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ロージア ~悪役霊嬢に聖女の加護を~  作者: けっき
第11章 悪役霊嬢の降臨
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紅薔薇の神託

 不測の事態と咄嗟の判断が何より苦手な王がしたのは壇のすぐ下の公爵に目配せをすることだった。ロージアはパーティー会場に不法侵入したわけだが、オストートゲに何も聞かずに捕えていいかわからなかったからだろう。


「陛下、あれは曲者です。お早く兵を!」


 思わぬ再会にたじろぎつつも父は冷静に促した。「偽公女をひっ捕らえろ!」と警備兵に指示が飛ぶ。だが真の混乱はここからだった。


「偽公女? ど、どこにそんな人がいるのですか?」


 乾杯に参加していない兵たちにはロージアが見えないのだ。もたつく彼らに痺れを切らしたオストートゲが「どけ!」と人垣から飛び出す。すると舞台は狙った通りに動き出した。


「ロージア! 貴様追放された分際で──」


 娘の腕を掴もうとした父の手が擦り抜ける。勢い余って身体ごとロージアの背後に抜け出たオストートゲは愕然とこちらを振り向いた。

 さぞかし驚いたことだろう。殺したはずの娘がまだ存在するばかりでなく、触れることのできない「何か」に変わってしまっているのだから。


「ヒッ……!」

「なんです、今のは!?」

「ま、ま、まさか幽霊……!?」


 大広間はパニックに陥った。逃げ惑う者、腰を抜かして座り込む者、連れを背中に庇う者、反応はそれぞれだが皆一様に恐怖の相を浮かべている。


「衛兵さん! 早くなんとかしてちょうだい!」

「本当に見えないのか!? 偽公女が化けて出ているんだぞ!」


 警備担当の兵士らは当惑するのみだった。「この世を恨んで怨霊になったのかも」と捲くし立てる人々に背中を押されて剣を抜くも、まったく見当違いの場所に切りつけるふりしかできない。彼らが戦力外とわかると恐慌はより強化された。


「お、おのれ悪霊! 余とリリーエの婚約がそれほどに気に入らぬか!」


 躍り出たのはエリクサールだ。未来の妻が見ているからか王太子は勇ましくロージアに跳びかかってくる。神聖力なら邪気を祓えるとでも考えたのだろう。こちらの掌の上だとは気づきもせずに彼は剣を振りかぶった。


「な……ッ!?」


 またも大きなどよめきが巻き起こる。これで一巻の終わりだと亡霊の消滅を見届けようとした者たちは今度こそ目を見開いた。

 ペテラの血を継ぐ王族の刃を受け止めたのは黄金の膜。エリクサールのそれより厚い保護のオーラだったから。


「し、神聖力……!?」


 ロージアに届くことなく剣は空中に静止している。エリクサールがどんなに力をこめようとピクリとも動くことはなかった。


「悪霊だなんて酷いことを仰いますのね」


 にこやかにロージアは元婚約者に笑いかける。


「わたくしは聖女ペテラの加護により戻って参りましたのに」


 告げると同時、暴風を起こして王太子ごと剣を床に叩きつけた。嵐を纏って前へ進む。見えない者にも何かがいると感じさせ、見える者にはよりいっそう畏怖すべき存在が現れたことを感じさせるために。


「ひぃっ!」


 対峙した王はガタガタ震えていた。異母妹もまだ尻餅をつくエリクサールや父と同じに呆然と目を瞠っている。誰も何も言えないうちにロージアは力強く己の声を大広間に響かせた。


「エリュピオン国王陛下にもう一度申し上げます。エリクサールとリリーエの婚約を認めてはなりません。この女は父オストートゲ・アークレイと共謀し、わたくしを偽の公女に仕立て上げ、命を奪い去りました。清らかなるペテラの血脈を保つために、断じて彼女を王家に招いてはなりません!」


 どよめきは三度目にしてようやく別種のものに変わる。


「偽の公女に仕立て上げた?」

「妹と父親が?」

「一体どういうことなんだ」


 遠巻きにこちらを見やる貴族が一斉にざわついた。


「で、でたらめですわ! とんでもない詭弁です! ロージアお姉様が屋敷を追われることになったのは母君の不貞の証拠が見つかったからですもの! 陛下、どうかこのような中傷を鵜呑みになさらないでください!」


