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カリス公爵令嬢は幸せになりたい  作者: 成海さえ
第一部 第一章 幼少期(12歳まで)
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1-5 ディランの護衛騎士1

 この世界で魔法の訓練が始まるのは10歳から。


 これには理由があって、人間の身体に急成長する時期があるように、魔法にも技を取得しやすい時期があるのだ。


 それが一般的に10歳〜18歳までと言われている。


 魔法の訓練は防御魔法で囲まれた訓練場で行われるのが好ましく、地方では騎士団に併設された訓練場、王都では魔法学園の訓練場が開放されているため、10歳を迎えた魔力保持者は申請すれば使用することが出来る。


 ただ、実際に通っているのは家庭教師を雇える貴族の子息が主だった。


「僕も騎士団の訓練場に通ってるんだよ。専用の施設だと何かと便利だからね」

 ディランお兄様は、いつもよりドレスアップした私を見て微笑んだ。

「さて、そろそろかな?」


 外出の機会が増えるため、お兄様には専属の護衛騎士が付けられた。カリス領私設騎士団の副団長をされている方で、今朝は訓練場に行く前に私にも紹介して下さる予定なのだ。


 玄関辺りが騒がしくなり、お兄様の部屋の扉がノックされた。

「ディラン様、護衛の方がご到着なさいました」

 執事のセバスチャンの声がする。

「どうぞ、入って」


 お兄様の返事に押されるように、私は思わず立ち上がった。だってお会いするのをとても楽しみにしていたのだ。カリス領の花形の職業、騎士団所属の騎士様だわ!


 失礼します、と男性の声がしてカリスを表す青い制服を纏った銀髪の騎士が笑顔で入室した。

「おはようございます、我が主‥‥もしや、こちらのご令嬢は?」

 お兄様も挨拶を返して立ち上がり、私と騎士様の間に立って告げた。


「紹介するね。リーディア、こちらは僕の護衛騎士のレオ。歳は二十歳だけど、とても能力のある騎士なんだ‥‥レオ、この子は僕の妹であり婚約者のリーディアだよ」


 長身の彼は私の前で膝をついた。肩に掛けたケープがふわりと揺れて目線が同じ高さになり、紺色の瞳が嬉しそうに細められた。


「初めまして、姫。カリス領私設騎士団副団長のレオ・フェアバンクスと申します。お目にかかれて光栄です」


 流れるような動作で片手を取られ、手の甲に唇が触れた。

 未だ8歳の私は大人の男性からこのような挨拶をされたのは初めてで、頬が一気に熱くなった。


「は、初めまして、リーディア・カリスです」

 片手を取られたまま礼節の授業で習ったお辞儀をする。

「えぇ〜、姫ちゃん可愛い〜」

 レオさんは満面の笑みをして私を褒め称える。


「その艶やかな銀髪に結んだレースの大っきなリボン、世界一似合ってます!

 瞳は碧緑(へきりょく)色、母君の血を強く受け継いでいらっしゃるのですね‥‥嬉しいなぁ、こんな可愛らしいご令嬢にお会い出来るなんて!

 良かったら俺のレディになって頂けませんか?‥‥あ、俺ロリコンじゃないですよ〜これからの姫ちゃんの成長が楽しみだって意味です。あくまで騎士とレディの関係は精神的なものなので、ご心配なく」


「あ、あの騎士様?」

「何なりと、姫‥‥あ、俺は若君の臣下なので“様”は付けなくていいですよ〜いやぜひ“レオ”と呼び捨てにして頂きたい」


 とてもキラキラした瞳で見つめられて言い辛かったけれど

「あの、そろそろ手を放していただけますか?」

 やはりお兄様の前で他の男性にずっと手を取られているのもどうかしらと思い、口にした。


「これは失礼致しました。姫の御手が可愛らしくて、つい‥‥もう俺、何時間でも姫ちゃんの事見つめていられる〜。一目惚れってあるんですね!」


「レオ」


 未だに片膝を付いてこちらに熱い視線を送っている騎士の肩に、お兄様の手がポンと乗った。


「今日はそこまでだよ。リーディアの可愛さを賞賛する点では同感だけど、そろそろ出発しないと」


「おっと、そうでした。では参りましょうか、若君‥‥姫、御前を失礼致します」


 体幹がしっかりしているからか、所作がきびきびしているレオは颯爽と部屋を後にした。



 後日、正式に申し込みがあり、両親も承諾したので、私は彼とシュヴァリエの契りをする事となった。


 なぜ私がその話を受けたのか、それは夢で見た悪役令嬢を脱したいからである。ゲーム内のリーディアは兄に依存していたので、他の繋がりをもっと作っておこうと思ったのだ。

シュヴァリエの契りは造語です

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