37
あはははとオッタァ侯爵の広い会場に笑い声が響き渡った。
「その通りです。上手く行くと思っていたんですけどね。
殿下が治る事と真凛があんなに酷いとは思って居なかったです」
笑いながら答えた。
「お前に家族を人質にされた、待女が毎日枕の下に術を掛けた紙を置き、半年掛けて術を掛ける執念はある意味尊敬するよ。
ちなみにお前の協力者達と暗殺者達は全員牢に入っているよ。
何故こんな事をした?」
「何故だと?本当は私が玉座に座って居てもおかしく無かった。
俺の子孫は王族として生まれ第一子だったのに、人間なんかに産まれた事で王位を諦めオッタァ家と結婚した。
俺が居たであろう場所を狙ってなにが悪い。
玉座は俺の物だ!!」
顔を真っ赤に染め叫ぶ。
「なんて身勝手な言い分だな。
お前の子孫はツガイ同士で、オッタァ家の子供は彼女しか居らず、彼女と結婚したいが為に王位を諦めたと記録に残っている。
それを人間だからと馬鹿にして、身勝手な欲望の為に、俺とエリィを狙っただけだろうが!
お前なんかが王位を継いだ日にはこの国は国として終わっただろうな。
お前には、税収の不正、恐喝、詐欺、この国では禁止されている人間に対する差別による人身売買、王族を術を掛けた罪、王位簒奪、そしてエリィに対する名誉毀損の罪がある。
そんな者が王位を継ぐ資格はない」
「五月蝿い。お前に俺の何が分かる」
「ふん、自分勝手で、傲慢なお前の気持ちなんて判りたくもないな。
「お前を拘束する。牢に入れておけ」
オッタァ侯爵は騎士によって会場を後にした。