表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カリス公爵令嬢は幸せになりたい  作者: 成海さえ
第一部 第三章 魔法学園一年生(14〜15歳)
76/172

番外編1 リーディアのイヤーカフ物語

 “シュヴァリエの契り”の証として騎士から贈られるイヤーカフは、いつも身に付けるものなので、大抵は騎士がレディのイメージに似合うデザインを選んでいる。



 レオのイヤーカフは、リング型に瞳と同じ色の魔法石が一つ付いたシンプルなものだった。


「どのお洋服にも似合うようなデザインにしましたよ」


 8歳の私の左耳に付けてくれながら、レオが言う。


「これから長いお付き合いになりますね。姫ちゃんの成長を、ずっと見守って行きたいなぁ」

 彼は満足そうだった。


◇◇◇


 メイジーのイヤーカフは、幅広のものに、アイスブルーの魔法石が嵌まっており、パールのチャームも付いていた。

 これは、事前にメイジーからデザインの件で打診があり、私が許可している。


 宣誓式を終えて二人で邸に戻ると、お兄様と一緒に待っていたレオ(22歳)がメイジー(19歳)のイヤーカフを見て言った。


「ちょ、それ、メイジーのだけ自己主張激しくないですか? パールのチャームまで付いてるし」


「姫の許可は頂いている」


「パールはメイジーの名前に由来したものだから、いいかなって思ったの、レオ」


 私(10歳)の言葉に、レオはパッと表情を明るくした。

「では、俺のイヤーカフにも獅子のチャームを付けさせて下さい」


「姫のイメージに合わないから駄目だ」


「えーっ、姫ちゃんが社交界をどんなイメージで行くか、まだ決まってないじゃん?」


「獅子のイメージにはならないから諦めろ」


「じゃあじゃあ、猫っぽい可愛い感じにしますから!」


「それはもはや猫だ。そうしたいなら、お前の名を“猫”に改めろ」


「いや、母さんが付けてくれた名を勝手に変えたら、伯爵が激怒するじゃん?」


 私の隣でずっと聞いていたお兄様(12歳)が、レオの背中をポンと叩いた。


「レオ、諦めた方がいいね」


◇◇◇


 ルディのイヤーカフは、リング型ものに、マーガレットが一輪付いていた。お花の中央には彼の瞳と同じオレンジ色の宝石があしらわれている。


「おっ、ルディのは可愛いし、シンプルでいいねぇ」


 レオが感想を述べると、近くに居たメイジーが補足する。


「レオ、マーガレット(1本)の花言葉を知っているか?」


「ん? 知らないけど、なに?」


「“あなたは運命の人”だ」


 それを聞いたレオは、膝から崩れ落ちる。


「何なのみんな! 俺は、姫ちゃんの邪魔にならないようにって、シンプルで控えめなデザインにしたのにっ‥‥!」


 それを見た私は、あっと思いついて、レオの隣にしゃがんで言った。


「じゃあ、このレオの魔法石に、石言葉をつけましょう? レオの好きな言葉でいいわ」


 顔を両手で覆っていたレオは、手を外してこちらを見た。


「“一生大好き”」


 私はお兄様を確認する。笑って頷いていたので、それからレオの魔法石の石言葉は、一生大好きになった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