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カリス公爵令嬢は幸せになりたい  作者: 成海さえ
第一部 第三章 魔法学園一年生(14〜15歳)
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3-16 授業風景2

 午前の最後は水魔法の実技の授業だった。

 座学では護衛騎士は同席しないのだけれど、魔法の実技や選択科目のダンスや剣術の際は、護衛騎士の同席が許されており、場合によっては指導の補助も行う。


「えー、本日は“水魔法・中級”の授業ですが、水魔法をレベル13オーバーまで極めた魔導士の称号を持つ方が三名も補佐について下さっています。騎士のお二人には特別に演習もお願いしています。皆、良い機会なので、よく教えて頂きなさい」


 三名とはもちろん、お兄様、メイジー、レオの事だ。レオが手を挙げて注目を集める。


「はい、では、分からない事があれば何でも聞いて下さい。魔法の実技については練習あるのみなので、頑張ってね」


 メイジーも手を挙げる。


「体格差がある相手でも、魔法が使えると対等かそれ以上に戦う事も可能です。水系のサポート魔法も大事なので、マスターして下さい」


「あ、それじゃあメイジー、先にデモンストレーションしようか? 実際に見た方が早いもんな」


「そうだな」


 メイジーの視線を受けてお兄様が頷き、先生の許可も下りたので、フェアバンクス兄妹による水魔法のデモンストレーションが始まった。


「まず、戦う前に防御魔法を張ります。水の防御魔法は特に炎と水魔法攻撃に有効です。相手の属性に合わせて適宜変更して下さい。物理攻撃用のものも併用できます」


 メイジーが右手を振り上げると、水の膜が彼女を覆って消えた。相対しているレオも膜を張る。先生とお兄様が、見学している生徒にも二重に防御膜を張った。


「次に、相手の属性が不明な場合は、どの魔法が有効か確かめます。万が一効かなかったり跳ね返されるケースも考えて、最小の魔法を使いましょう。皆さんがレベル1で習得した各属性の球を放ちます」


 メイジーが右手をレオに向けると、四色の小さな光がレオに放たれた。


「ここでは、水魔法が有効であると仮定して続けます。武器は皆さんそれぞれ自分が使い易いもので構いませんし、魔法が有効な相手には魔法攻撃だけでも大丈夫です。私達は実践用のものを使用しますが、生徒の皆さんは練習用の木剣がありますので、それを使ってもいいです」


 メイジーの手に氷の鞭が現れ、レオも剣を抜いた。それを合図にメイジーの攻撃が始まる。魔法の鞭は軌道が読めず、レオが避けたその体を追いかけ直角に折れる。彼は鞭の追撃を剣で弾き続け、器用に避けているけれど、もし当たったらと思うと怖い。


 同時に間合いを取ったメイジーの左手からも魔法攻撃が繰り出されていた。水の矢が連続でレオを襲い、彼が左手で弾いたそれらが跳ね返って私達の防御膜に次々とぶつかり水滴に変わる。


 初級は単体魔法が主で、中級になると連続や範囲を広げて使うものが多くなる。戦いに慣れてない私達にもわかり易いようにゆっくり戦っているのだと思うけれど、目で追うのがやっとだった。

 今もメイジーが放った氷の塊が、レオの前に現れた土の壁にぶつかって霧散していた。



「お兄様、二人ってやっぱりすごいですね」


 いつの間にかぴったり体を寄せていたらしく、すぐ隣にいるお兄様の手を握る。辺境伯領にいた頃は剣術の練習風景を見る機会はあったし魔法の訓練もしたけれど、ここまで本格的な魔法を使った戦闘を見るのは初めてだ。


「そうだね」


 暖かい手が握り返してくれる。


「大丈夫だよ、リーディア。精霊魔法は大切な人を守るためのものだから、怖くないよ」


 隣を見上げると、彼は微笑んでいた。お兄様が近くに居ると安心するわ。ドキドキもするけれど‥‥

 ううん、最近はドキドキの方が多いかしら!

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