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僕は償えない  作者: いりこ
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健斗

 農業を営む家が多いこの地域で僕は育った。この小さな田舎では子供は少なく保育園の仲間も、帰宅後遊ぶ友達も小学校の同級生も、中学校のクラスメイトも、ずっと同じ顔ぶれだった。つまり一つの学年にクラスは一つしかないのだ。

 町の中に知らない人は居ない小さな町。とても狭い人間関係だった。

 藍香も幼い頃からの同級生の1人で、幼稚園や小学校から同じ教室で学ぶ1人だった。

 藍香は幼い頃からスポーツが大好きで、優しくて純粋でいつも瞳が輝いていた。

 藍香の両親は自然豊かな土地での子育てをと思いこの地域に来た。父親は隣町の会社まで毎日車で通勤して居た。

 僕は藍香を幼い頃からずっと好きだった。好きだけど…好きだけど…素直になれず、照れ臭くていつも藍香に素っ気なくしていた。好きなのがバレるのが怖かった。

 藍香も口数は多くない。だから僕が素っ気ない態度をしても違和感は無く過ごせていた。

 藍香は僕に好かれてるなんて思いもよらなかったのではないかと思う。


 そして僕らが中学2年生だったあの日…僕は藍香を傷つけてしまったのだ…。

 僕は恥ずかしさを隠すつもりだけだった。まさか藍香がこれ程までにも苦しむ事になるなんて…。

 僕は思春期の多感な中で、藍香に気づかれない様に彼女の姿を僕の視界の片隅に入る所に目線を置く事が増えた。

 藍香は屈託ない清らかな笑顔でクラスメイトの女子と仲良くしている。

 授業中に真剣な眼差しで黒板を見ている姿、部活の陸上で1000m走った後に呼吸を整えながらタオルでキラキラした汗を拭いている姿、どれもが愛おしかった。

 そんな僕の気持ちに気づいたのが遊び仲間の沼川諒我だった。

「おい、健斗。」

と僕をからかう様にほくそ笑んで声をかけて来た。

「お前、藍香の事好きだろ」

「そんな事ないよ。何だよいきなり」

僕はヒヤッとしながら焦りを隠した。

「お前いつも藍香を目で追ってるんだよなあ。なあ一馬」

「やっぱそうだよな!健斗の藍香見る目、何か違うと思ったんだよなあ」

「おい、違うって! 」

僕が必死で否定すると諒我と畠野一馬は更にからかう…。

そんな時に藍香は教室へ入って来て、帰宅する為に鞄を持った。このタイミングに僕はヒヤヒヤした。諒我が藍香の前でもしつこく

「健斗、藍香に告れよ! 」

と大きい声で藍香にも聞こえるように言った。

 僕は…藍香が好きなのに…ずっと好きだったのに…恥ずかしくて否定したかった。

 「藍香なんてションベン臭えから嫌いなんたよ!」

と怒鳴ったんだ。

 藍香はそっぽ向き、僕らを無視して教室を出ようとした。

 出入り口で諒我は藍香の行手を阻むと 

「お漏らししてんのか」

と詰め寄った。藍香は相手にせずもう一つの出入り口へ向かおうとした。その時に一馬が藍香の足を引っ掛けて転ばせて…その時に藍香の制服のスカートを持ち上げた。藍香のショーツには生理の経血が少し付いていたのが見えた。刺激的だった。

 僕らはいけないと分かっていても美しく伸びた脚を見て歯止めが利かなくなった。藍香を3人で犯した。

「やめて、嫌だ」

と何度も叫ぼうとした藍香の口を手で塞いで、僕と諒我が藍香の腕を押さえつけて、一馬が藍香の制服を脱がして見様見真似の行為を思う存分楽しんだ。

 藍香は怯えて死ぬ程泣いて、ずっと抵抗していた…。なのに…僕らは一馬が藍香の美しい身体をむしばむのを結託して手伝い、諒我と競うようにその行為を夢中になって眺めた。

僕は卑劣な人間に成り下った。今の僕ならそう思う。でも、あの時の僕は刺激的な光景を野次馬の様に諒我を押し退けて眺め、自分も体験したいとばかり思って藍香の痛み等一つも考えていなかった。

 終わると藍香は急いで服を着て、全速力で逃げていった…。

 グラウンドでの軽やかな走りとは違い、よろめくのを必死で堪えながら魔物を見たかの様に走って行った。

きっと藍香の事だ。家に帰ったら部屋で声を殺して泣いて、お父さんとお母さんの前で笑ってたんだと思う。僕は最低だ。


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