3-55 エンディング
束の間の休暇が明けて、再び学園生活が始まった。
昼休みに温室でカミラ様、ルイーズ様と昼食を取っていると、一人の女生徒が駆けてきた。チェリーピンクの髪の目立つ少女だ。
「ちょっと!‥‥悪役令嬢のあんた達がちゃんと仕事しないから、未だに誰の好感度も上がらないじゃないの! もう3学期だしどうすんのよ!?」
メイジーがすっと間に入る。
「お嬢さん、王女殿下とカリス小公爵夫人に何のご用ですか? 学園内と言えど、そのような言動は不敬ですよ」
「だから! そこのモブが役割を果たさないから‥‥!」
メイジーが手を上げると警備兵が駆けてきてリリアン・ドイルを連れて行った。
綺麗な所作でお茶を飲んでいたルイーズ様がカップを置いた。
「あの子は確か、平民出身だよね? 学園内でもアレンやシリルを追いかけ回しているようだけど‥‥学費に加えて制服や寮などの生活費諸々も公費で負担して貰ってるのに、魔法を学ばず玉の輿狙いなら、ちょっと考えないといけないね」
「ええ、学習態度も含めて調査した方が良さそうね」
カミラ様も同意する。
ゲーム通りにストーリーが進まないなら、他の道を考えるべきだと思う。なぜなら、ここは私達にとって現実世界なのだから。
「生活指導の教師に引き渡しました」
戻って来たメイジーが報告する。その後は誰もこの話題に触れなかった。
「お姉様方は春になったら、またエストリアへ行かれるのですか?」
ルイーズ様の問いに、カミラ様は頷く。
「ええ。ドレスもほとんど仕上がったとルシファー様のお手紙にもあったので、伺わないと失礼でしょう?」
「確かに。今度は私も本来の姿で行こうかな。お姉様方をエスコートしたり一緒にダンスを踊りたいよ」
そうなると、ディラン様の休暇の調整が問題だわ。
この先も色んな事件が起こりそうねと温室のガラス窓から晴れた空を仰いだ。
今日もお疲れさまです、成海さえです。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。おかげさまで、完結できました〜!
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さて、今後の予定ですが、一度本編を最初から見直したいので少しお休みをいただき、その後にまた連載を始めたいと思っています。
リーディア視点では書けなかった本編の側面を、皇太子殿下との恋愛も絡めながら、カミラ殿下視点で語っている内容です。
これはスマホのメモ帳に下書きを済ませているので、準備ができましたら活動報告でお知らせしますね。全21話の予定です。




