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カリス公爵令嬢は幸せになりたい  作者: 成海さえ
第一部 第三章 魔法学園一年生(14〜15歳)
45/172

3-25 気掛かり

 夏休みからずっと記憶にひっかかっている事柄がある。


 ゲームのディランルートを進めて行くと、魔法レベルと好感度が一定以上になれば、学年末に最終イベントが起こる。


 ハーレムエンドでは各本編の最終イベントは発動しないので関係ないと思っていたのだけれど、なぜか気になる。

 ちなみにその最終イベントとは、好感度を上限まで上げた王子と、二人でドラゴン退治に挑むのだ。最初は学園に舞い込む魔物退治の依頼をこなし、最終的には神殿に呼び出されて‥‥と言う、多少強引な展開となっている。


 その前兆として普段現れない場所にまで低級魔族が出現したりがある。夏の合宿時に、夢で見たものより遥かに多くの魔物が居たのはなぜかしら? ただの偶然?



 まずはメイジーに相談してみた。

 優秀な私の騎士は、炎の領地を中心に魔物の被害が拡大していないか等調べてくれた。


「調査の結果、ここ数年と比較しても大きな増加はございません」


 そうなのね、まだ9月だし気にしすぎかしら‥‥

 メイジーにお礼を言って様子を見ることにした。



 お兄様と一緒に毎日魔法の訓練をしていたので、私の水と風の魔法レベルも11に上がり、次回からは上級クラスで訓練を行うことになった。


 カミラ様はエストリアの皇太子殿下と順調に交流できているらしく、最近はその話をよくなさっている。


 主人公の動きは相変わらずで、好感度を上げやすいアレン様とシリル様に絞って会いに行っているそうだけれど、効果は出ていないようだった。


 ちなみにこの学園はほぼ国の税金と有力貴族の寄付金で運営されている。

 平民出身の学生も勉学に専念できるように、入学金と授業料免除、寮費、食費その他無料、おまけに制服と最低限の生活費まで支給されている。


 保護者の経済状況に合わせて手厚い補助が受けられるのは、それだけ期待されていると言う事だ。入学式や夏休みの合宿でも何度も説明されていたのに、伝わってないのだろう。



 お兄様と私の仲もとくに問題なく、学園内でも、彼の私に対する態度がかなり過保護だと噂されており、それを聞いたお兄様は『まあ、本当のことだしね』と気にしてないようだった。


 メイジーも変わりなく、学園がある日は毎日付き添ってくれている。レオは『俺、そろそろ髪切ろうかな?』と言っていた。



 全てが滞りなく流れていくと思えた、そんな折、王都にある水の中央精霊神殿に、神託が下った。

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