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詩(短編)

誰も彼もが死んでいる

作者: 少々



「誰も彼もが死んでいる」と言われ振り向くと「そう思わないか権兵衛」ともう一度聞かれる。

 私は、何も答えられなかった。答えたくとも言葉に出来なかったのだ。一言――「そんなことはありませんよ」と言うだけのことが、これほどまでに重いのかと汗が流れた。

 打ち上げられた魚――いや魚ならばいとも簡単に言っただろう微笑んで。私は、魚ではないことを今日この日に理解したのだった。

 飼われた鯉――それほど綺麗な人間ではないが、人間にいいように刷り込められているのだ。手をかざされて喘ぐ鯉。悪戯にそうするように、そうしなければならないように、気付けば長い年を鯉として在った。


 それを憐れに思ったのだろう。今一度、聞かれた。


 ぱくぱく。


 私の口が鳴る。


 ぱくぱく。


 果たして、私は息をしているのだろうか――ぱくぱく。ぱくぱく。


 そうして、寂しそうな目を向けられて私は沈んでいった。

 


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