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カリス公爵令嬢は幸せになりたい  作者: 成海さえ
第一部 第三章 魔法学園一年生(14〜15歳)
24/172

3-4 入学パーティー1

 お兄様にエスコートされて会場内へ入ると、王女殿下の侍女が出迎えた。


「カリス卿、公爵令嬢様、王女殿下がお呼びです。こちらへ」


 案内された先では、カミラ王女殿下が笑顔で椅子に腰掛けていた。


「王国の輝く星、第一王女殿下にご挨拶申し上げます」

 私とお兄様はそれぞれお辞儀をする。


「カリス卿、久しぶりですね。私の親友に長い間寂しい思いをさせた埋め合わせに期待していますよ?」


「お心遣い、痛み入ります。僕も二年間待たせた分、これからは妹との時間を優先的に設けたいと思っております」


 お兄様の返答に、王女殿下はにっこり笑って頷いた。


「そう、安心しました‥‥リーディア、婚約者が戻って来ても、変わらず私と仲良くして下さいね?」

「それは、もちろんでございます殿下。この学園でもご一緒できるのを楽しみにしています」

 私の返答に、殿下は満足そうに頷いた。


 この国の第一王女カミラ・ソード・アルカナ殿下は私の従姉妹であり、“綾”がプレイしていた乙女ゲームの悪役令嬢だ。

 金の巻き毛が美しいかの方は、ディランお兄様以外のルートでは、主人公をいじめる役となっている。


 ゲーム内では引きこもりだったリーディアとの絡みは全くなかったけれど、私は護衛騎士が付いた頃からお母様にお願いしてカミラ様との親交を深めていた。

 一見高飛車で冷たそうに見える反面、仲良くなるにつれ愛情深く可愛らしい所もお持ちなのだと分かって来た。


 本日のカミラ様のドレスはブルー系となっている。私がお兄様から贈られたものがそうだったので「では私もそうするわ」と決められたのだ。

 それは今回が初めてではなく、殿下のお茶会に出席する際にもドレスの色や小物を合わせたりしていた。


 ちなみに、このパーティーは庶民から上位貴族まで幅広い身分の生徒が出席するものなので、ドレスやアクセサリーは上質だけれど控えめなデザインとなっている。


 学園の近くにレンタルドレス屋さんがあり、ゲームの主人公は毎回そこで推し色のドレスをレンタルしていた。


 ‥‥そう言えば、主人公は居るのかしら?

 メイジーに視線を送ると、彼女は頷いてレオに短く声をかけ、側を離れた。


 同じくして会場に流れていた曲が変わり、パートナーが居る男女は手を取り合ってホールの中央に向かっていた。


「あら、ダンスタイムだわ。私はここから見守っていますね」

 カミラ様が私達に向かって仰る。


「では僕達も失礼します」

「ええ。楽しんで下さいね」

 お兄様にエスコートされて私も歩き出した。

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