表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕は償えない  作者: いりこ
32/41

町長

 巡査がいつもの様にパトロールしていた。

 町長の自宅前を通っている時に、大きな桜の木の枝に太いロープが結ばれていたのを巡査は見つけた。

 胸騒ぎがした。直ぐに敷地内に入り桜の木の辺りに行くと、足台に乗った町長がロープで作った輪の中に頭をくぐらせようとしていた。

「町長!」

と巡査は町長に飛び込み、首を吊ろうとしていた所を制御した。

「死なせてくれ!こんな屈辱を受けた事がない! 」

「町長! 」

 虚しく太いロープの輪が空中の中静かに揺れていた。2人の声を聞いた夫人が駆けつけた。桜の木にぶら下がるロープの輪を見てゾッとして一瞬脚の力が抜けそうになった後、

「あなた!…あなた何故…」

と町長に飛び付き涙を流しながら夫を揺さぶった。町長は、放心状態のままペタリと座り込んでいる。

「一馬は化け物になってしまった…」

と何度も呟く夫を抱きしめながら、夫人は涙を止めどなくながした。


 ローカルニュースや新聞で、町長の自殺未遂が直ぐ様報道された。


 自宅に居た藍香と父と母も流れて来たニュースを見て唖然とし!言葉を失った。

 暫くの沈黙の後、

「ズルいよ…。私も、お父さんもらお母さんも一緒に闘ったのに揉み消して…。

 私達はその中でも必死に立ち上がって来たのよ。何で町長は逃げるの…。

 死のうとされたら私達…罪悪感が湧くじゃない。被害届け出す事なんてとても出来ないよ」

 藍香の言葉の後、一家共々また沈黙となった。

闘う事さえ出来なかった悔しさと罪なき罪悪感に沈んだ。

そして、被害届けを出す事を断念した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