1-3 夢を整理してみよう
体調が回復したので、夢の内容を紙に書き出してみようと思った。
念のため、侍女のアルマが下がった後、文字も“綾”が使っていた“日本語”で記す事にする。
ランプの暖かい光に照らされながら、ゲームとこの世界の共通点を思い出す。
主人公の他に、主な登場人物は4人。
水の王子、ディラン・カリス(16)
炎の王子、アレン・ワンズ(16)
土の王子、シリル・ペンタクルス(14)
風の王子、ルイス・ソード・アルカナ(13)
年齢はゲーム開始時のもので、主人公は14歳で王立の魔法学園に入学する。
※〇〇の王子と言うのは俗称で、ルイス様は王太子、他の3人はそれぞれの属性の精霊の加護を受けた3大公爵家の嫡男となっている。
魔法が使えるのは上位貴族が中心と言われる世界で市井出身の主人公は、魔法を使える素質を持った“奇跡の子”として見出され、特別待遇を受けつつ恋に魔法に大活躍するストーリーだ。
その作中での私の役目は、ディランルートで彼の婚約者として二人の仲を邪魔しまくり、ハピエンでは国外追放、バッドエンドでも婚約を解消されて修道院送りとなっている。
それを阻止するには、お兄様との仲を良好に保つこと、魔法学園入学までに味方を多く作ること、魔法スキルを上げておくこと‥‥等とメモを取る。
羽ペンを置いて溜息をついた時、ドアをノックする音がした。
「リーディ、僕だよ」
お兄様だわ!
「いらっしゃい、待ってたわ」
ドアを開けると、寝衣を着た水の王子様が笑顔で立っていた。
まだ小さな頃から、毎晩欠かさずおやすみの挨拶をしに来て下さっている。