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カリス公爵令嬢は幸せになりたい  作者: 成海さえ
第一部 第三章 魔法学園一年生(14〜15歳)
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3-51 休暇2

 夜になってアルマが下がり、お兄様と二人になった。辺境伯のお城は久しぶりで懐かしく、でも以前と違うのは、ここが二人部屋だと言うことだ。


「リーディア、大丈夫?」


 自分では元気なつもりだったけれど、お風呂でゆっくり温まり、馴染んだ家族の顔を見たら、一気に身体が重たく感じた。ソファーでぐったりしていると、心配したお兄様が屈んで顔を覗き込む。


「ディラン様‥‥疲れたわ」

 彼の綺麗な瞳を見つめると、くすりと笑われた。

「うん、お疲れさま。よく頑張ったね」

 頭を撫でられたので、気持ちよくて目を閉じたら、唇が触れた。


「ディラン様は、私を甘やかしてくれるのね?」

 目を開くと、すぐ近くに整った顔がある。

「うん、僕は夫だからね」

 抱え上げられ、ベッドへ運ばれた。お兄様も隣に寝転ぶ。

「明日からは、好きに過ごすといいよ」


 好きに、と言われても‥‥とりあえずはゆっくり寝たい。後はお祖母様と温室でお花を見たりお料理したり‥‥お祖父様とは、凍った湖に穴を開けて、また釣りとかしてみたいな。

 あ、使者様に辺境伯領をご案内するのもいいかも。

 お兄様の隣で色々考えたけれど、一番はやっぱり‥


「私、お兄様と一緒に居たいわ」

「僕を忘れないでいてくれて嬉しいよ」

 あと、名前で呼んでねと言われる。分かるわ、拗ねてるのね。


「忘れる訳ないでしょ? 子供の頃から、ずっとずっと大好きよ」

 彼の頬にキスしたら、笑ってくれた。


「ディラン様は、年末年始は何をしていたの?」

「リーディも居なかったし、父上が王宮の執務室に詰めていたので、僕もできる仕事を手伝ってたよ。年始にレオから連絡があってからは、辺境伯領で過ごす準備をしてた」


「そうだったのね、お疲れさまでした」

「うん、仕事や鍛錬なんかはどうせやらないといけないし事務的に流せるけど、君が危険な状況にあると分かると‥‥心臓が凍りそうになるよ」


「心配かけてごめんなさい」

「君が悪い訳じゃない。でも‥‥せめて僕が側に居たかった」


 お兄様が苦笑して天井を見る。この方は、もうずっと前からストレスが溜まりすぎだわ。今回は私のせいでもあるし、何とかしてあげたい。

「ディラン様、私にして欲しい事があったら、何でも言ってね」

 彼の胸のあたりの服を持った。いつも甘えさせて貰っているお礼も兼ねて、力になりたい。


「して欲しいと言うか、君が僕のわがままを聞いてくれるのなら‥‥」

 お兄様が顔をこちらに向けた。手を伸ばして私の頬に触れる。


「久しぶりに会えたから、君を抱きたいな」


 あっ、そう言う事なのね。私が疲れていると思って言い出せなかったのだわ。頬が熱くなるけれど、お兄様のお願いは断らない。


「私も、ディラン様と仲良くしたいです」

 彼の手に自分の手を添える。返事を聞いたお兄様は私を抱きしめた。


「無理はさせないから、離れていたぶん補充させて」


 その夜、私は久しぶりにディラン様に愛された。

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