 さすがリリーエは空気の変化に敏感だ。理解しがたい状況だろうに本能的に対応してくる。しかし彼女の反論も所詮は想定範囲内だった。


「ですからその証拠品が捏造されたものだと言っているのです」


 ロージアはきっぱり断言する。鋭く異母妹を睨み据え、一瞬も目を逸らさずに。

 リリーエはリリーエで呆れるくらい小賢しかった。動転している王は放置し、彼女は同じ壇上のセイフェーティンにちらりと素早く視線を送る。


「……まずその者が本当にペテラの加護を受けているのか検証するべきではないか?」


 大神官は突然現れた亡霊の自称を疑うふりをした。父と異母妹は彼を味方と思い込んだままなので、それに合わせて公爵家の肩を持ってやったのだ。

 だがもちろんロージアには都合良い流れである。力を示すには正当な機会を得たほうがいい。傍若無人な無法者ではないのなら。


「ではわたくしが怨霊などとは違うことをお確かめくださいますか?」


 言ってロージアは周囲に旋風を巻き起こした。強い風では決してない。広間に花びらを撒くだけの柔らかな風である。

 紅薔薇のふっくらとした赤い花弁は宙を舞ううちに金色に変わり、ひらひらと皆の頭上に降り注いだ。先日ストックしておいた何千というあの薔薇だ。

 目の前の情景に人々はすぐ思い至る。これが祝福の再現であるということに。


「おお、この花は……!」

「黄金の薔薇! 聖女の奇跡よ!」

「じゃあ本当に彼女はペテラの……!?」


 ロージアに向けられた眼差しは一転して聖女を尊ぶものになる。こうなれば当然アークレイ家への疑惑は大きく膨らんだ。


「…………っ」


 リリーエとオストートゲが青ざめたままこちらを見やる。まさか手にかけた当人に罪を暴かれる羽目になるとは思いもしなかったに違いない。彼らの額は汗でじっとり濡れていた。

 さあ一体どんな言い訳が始まるのだろう。おおよその察しはつくが。


「ペ、ペテラの加護を受けているからと言って全知全能なわけではなかろう! 母親の不貞が捏造されたものだと? そうであればいいのにとお前が望んでいるだけだ! 逆恨みでアークレイ家を貶める気か!?」


 オストートゲが石壇の傍らでそう吠える。ここでロージアに非を押しつけるとはなかなか強気な発言だ。


「そうですわ! わたくしたち、世間に顔向けできないような真似は一切しておりません! お姉様こそ憶測で印象を植えつけるのはおやめください! 一方の主張だけを盲目的に信じるのは真実を見落とす愚かな行為だといつも仰せになっていたではありませんか!」


 口の達者な異母妹も父の反論を援護した。

 やはり思った通りである。二人ともロージアの事実誤認の可能性を主張することしかできない。

 溢れんばかりの神聖力を見せつけたのだ。悪霊として始末したくとも丁重に扱わざるを得ないのである。ロージアは十分な発言力を確保できたと断じると場の主導権を握ったまま話を次の段階へ進めた。


「確かにそうね。司法官でもないわたくしがあなた方を断罪するのは倫理的に良くないわ」


 あっさりと異議を認めれば大広間に波紋が広がる。公爵家を懲らしめるべく現れたのではないのかと貴族らは顔を見合わせた。

 今ここで父と異母妹を屠るのは難しい話ではない。しかしそれでは公正さに欠けるというものだろう。

 秩序はロージアが最も重んじるものである。もし明らかな現行犯であったとしても弁明の場は正しく設けられねばならない。それは霊として目覚めた当初、異母妹たちに償わせると誓ったときから決めていたことだった。


