表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カリス公爵令嬢は幸せになりたい  作者: 成海さえ
第二部 魔法学園二年生(15〜16歳)
106/172

II 27 我が国の対応

 放課後、また用務員室に集合すると、ルイス様から説明があった。


「犯行予告がありました。全体のことは陛下や閣下達にお任せして、ここでは私達の役割について話すね」


 シリル様製作の資料が配られ、それに目を通す。


「決行日は12月22日、これはエストリアのベルにも確認済みだよ。辺境伯領や各公爵領からも応援があるけど、この学園にも応援要請が届いている。主に救護班用に30人ぐらい欲しいそうだ。学生も戦闘に巻き込まれるかもしれないから、それも覚悟してね」


「騎士コースから行けそうだな」

 アレン様の言葉に、ルイス様が頷く。

「そうだね、後は神官コースもかな」

「ええ、私も応援に行くわ」

 カミラ様が声を上げ、お兄様も続いた。

「僕とリーディアも参加するよ」


「ペンタクルス領は海賊対策があるから、あんまり協力できないんだよね‥‥と言う訳で、俺と大公が代表で頑張ります」

 シリル様が大きく名乗りをあげる。


「それで、悪魔はどれくらい現れるか分かっているのか?」

 アレン様が尋ねた。


「もちろん確認してるよ、エストリアの全面協力があるからね。おおよそだけど‥‥中級が100、下級が1000、低級が10000ぐらい。全て国境の“悪魔の深淵”上空に設けられる転移ゲートから出現するそうだ。数が多いけど、一度に全部出てくる訳ではないし、今回の依頼を受けた上級魔族は参戦しないって。まあ、出口で上司が待ってる訳だから、出て行けないよね。それで、地図を見てもらえる?」


 指示されて、地図のページを見た。兵の配置などが記されている。


「前線にはフェアバンクス伯爵はじめ、魔物との戦闘に慣れているワンズ辺境伯領の騎士と兵士達、それと初動で使う弓兵と魔導士が多数、第二線にはワンズ領、カリス領と辺境伯領等の援軍、学生は戦闘補助だからかなり後方で神官等の救護班は更に後ろだよ。今回の指揮はアレンの父上、ワンズ総帥だね」


「最初に弓兵と魔導士で撃ち落とす作戦?」

 アレン様の質問に、ルイス様が頷いた。


「目立つ場所にゲートが現れるから、森に降りる前に少しでも減らしたいよね。エストリア側も弓兵を配置して援護してくれる予定だよ」


「確認だけど、ゲートの出現場所はそこで合ってるのか? いきなり王都に現れる可能性は?」


「それはないよ。詳しくは話せないけど、“悪魔の深淵”上空で話はつけてあるそうだ」


 ルイス様は確信を持っていらっしゃるようだった。陛下やお父様はじめ重鎮の皆様はあらかじめ対策を取っている筈だし、まだ学生の私達は信じるしかないわ。


 説明は続き、学生は一週間前から現地へ赴いて、訓練に合流し本番を迎える流れになった。


◇◇◇


「リーディア、怖くない?」


 帰りの馬車でお兄様にそう聞かれたけれど、私は大丈夫と答えた。今までだって何度も危機はあったし、それに今回は頼もしい仲間が沢山いるもの、と自分に言い聞かせる。


「でも、レオとメイジーが前線に行くのが心配だわ。後は、カミラ様も嫁いでしまわれるのね」


 エストリアの全面協力を得られる代わりに、結婚の時期が早まった。カミラ様は学園の2年生が終わるとエストリアに行ってしまう。


「レオとメイジーは無事を祈るしかないけど‥‥エストリアの上級魔族二人が参戦するのは大きいね」


 撃退方法はいくつかあると思うけれど、次を作らない為にも、今回は強硬派の攻撃を退けたと言う前例を確立しておきたいらしい。カミラ様も、それをよく分かっていらっしゃるから同意したのだわ。


 色々考えていると、思わずため息が出た。


「みんな仲良くできないものかしら?」

「それは、難しいね」

「そうね」


 何か楽しい話題を探そう。

 お兄様のお顔を見ると、にこっと微笑みかけられた。相変わらず綺麗な瞳だわ‥‥あ。


 私はいつも身に付けている、お兄様から頂いたペンダントを襟元から引っ張り出した。このペンダントトップは、空の魔法石にお兄様の魔力を注いだ特注品だ。瞳と同じ色に輝いている。


 私はいつも貰ってばかりなので、魔法レベルも上がった事だしお兄様に同じものをと思い、夕方の空いた時間を使って、こっそりその制作に取り掛かっていた。もうすぐ完成する。

 それを話そうかなと思ったけど‥‥


「どうかした?」

 動きを止めた私を彼が覗き込む。


「えっと、お兄様の魔法石を確認したくなっただけ」

「不安になった?」

「ううん、大丈夫」


 その時点では大丈夫と言う事にしていたけれど、邸に戻るとお客様が待っておられた。


※補足※

アルカナの地理と軍隊に関しては、ポルトガルを参考にしています。

(海に面した西端の国、隣に強国、その向こうに大国)

軍隊の事は全く分からないので悩んだのですが、予備兵も合わせて兵力は全体で1万7000ぐらい、今回参戦するのはワンズ辺境伯騎士団が3000で国内からの応援が2500+エストリアの協力もある感じです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