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カリス公爵令嬢は幸せになりたい  作者: 成海さえ
第一部 第三章 魔法学園一年生(14〜15歳)
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3-11 BDパーティー1

 4月は気候が良くてお花が綺麗な時期なので、ガーデンパーティーの形式で計画を立てていた。雨天に備えて、風魔法で薄い幕も張られていたけれど、今日は雲ひとつない晴天なのでそれも解除されている。


「今日は天気も良いし、楽しいパーティーになりそうだね」


 後ろに立ったお兄様がニコニコしているのが鏡に映っていた。アルマが私の髪を整えて、最後にティアラをセットする。


 今居るのは私の部屋ではなく、2階のドレスルームだ。ここからは中庭もよく見える。

 中央には大きな噴水が設置されており、光を反射して煌めいている。綺麗に整えられた芝生と庭木の緑が目に優しく、花壇には色とりどりの春の花が咲いている。


 招待客も集まり始めていて、女性客のドレスと日除けも兼ねた華やかな帽子が美しい。

 私は帽子ではなくティアラを乗せているので、メイジーが大きめの日傘を持って付き添う予定だ。


「そろそろ時間だね」


 耳元でお兄様の声がした。意識を庭に飛ばしていた私の肩が震える。


「あ、驚かせちゃったかな? ごめんね」


 お兄様は全然悪くない。昨夜のショックで私の心が乱れているだけだ。今回の入籍の件も、お兄様が是非にと望んだからと言う理由になっているし、この方に恥をかかせる訳にはいかないわ。


「ううん、少し緊張しちゃって。もう大丈夫」


 意を決して振り向いた。お兄様はしゃがんで目線を合わせていたので麗しいご尊顔が近すぎて動揺したけれど、頑張って笑顔を作った。


「そっか、今日は特別な日だからね‥‥僕は緊張と言うよりも、嬉しさの方が強いかな。あ、でもドキドキはしてるよ。分かるかな?」


 お兄様が私の手をそっと取り、自分の胸に添える。ジャケットの上からなのであまり分からないし、それよりも自分の心臓の音がうるさかった。

 かろうじて笑顔はキープしているけれど、顔が熱くなるのは止められない。

 助けてメイジー! と視線を送ったら、私の優秀な護衛騎士は少し笑ってお兄様へ話しかけた。


「若様、お庭へ参りませんと。お客様がお待ちでございます」


「うん、そうだね」


 お兄様はそのまま手を引いて私を立たせてくれた。アルマがドレスを整えてくれる。


「大丈夫だよ、リーディア。今日はずっと側に居るからね」


 その言葉に微笑みを崩さないように、ぎこちなく頷く。

 あぁ、お兄様の優しさよ‥‥!



 彼の腕に手をかけて廊下を歩く。

 結婚報告なので、今日は私もお兄様も白い衣装にしようかと言う話も出たのだけれど、パーティー用のドレスのオーダーを出した後に決まったので、最初の注文通り淡いピンク色となっている。

 お兄様のシャツも同色のものだ。


 階段に差し掛かっても、彼が上手に誘導してくれるので、正面を向いて堂々と降りていける。

 レオとメイジーが屋外への扉を開き、私達は眩しい庭園へと踏み出した。

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