「なら神殿裁判の開廷を要求すればいいかしら?」


 ロージアはセイフェーティンを横目に見ながら問いかける。滅多に聞かない審判の名を耳にしてオストートゲが眉をしかめた。


「神殿裁判だと……!?」


 訴えられ、聖像の前に立たされるというだけで貴族には耐えがたい不名誉だ。神国ペテラスの中枢を担う大貴族アークレイ公ともなれば屈辱は何十倍にも感じられるはずだった。


「ええ、そうです。そうすればどちらの言い分が正しいか、はっきりとわかるでしょう?」


 答えつつ大神官に目を戻す。だが彼はオストートゲとリリーエの手前、口を開こうとしなかった。

 セイフェーティンの同意がなければ神殿裁判は開かれない。彼が逡巡を装う間にロージアは次の布石を打つ。

 向かい合ったのは壇上の腑抜けた王。情けなく硬直したままの。

 ロージアは粛々と聖女のごとく語りかけた。わずかも声音を乱すことなく。


「ペテラの望みはただ一つ。この国がより善き者に統治され、より善き国家であることです。そこにわたくしの私情を挟む余地は微塵もありません」


 宣言する。報復のためではなくペテラスの未来を案じて出現したこと。

 そして跪いて乞うた。一応は現国王であるエリュピオンに。


「アークレイ家のオストートゲとリリーエを法廷にてお裁きください。彼らがわたくしを謀殺した証拠は必ず出てくるはずです」


 君主が怯えて無言を貫くだろうことは予測していた。貴族会議の承認なしに彼が決定できるのは晩餐のデザートくらいだから。

 だがここまでお膳立てすれば別の標的が引っかかる。狙った通りにその声は後方から割り込んできた。


「まっ、待て待て! リリーエはそなたと違って可憐で優しく繊細なのだ! おぞましい容疑で裁判にかけるなどあってはならぬ!」


 エリクサールは剣を手に壇上へと駆け上がり、小柄なリリーエを庇うように立ち塞がる。王太子が浅慮にも公爵家についたことで大広間の空気はまたもや塗り替わった。


「確かに人畜無害そうなお顔立ちではあるよな……」

「あら、人間腹の底では何を考えているかなどわかりませんわよ」

「それを言うなら紅薔薇の君だってそうだろう」


 ロージアとリリーエ。どちらの言葉が真実なのか見定められず、貴族たちは立ち位置を決めかねている。否、彼らには真実などさほど重要でもないのかもしれない。誰が最大勢力の中心であるかさえわかれば。


「エリクサール、あなたはわたくしではなくてリリーエを信じるのね?」


 念を押すように問いかける。こう尋ねたのは最後のチャンスを与えるためだ。頷けば彼は引き返せなくなるから。

 王太子なら王太子に相応しい判断力を持たなければならないのだ。婚約者というだけで過剰に肩入れすることなく。


「当然だ! リリーエは美しい金髪と純真な笑みの持ち主なのだぞ? 裁きを待つまでもなく無罪は明らかではないか!」


 心の中で本当に馬鹿な男だと嘆息した。自分の世界が崩れるかもなど考えたこともないのだろう。つい先程ロージアが述べた言葉の意味を理解していればもしかして助かったかもしれないのに。


「エリクサール様、お気遣いありがとうございます。ですがこうなった以上は出廷するしか身の潔白を証明する方法はありませんわ……!」


 この場で最も冷静さを保てているのはやはりリリーエ・アークレイだった。然るべき貴族教育を受けていたわけでもないのに最初から異常に優秀だった異母妹。彼女はもう己の名誉が著しく傷つけられたこと、神殿裁判で勝つ以外に汚名を(すす)ぐ道はないことを理解している。意思ある幽霊などという意味不能な現象を相手にしながら。


「ただしお姉様、必ず公平を期してください。わたくしたちとお姉様、どちらが正しいか見極める証拠品は通常の裁判と同じにしてほしいのです。訴訟人も証人も生きた人間でなければアークレイ家は応じませんわ! 裁判員は死者の言葉というだけで過分に聞き入ってしまうでしょう?」


 平等を主張する彼女はロージアという人間を熟知していた。訴えは受けてもいいが神国法の範疇で行う。もとより想定されていない死人の証言は認めない。法に基づけと言われればこちらは承諾するしかない。


「お父様、あなたも同じご意見ですか?」


 青ざめたまま立ち尽くしている父に問うとホールには沈黙が満ちた。しばし考え巡らしたのちオストートゲは「ああ」と頷く。


「お前のたわごとが言いがかりだとわからせてやる。いつ裁判を執り行うかは大神官に一任しよう」


 父は不敵に口角を上げた。彼らの安心材料は何を置いてもセイフェーティンを支配しているという一事にあるのだろう。代書人や下手人が甦って証言台に立たない限り敗北など有り得ないとぎらつく眼光が語っている。


「──それでは」


 陣形が整ったことを確信し、ロージアは壇上の王女を見上げた。

 枯葉の色の目と目が合う。本題はここからだ。


「エレクシアラ・ペテラス・ルオシム王女殿下。あなたにお願いできますか? アークレイ家を訴える原告となることを」


 大広間はまたもやどよめきに包まれる。なぜわざわざ彼女を指名するのかと貴族たちは不思議そうに瞬きした。


「先程申し上げたでしょう。ペテラスはより善き者に統治されるべきであると。エリクサール王太子殿下がリリーエを信じるならわたくしにはエレクシアラ王女殿下がついていただきたいのですわ。

 そしてこの裁判の結果をもって真に玉座に相応しい者が誰なのか、ペテラの前に示してほしいのです」


 率直に継承順位見直しを求めるロージアにいよいよホールは騒然となった。アークレイ家が裁判にかけられるだけでも一大事なのに世継ぎ問題まで絡み、さすがにそれはと慌てる者が増えてくる。


「ロッ、ロージア! そなたなんの権限があって余の継承権を──」


 ちょうどよくエリクサールが詰め寄ってきたのでロージアは激しい旋風で身を包んだ。王太子を弾き返し、シャンデリアの火を吹き消し、薄暗くなった大広間に大きく声を響かせる。


「わたくしは今ペテラの代理人として神託を告げているのです!」


 辺りはしんと静まり返った。「で、ですが」「しかし」とまだ何か言いたげな貴族のためにロージアは神官服に着替え直す。青緑のラインが入った清楚な白のワンピース。一瞬にして装いを変えたこちらに皆ごくりと息を飲んだ。


