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カリス公爵令嬢は幸せになりたい  作者: 成海さえ
第一部 第三章 魔法学園一年生(14〜15歳)
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3-44 冬休み5

 パーティー用のドレスは民族衣装を準備していた。アルカナ王国は自然に恵まれ、手先が器用な職人が多いので、服飾系では繊細なレース編みと刺繍、色に関しては植物由来の染料を使った優しい色合いが有名だ。そして、ドレスの肌を露出する部分はレースで覆うのが特徴である。


 着付けをメイジーに手伝って貰う。

「姫、苦しくはございませんか?」


 ビスチェの紐を締めながら問われ、大丈夫よと返事をする。それからレースの部分に爪が引っかからないように、そっと袖を通した。


 私のドレスはオフショルダーになっており、肌が露出する鎖骨から首までと腕の部分は模様編みのレースで覆われていた。


 オーバースカートもお花の刺繍を施した可憐なレースを使用している。髪は既婚者なので後ろで纏めており、パールのカチューシャとお花のヘアアクセサリーを付けている。


「姫ちゃん、準備できた?」

 ドアをノックして、外で待っていたレオとルディが顔を出した。


「わぁ、姫ちゃんすっごく可憐! さすが俺のレディだな。世界一綺麗だ」

「レオさん、お嬢様は俺のレディでもあるんですよ?」

「私のレディでもある」

「わたくしの乙女だと主張した方がいいのでしょうか?」


「嬉しいわ、ありがとう。でも皆仲良くね」

 手を叩くと視線を絡ませていた私の騎士3人と使者様がこちらを向いた。


 会場そばの控室まで移動しながら引き続き会話する。私のエスコートは使者様にしていただいた。


「若も、姫ちゃんのドレス姿見たかっただろうなぁ」

 レオが呟く。ルディがそれに頷いた。


「そうですね、今頃お一人で何をなさっているのでしょうか」

「起床→軽食→日課の魔法と剣術の鍛錬→入浴、あとは仕事も休みだし、読書とかじゃない? 基本、あの方は屋内派だから」


 いつも側で仕えているレオの言葉に、ルディもなるほどと相槌を打つ。

「仕事が休みだからって、ベッドでゴロゴロなんてしないんですね」

「ルディ、不敬だぞ。若様は背負っているものが多いんだ」

 メイジーがたしなめる。


「‥‥では、お兄様の息抜きって何かしら?」

 疑問を口にすると、みんなが私を見た。


「「「姫(お嬢様)ですよ!」」」


「いや〜若が居ないから言いますけど、若の姫ちゃん自慢は昔から凄いんですから!‥‥たまに王都で王太子殿下はじめ各公子が集まって交流を深めていたのですが、その時も口を開けば『僕のリーディアが‥』でしたからねぇ」


「そんなに?」

「ええ‥‥ああ、ちょうど良かった。おーい」


 レオが手を上げると、着替えを済ませて控室の前にいたジーン様が振り向いた。

「今、うちの若の話をしてたんだが、若は昔から姫ちゃんの事ばかり話してたよな?」


 そう聞かれたジーン様は苦笑した。

「ええ、お会いする度にリーディア様の成長物語を聞いておりましたので‥‥失礼ながら我々はあなたに対して、親戚の、姪を見守るような気持ちを抱いております」

 お兄様‥‥恥ずかしいわ。


 そのまま控室でカミラ様達の到着を待ち、使者様が希望されたのでお部屋に残して、パーティー会場へと向かった。


 そうして、今年最後の日のパーティーが始まった。

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