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今生では普通のJKとして生きます!  作者: ミント


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8/15

昼休みに職員室に来い

 だけど、マキの怪我はそれからも続いた。


 夜にコンビニに買い物に行き、自転車とぶつかる。階段や段差では必ず転ぶ。腕や足に切り傷・かすり傷が増えてきて、さすがに心配になってきた。だけど当のマキは、というと「大丈夫だよ。心配しないで」と笑うばかりだ。それが逆に、私の不安を煽る。


 頭の中に浮かぶのは、星野ミコトの顔だ。困ったことがあったら助けを求めてほしい、という言葉が何度も反芻される。政彦に助けなんか求めない、と考えながらも私の目はふとマキの席に向く。

 マキが欠席である、という報せを聞いた時は目の前が真っ暗になった。担任の斉木先生は「ただの体調不良だそうだから」と言ってくれたけれど、ここ最近のマキの怪我を知ると心配になってしまう。LINEでマキにメッセージを送っても既読すらつかないのだ。


 私は不安のまま検索ページを開くと、「星野ミコト」の名前を打ち込む。フェイスブックやツイッターに加えて、現れたのは「スピリチュアルユーチューバー」という紹介とユーチューブの動画。チャンネル登録者数は数万人だ、それなりに人気はあるらしい。


『普段の生活でみるみる運気が上がる方法』

『星座別・性格診断とラッキーチャーム』


 そんなタイトルがつけられた動画はどれも一応、真面目なことを口にはしている。けれど全面に押し出されているのはそのイケメンぶりで、左手を使いやたらかっこつけて前髪をなおすその仕草はまるでホストみたいだ。けれど「星野さんのおかげでどんどん運気が上がりました」「長年の悩みが解決しました」というコメントを見ると、実際救われた人間も少なくはないらしい。私はスマホの画面を見たまま、考え込む。


 私の力でマキを助けることはできない。いや、助けることができるにしても能力を使ったせいでマキの私を見る目が変わってしまうかもしれない。あの時、一応「巫女」という不思議な力を使ってもおかしくない職業についていた時でさえ、たまたま村に流れ着いてきただけの茜の言葉に周りの人間の私を見る目は一変してしまった。現在の普通の女子高生である私がおかしな力を使ったら変に思われるに決まっている。最初のうちは感謝してくれるかもしれないが、きっと誰かに「変だ」と言われたら変だと思われるに決まっている。だったら。


「おい森野。休み時間だからって、授業前にそんなにスマホばっかり弄るんじゃない」


 頭上から降ってきた声に、はっとする。

 机の前で私を見下ろしているのは、斉木先生だった。今は国語の授業が始まろうとする数分前。教壇で授業開始の準備を進めていたところに、ずっとスマホを手にしていた私を見て注意しにきたらしい。


 斉木先生は国語の担任教師であると同時に、私やマキのクラスの担任でもある。年齢は星野ミコトよりちょっと上、二十代後半から三十代前半ぐらいだろうか。きりりとしたアーモンド型の瞳に、細い銀色のフレームの眼鏡。長い髪は後ろで一つに結び、さらにそれをコンドルクリップで留めている。すらっとしたスタイルにわりと整った顔立ちは美人と言えるのだけれど、無愛想なせいでちょっとばかり冷たく見えてしまうのが惜しい。まぁ、実際はなんだかんだ生徒に優しいツンデレ先生なんだけどね。


「森野、昼休みに職員室に来い」


 すいません、と謝った私に斉木先生はそう口にする。そんなに怒られることかな、と目をしばたかせるけれど斉木先生は特に怒っているようには見えない。思わず「昼休みですか?」と聞き返す私に斉木先生はさらに続ける。


「飯食ったあといつでもいいから、ちょっと来てくれ。こないだの漢字の小テストのやり直し、まだだったろ?」


 少しだけ声を潜めて話す斉木先生に、私は内心疑問を感じながらも頷く。漢字の小テストのやり直しで呼ばれたことなんて、これが初めてだ。私は国語が得意だし、ここ最近の小テストで悪い点を取った記憶もない。仮にあったとしても、そんなに急ぐことでもないしわざわざ昼休みにしなくてもいいよね? そんな風に頭の上でたくさんのはてなマークが浮かんだけれど、斉木先生はとにかく私との約束を取り付けたことに満足したらしい。そのまま何事もなかったかのように教壇へ戻ると、さっさと授業を初めてしまった。


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