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カリス公爵令嬢は幸せになりたい  作者: 成海さえ
第一部 第一章 幼少期(12歳まで)
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1-9 リーディアのイメージ作戦会議

「皆様、本日は私の娘の為に集まって下さってありがとう」


 お母様の涼やかな声で会議が始まった。

 14歳のデビュタントに向けて、社交界での私のイメージ作りをどうするかの会議である。


 参加メンバーはお母様、(父方の)お祖母様、礼節の先生のシスター・リル、ドレスのデザイナーのクロエ、彫金師のステラ、それに侍女のアルマと護衛騎士のメイジーだ。


「それで、大体の方向は決まっているのね?」

 お祖母様の問いに、お母様が頷く。

「はい。リーディア本人の意向も含めて、このようにしたらどうかと思うのですが」


 アルマが書類を配る。そこには、こんなスタイルで行きたいと言うイメージの概要が書かれていた。それを確認したお祖母様が続ける。


「なるほど、清楚系なのね。だったらデビュタント後のドレスは露出が少なめの方が良いのかしら?」


 それにはデザイナーのクロエが答える。


「そうですね、お胸よりも見せるならお背中、優しい雰囲気も出したいので素材は柔らかめの方がよろしいですね。ただ、今はまだ御歳10歳でいらっしゃいますので、ドレスを作られるにしても可愛らしいものがお似合いですわ」


 それはそうだ。私も似合ううちにレースがいっぱいついたフワフワしたドレスを着たい。


「姫の体型につきましては、ご本人も希望されていらっしゃいますので私が責任を持って管理させていただきます」

 私の後ろに控えていたメイジーも会話に入る。


「でしたら、将来的にはマーメイドラインや緩く身体に添うようなスレンダーラインも良いですね」

 クロエは頷きながらメモを取っていた。


「アクセサリーは、大きな目立つものよりも小振りで繊細なものが合いますね。ご婚約者様が既にいらっしゃいますので、使う宝石の色味も決まって来るかと」

 彫金師のステラがデザイン帳をパラパラ捲りながら告げる。


「近いうちに実家へリーディアを連れて行くつもりだから、とりあえずこの子の外出用のドレス数着とアクセサリーをお願いするわ」


「まあ、素敵!‥‥王宮でございますね」


 お母様は現国王陛下の妹にあたる方なので、実家と言えば王宮になる。


「王族の皆様にお会いするのであれば、言葉遣いや所作も、もう一度復習しておきましょうね、リーディア様」

 シスター・リルがにっこり微笑んだ。


 私は可能な限り様々な学習に励んだ。それが悪役令嬢にならない為の道だと思ったからだ。

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