル様持ちだった。



 それから邸に戻り、カミラ様と二人でおしゃべりしていると、使者様に声をかけられた。


「乙女、わたくしと二人で散歩しませんか?」

「リーディア、行ってらっしゃいな」


 夕食までは時間があるし、今日は使者様とあまりお話しできなかったものね。

 私はルディとメイジーにここに居るよう伝えて、使者様と二人でプライベートビーチへ向かった。


「使者様は、今日は何をされていたのですか?」


 廊下を歩きながら話しかける。使者様は穏やかに微笑んだ。


「わたくしが動く理由は、ひとつしかありませんよ、乙女」


 ん? どう言う事だろう。腕を出されたので、大人しく手をかけてエスコートしていただく。

 使者様は自己主張したりがあまり無いので、このようなお誘いをされるのは珍しい。何か、話したい事でもあるのかしら?

 まあ、ビーチに出てみれば分かるわね。

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