「資格があると思うなら守り抜けばいいだけのこと。そのための機会は与えているはずです。アークレイ家は裁判で勝てばいいのだし、王太子は果たすべき役目を果たせば何も奪われはしません」


 ロージアはきっぱり言いきる。この神託は一方的なものではないと。

 ただ考え直すだけなのだ。被害者と加害者を。治める者と治められる者を。


「エレクシアラ王女殿下。あなたはわたくしに代わってアークレイ家を訴えてくださいますか?」


 黙って経緯を見守っていたエレクシアラが背を正す。

 重々しく、しかし暗くはない声で王女は己の意志を告げた。


「お受けしましょう。わたくしがペテラの目に適うなら」


 エレクシアラはまっすぐにロージアを見、敬意を表してお辞儀する。

 美しい所作だった。王族が聖女の代理に向けるべき。


「不正を看過はいたしません。ペテラに誓い、罪ある者は正当に処罰します。神国を守る王族の一員として」


 了承は彼女が王太女を目指すことを示唆していた。

 いつも物陰に引っ込んでいる弱気な王女がどうしてと誰もがぽかんと口を開く。


「エリュピオン国王陛下、神殿裁判の開廷を大神官に依頼してくださいますね?」


 ロージアの問いに君主は目を泳がせた。ちらちらとオストートゲを見やった後、エリュピオンは「わ、わかった」としどろもどろに返答する。

 突き刺すような父の視線はセイフェーティンへと移された。合図に気づいて大神官がゆっくりと前へ出る。


「ペテラの加護を受けし者よ。今一度確認しておきたい。君に備わる神聖力はどのように授かったものなのだ?」

「セイフェーティン猊下。わたくしは死後ペテラの使いに会いました。そして託されたこの力で神国を守るように仰せつかったのです」

「ふむ。その一環として王太子の婚約者や姫たちの継承順位を見直そうと言うのだな?」

「その通りでございます」

「では次は裁判について問おう。今回告訴する者はエレクシアラ王女、される者はアークレイ家のオストートゲ公とリリーエで間違いないな?」

「ええ、そうです」

「更にこの裁判では被告原告それぞれに王太子と王女がついて王族としての力量を競うと」

「はい。一事を上手く処理する者は万事を上手く処理すると言います。資質は自ずと明らかになるでしょう」

「裁判で勝ったほうが継承権第一位になるということでいいのか?」

「いいえ、結果ではなく過程に注目するべきです。裁判当日、傍聴席に座った者たちに投票してもらうのはいかがですか? 次の王として相応しい知性と品性を有していると思ったほうに」

「なるほど」


 初めて説明を受けたような顔でセイフェーティンは厳かに頷く。公平を装いながら公爵家に味方するふりをするという複雑な演技をしつつ彼は更に細部を詰めた。


「訴えの内容は? 君は殺されたそうだが、正直ひと月近くも前の殺人事件を立証するのは難しいことだと思うが」

「わたくしは母の不貞の証拠だという恋文が公爵家により偽造された事実を証明できればと思います。父とリリーエは王太子の婚約者を()げ替えるためにわたくしを追放したのです。恋文が偽物だったと明らかになれば二人の悪事も十分追及できるでしょう」

「ふむ、わかった。では裁判前に必要なのは手紙の検証くらいだな。神託ならできるだけ急いだほうがいいだろう。開廷は三日後としよう」


 大神官の決めた日取りにオストートゲとリリーエがほくそ笑んだのが映る。三日後という設定は明確にロージアたちに不利だった。証拠集めの時間もなく、弁論を組み立てる猶予もない。あくまでも公爵家視点で見ればの話だが。


「三日後? いくらなんでも急なのでは?」

「通常の裁判とそう変わらない。証拠の提出に一日、検証のために更に一日、裁判員もその間に用意する。私は聖女ペテラへの敬虔な信心で決めたつもりだ。三日後の正午、王女殿下とペテラ神殿まで来てくれ」


 冷淡とも受け取れる声でセイフェーティンはてきぱきと指示を出す。有利な条件に安堵したか、父は「証拠品の恋文と筆跡鑑定に使える資料を出してくれ」という要望にもすんなりと頷いた。

 これでいい。後は法廷で勝つだけだ。


「お父様、リリーエ、それでは後日お会いしましょう」


 光り輝く薔薇の花弁で身を包み、ロージアは広間を去った。神秘的に消えたように見せかけたが実際は床下に潜り込んだだけだ。耳を澄ませばたくさんの声が地鳴りのように響いてくる。なんということになったのかと。

 もはやパーティーどころではない。音楽が再開されても踊る者はいなかった。いつまでもざわざわと空気は震えているだけだった。






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