ただいまとおかえりのお話
いってきます。
いってらっしゃい。
ただいま。
おかえり。
声をかけて。
声が返ってくる。
それは当たり前のことで。
当たり前とか思うより、そういうものだと思っていた。
ただいま。
声が返ってこない。
自分以外、誰も居ない。
なら、声が返ってこないのも当たり前で。
当たり前だとわかってるけど、ちょっと、さみしい。
声が聞こえない静かな中に、玄関の扉を閉める音だけ響いた。
本を読んで、
ゲームをして、
音楽を聴いて、
勉強も、して。
集中できるときは何に取り組んでいても周りのことは気にならない。
でも今日は、自分以外居なくて。
静かな事が気になって、集中出来なかった。
気にならない時は気にならないんだけど。
ふと、気になってしまった。
今、自分は一人だってこと、それは、
今、自分は一人ぼっち何だってこと。
誰か、ただいま、と帰ってきたら、もう一人じゃない。
それまでの間だけの、短い時間の一人ぼっち。
それまでの間だけなのに、気になってしまったら。
ちょっとさみしい、と思った。
誰もいないし、と思ってごろんと横になる。
ぐるぐる頭の中を思いが巡る。
まだかな、早く帰ってこないかな。
大丈夫かな、何か困ったりしてないかな。
一体、今、何してるのかな。
「ただいまー」
帰ってきた。
一人ぼっちは、もうおしまい。
起き上がって玄関にいこう。
おかえり、って言うために。
この「ただいまとおかえりのお話」はサークル「ちーむ_しぷすくろっく」にshipu名義で出したお話CD「うちのNightcap Vol.5」(C95で出しました)の3トラックの内容とほぼ同内容となっております。




