3-12 BDパーティー2
招待客はお母様のサロンや第一王女殿下のお茶会等で面識のある方ばかりだった。他はお兄様のご友人ぐらいだ。
当然、ゲームの攻略対象である各王子も揃っている。
「リーディア嬢、お誕生日おめでとうございます。ドレスもよく似合っていますね」
ルイス様は最初王太子殿下として普通に参加していたけれど、公務があるからと早々に退出され、変わってルイーズ嬢として遅れて到着した設定になっていた。
そして真っ直ぐ私とカミラ様の元に駆け寄ろうとしたところ、二人の王子様に阻まれてしまった。
以下、炎の王子・アレン‥‥ア
土の王子・シリル‥‥シ
風の王子・ルイス‥‥ル
()は心の声
シ「やあやあ、君もこのパーティーに来てたんだね、ルイーズ嬢? 同じクラスのシリル・ペンタクルスだよ。覚えてる?(足止めしようかな)」
ル「え、ええ。もちろんでございます(て言うか、早くどいて)」
ア「俺も噂のルイーズ嬢に会ってみたかったんだよなぁ。初めまして、アレン・ワンズだ。よろしくな(通すかよ)」
ル「初めまして、ワンズ卿。それでは‥‥」
お辞儀をして立ち去ろうとするも、アレン様に腕をがしっと掴まれる。
ア「それにしても、淑女の所作が完璧だな」
ル「お褒めに預かり光栄でございます。では」
シ「まあ待ってよ。せっかく弦楽器のアンサンブルが準備されているんだから、ダンスでもどうかな? それとも、ダンスは苦手?」
通常、身分が上の方からのお誘いは断り辛い。本当は王太子殿下の方が上なのだけれど、一介の伯爵令嬢を名乗っている今はそれほど強くは出られない筈だ。
隣からカミラ様の溜息が聞こえた。
「いつまでも子供ね‥‥カリス卿、挨拶回りが終わったなら奥様を借りても良いですか?」
奥様と呼ばれて頬が真っ赤になる。それを見て、カミラ様は楽しそうに笑った。
「ふふ。今週末の予定について話したいのです。いいでしょう?」
お兄様は私の手を離して頷いた。
「ええ。では僕はそろそろあの二人を止めに行こうかな。王女殿下、妻をよろしくお願いします」
「任せてください」
お兄様の背中の向こうで王太子殿下とシリル様がダンスを踊っているのが見えた。
カミラ様と木陰のベンチへ向かいながら話しかける。
「‥‥それにしても、意図していないとは言え、伯爵令嬢が公子達に囲まれるなんて、かなり目立ってますが大丈夫でしょうか?」
「ルイスは負けず嫌いですものね。まあ、あの子も多少は覚悟しているでしょう。身元はちゃんと偽装してあるから大丈夫よ。ただ、あの公爵子息達と仲良くなりたいご令嬢が沢山いると言う方が問題ね」
嫌な予感がするわ。ゲームの中でもいじめはあったもの。
カミラ様の隣に招かれて腰を下ろしながらそんなことを考えていたら、尋ねられる。
「他人の心配をしている余裕があるのね? あなたも今夜は初夜でしょう‥‥?」
えっ!
「ええ、それはそうですが、卒業するまでは今まで通りと聞いておりますので‥‥」
「急な入籍でしたから、居住する場所についてはそうでしょうね?」
カミラ様がにっこり微笑む。今日は金の巻き毛をサイドに流していらっしゃる。
言われてみれば、細かい説明は受けて無かったわ。お母様から夜についての話はあったし、今日からお兄様と寝室が同じだったらどうしよう‥‥いえ、夫婦なのだから、おかしくはないわ。
「ふふ、動揺しているみたいだから、もう聞かないわ。月末の観劇の話をしましょうか」
何か不安になって来たわ。
この後、レオも合流したりがあったのだけれど、あんまり覚えていない。
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