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王太子執務室に案内され中に入ると、

椅子に座り、机の上に向かって顔だけを上げ、

熱の篭らない金色の瞳で

「エリーナ嬢もう体の方は大丈夫かな?


えっ

エリーナ嬢?

今まではエリィと呼んでくれてたのにどうして?

この1か月の間に何があったの?

と困惑し、クレインの方を見た。


そのクレインも主であるアルフォンスの言葉に驚きを隠せなかった。


どうにか心を立て直し

「ご心配お掛けしてしまい申し訳ございません。

もう体は大丈夫です」

と手を握りしめて答えた。


そんなエリーナの様子を見ていないアルフォンスは

「無理せず体を大切にしてくれ。すまないが今日も忙しいので、このまま帰って貰ってもいいかな?」

もうエリーナを見ず、書類にペンを走らせていた。


そんな様子のアルフォンスに不満が爆発したエリーナは

「私が何かしましたか?

ここ最近アルはおかしいです。

不満に思ってる事があるなら仰って下さい」

と詰め寄った。


「何も無いよ。ただ今は忙しくて少し余裕がないんだ。

だから少し待ってて欲しい。」


「じゃあなんでエリーナ嬢っていうんですか?

それにさっきから全然目を合わしてくれないじゃ無いですか?」

「成人したから、公私混同は控えるべきだと思って、これから学園にも通う事だし、今しか出来ない事しておきたいんだ。だから、何度も言うが待ってて欲しい」


と淡々に答える様子に余計に怒りに火を付けたエリーナは、アルフォンスの腕を取り、

「話を誤魔化さないで下さい。

なんで……

今まで通りじゃダメなんですか?

仕事の邪魔したいわけじゃない。

ただアルフォンス様ともう少しお話ししたり、ランチをしたり、お散歩したりする時間が欲しいだけです。

忙しいという言葉で私の事から逃げてるだけじゃ無いですか?

私は貴方から香る甘い匂いをまだ感じてるんですよ。

もう貴方にとって私はツガイじゃ無いんですか?」

泣きながらアルフォンスに詰め寄った。


そんなエリーナを見ながらイラつき、

「そうじゃない!

とりあえず離してくれないか!」

とエリーナの手を強引に振り放った。




その瞬間体勢を崩したエリーナは机に頭打ち気絶した…


小さい声でエリィ…と言いながら、アルフォンスは動く事が出来ず、その場で立ち竦んでしまった。



エリーナはそのままレオパルト公爵の家に連れて帰り、医師に見せたところ、脳震とうと診断されたが、その後熱を出し、1週間目を覚ます事が出来なかった。

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