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カリス公爵令嬢は幸せになりたい  作者: 成海さえ
第二部 魔法学園二年生(15〜16歳)
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II-25 用務員室

「ええーっ、悪魔がなぜディア姉様に? 上級魔族相手だと、“影”でも厳しいかもしれないなぁ」


 授業中に悪魔に会ったと話したら、ルイス様が驚いたあと溜息をついた。


「リーディア、何もされてない?」


 お兄様も心配そうに私の顔を覗き込む。考えてみると、ワンズ公爵邸のパーティーで私の様子がおかしかったのは、おそらくアスモさんの影響だわ。今回は時間が経っているからか、お兄様のお顔を見ても頬が熱くならない。

 私は、お祖父様も含めてみんなにアスモさんから聞いた話を伝えた。



「ソード大公、よろしいですか?」


 話を聞き終え、ルイス様がお祖父様に了承を得たうえで私とお兄様を見た。


「実は、トゥラス教強硬派の件は、先日エストリアからも報告があってね、もう対策を取ってあるんだ」


「と言いますと?」

 お兄様が続きを促す。


「第一に、強硬派の資金源を断つために、活動拠点となっているモンテネール聖神国が、繋がりのある有力貴族や団体を洗い出している。第二に、悪魔と戦闘になった場合、エストリアの全面的な武力支援を受けられる事が決まったんだ」


 そこまで話が進んでいるなら、何とかなりそうな気がするわ‥‥私は息を吐いた。


「その強硬派の依頼を受けた悪魔をこちらが呼び出して、先の依頼を取り消すことはできないのでしょうか?」

 お兄様が二人に問いかける。


「ベルに直接尋ねたんだけど、一度引き受けた依頼は取り消せないみたい。それと、ディア姉様が会った悪魔の言う通り、国家間の争いには関与したくないんだって。最悪、唯一神に存在を消されちゃうらしいよ」


「エストリアの武力支援を受けられるのでしたら、皇帝陛下や皇太子殿下の使い魔も参戦するのでは? それは大丈夫なのですか?」


「“悪魔の深淵”はエストリアの国境にも接しているから、国を守るためと言う名目なら今回はセーフらしいよ」


 そうなのね‥‥私は良かったですね、と隣のカミラ様に微笑みかけた。一呼吸置いて、笑顔が返ってくる。あら、どうしたのかしら?


「さあ、難しい話はそれくらいにして、おやつでも食べなさい。ディラン用に甘くないものも用意してあるからね」


 お祖父様自らがお茶の用意をしてくださったけれど、念の為私は飲み物だけにしておいた。ちなみに、最近のお昼は学食ではなく邸でお弁当を作ってもらっている。


「そう言えば、今日は学園で小さないざこざが数件あったみたい。その悪魔の影響なのかな?」


 ルイス様の言葉に、私は頷く。

「情欲と嫉妬に関するものでしたら、無関係ではないかもしれません」


「エストリアではどうなの? 使い魔が何人かいるけど、あんまり被害なさそうだよね?」


 ベリーを使った大人向けのモンブランを召し上がっていたカミラ様が、フォークを置いた。


「ベルやパイモン等、周りの人間に影響が出そうな上級魔族は、自分達で力を抑えているそうよ」


「そうなんだ、ではアスモデウスって悪魔は、敢えてコントロールしてないって事か」

 考え方が悪魔らしいね、とルイス様が仰る。


 私はフルーツタルトを美味しそうに召し上がっているお祖父様に尋ねてみた。

「お祖父様は、悪魔をご覧になった事はありますか?」


「ああ、あるよ」


 そのお返事に、みんなの興味が集まる。お祖父様は懐かしむように微笑んだ。


「エストリアの現皇帝陛下が即位された頃に、マリッサに会いに来た事があってね、その際に使い魔も一緒だったよ」


「お祖父様もベルに会ったのですか?」

 カミラ様が尋ねる。


「いや、あの時はベルではなく、ルキと呼ばれていたな?‥‥フードを被っていたし仮面もつけていたから、使い魔の顔はよく分からなかったが。皇帝陛下がデビュタントを終えた頃だから、約30年前だよ」


 では、途中から使い魔が交代したのかしら。エストリアに関しても、まだまだ分からない事が多いわね。

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