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カリス公爵令嬢は幸せになりたい  作者: 成海さえ
第四部 魔法学園三年生(17歳)の冬〜春
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Ⅳ-10 辺境伯城での暮らし

 祖父母は私達を歓迎して下さった。お部屋も、客室を改装して私達夫婦の寝室を作り、私とお兄様用にそれぞれの部屋も用意されていた。


「リーディア、お帰りなさい。大変だったわね。よく頑張ったわ‥‥この国のために、ありがとう」


 お祖母様は泣いていた。隣で、お祖父様も息を吐きながら頷いている。


「ダレル(リーディアの父親)やソード大公と話したのだが、ディランが望むなら、中央を出てここで私の補佐として働き、いずれは辺境伯を任せてもいい。よく考えてみなさい」


「ご配慮ありがとうございます。リーディアとも話し合ってみます」




 使用人や騎士団への挨拶を終えると、お兄様はお祖父様とお仕事の件で離席されたので、自分の部屋で待つことにした。一緒に引っ越した私の騎士達と侍女のアルマも控えている。


「久しぶりですね、懐かしいなぁ‥‥この連なる山が近い感じ」


 ルディが窓の外を見ながら呟く。


「姫ちゃん、暖かくなったらまた遠乗りに行きましょうか? 前も楽しみにされてましたよね」


 レオの言葉に、以前こちらでお世話になっていた頃を思い出す。


「レオは王都から馬で駆けてきて疲れているのに、私のワガママによく付き合ってくれたわね」


 王都から馬→辺境伯城で一泊して朝から私を連れて遠乗り→夕方には王都へ向けて馬だったような。


「姫ちゃんの頼みであれば、何でもしますよ俺」

「私もよくお連れしたけどな」


 レオが居る間は、メイジーが私の側を離れることができた。なので、当時は二人揃って護衛と言うのはあまり無かったわ。


「本当に、自然が豊かでございますね。木の実や山菜取りに行ってみたいです」

「俺がご案内しますよ、アルマさん」

「前回、アルマは数日間しか滞在していないものね。ルディやメイジーに連れて行って貰うといいわ」

「ええ、そうさせて頂きます」


 みんなで話していたら夕食の時間になり、久しぶりのエリアナ様の手料理を、また懐かしく思いながら美味しくいただいた。そう言えば、ここには家庭菜園もあるのよね。またお手伝いしたいな。


◇◇◇


 夜が来て、寝室でお兄様と二人になる。


「リーディア、おいで」


 いつものように招かれ、膝の上に座ると、彼は私の短くなった髪を撫でた。最近はよく髪を撫でられる。試練の事を、まだ気にしているのね‥‥お顔を見たら、微笑んでキスされた。

 その合間に聞いてみる。


「そう言えば、お祖父様が仰っていた将来は辺境伯にって話は、どうするの?」

「君はどう思う?」


 今度は頬にキスされた。私は考えながら意見を述べる。


「私はディラン様と一緒に居られるなら、どちらでもいいわ。ただ、今すぐにと言うのは、難しそうね」


 官吏のお仕事は激務と言っていたし、そんな職場から優秀な人材が一人抜けるのは、残される側が大変だわ。


「そうだね、僕も入ってまだ三年だから、もう少し中央の様子を知りたいかな。その方が、こちらの仕事もしやすくなると思うから」


 耳に優しくキスされた。今夜はスキンシップが多い気が‥‥そうだわ、試練を終えてからは私の体調が良くなくて、仲良くするのはずっとお預けだったのだわ‥‥一ヶ月くらいになるかしら?

 私の頬が熱くなるのを見て、お兄様は私を抱きしめた。


「リーディア‥‥話の続きは、明日でいい?」

「はい」


 私が頷くのを確認して、ベッドに運ばれる。


 その夜は、お兄様に何度も求められた。

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