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カリス公爵令嬢は幸せになりたい  作者: 成海さえ
第一部 第三章 魔法学園一年生(14〜15歳)
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3-49 パーティー5

 カミラ様は薬で眠らされているとの事だった。現場にそれらしき薬品も残されていたようだ。

 身体に大きな傷はなかったけれど、ロープで縛られていたので、その痕が手と足についていた。

 王女殿下がお医者様の診察を受けている間に、レオから報告を受ける。


「ベルのおかげで場所はすぐに突き止められました。あの乗り物は羽音があまりしないので、気付かれる事もなく潜入出来たんです」


 ベルは『私にお任せください』と言い、先頭に立って歩き出す。途中で出会う敵兵は、ベルと目が合うと全員胸を押さえ、吐血して倒れたそうだ。


 地下には大きな祭壇が設けられており、その前方の床に悪魔召喚のサークルが描かれ、カミラ様が横たわっていた。生贄にするつもりだったようだ。

 首謀者の貴族は捕らえられ、それ以外の兵士は全員不審死を遂げたらしい。


「いやぁ、俺達騎士は何もする事がなかったです。ベルが全部処理してくれたので」


 ひと通り説明を受けたところで医師に呼ばれ、カミラ様の部屋に移った。今は眠っているだけで、外傷はほぼないそうだ。

 精神面での診断も行うので、目が覚めたらまた医師を呼ぶ事になった。


 貴人の寝顔は見せられないので、天蓋のカーテンを下ろし、近くのソファーにルイーズ様と共に座った。ルシファー様は事後処理に当たっているため席を外している。

 これからの事を話していると、ベッドの方から衣擦れの音がした。


「‥‥賑やかね」


 カミラ様!

 私とルイーズ様はお側に駆け寄る。目覚めたカミラ様の顔色は悪かったけれど、安心させるように微笑んでいた。


「カミラ姉様、大丈夫ですか? どこか具合が悪いところはない?」

 ルイーズ様が話しかけると、カミラ様は首を横に振る。


「身体が怠いくらいよ。それよりも、状況の説明をして貰えるかしら」


 それを受け、ルイーズ様が簡単に説明する。それが終わる頃に医師が部屋に戻って来たので、私達は席を外した。

 カミラ様ご本人の希望もあり、犯人も既に捕えられ、エストリア側の謝罪も済んでいる為、この事件による婚約の継続の有無は問わないこととなったので、私も気持ちを切り替えたいと思う。




 精神的にも問題ないそうだけれど、念の為、帰国日を一日伸ばし、1月3日に冬の離宮を出発する事が決まった。

 カミラ様は誘拐されたショックが大きかったのか、翌日は終日ベッドで眠っておられ、私は騎士達と離宮の見学をして過ごした。


 その翌日も丸一日オフ日だったので、朝、カミラ様のお部屋を訪ねたら、既にルシファー様がベッド脇の椅子に腰掛けていらして、空気を読んだ私はご挨拶を済ませてすぐ外へ出た。


「どうする? 姫ちゃん。騎士がいっぱい居るから、庭で本気の雪合戦でもする?」

 目の前には、レオ、メイジー、ルディ、ジーン様、ケイ・ロス、使者様にルイーズ様も揃っていた。


「ちょうど8人ね」


「いやディア姉様、私達が本気で戦ったら、お庭が壊滅しちゃうから!」

「うーん‥‥じゃあ、時間もあるから、アルカナでお留守番してる人達にお土産でも買いましょうか?」

「いいね!」


 それから侍従の一人に案内して貰って街へ行き、新年でも開いている商店でお土産を購入した。



 そして出立の日、ルシファー様に別れの挨拶をした後カミラ様とルイーズ様が馬車に乗る姿を見届け、私も騎士服に戻ったメイジーの手を取ってもう一台の馬車へと歩く。レオがドアを開けてくれて、先に使者様が入った。


「姫ちゃん、申し訳ないけど、若には全て報告したからね」

 馬車に乗り込む際に、レオが眉を下げて言った。


「俺には報告義務があるし、どうせ隠せないから」

「ええ」


 お兄様、心配してるでしょうね‥‥会いたいなぁ。

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