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まだ

 

 O君が高校生の頃の出来事。


 その日は母親と家で二人きりだった。O君がトイレのドアをノックしたとき、それを母親に見とがめられた。


「O、どうしてノックしたの。私とあんたしか居ないんだから、誰も入っていないのは分かるでしょ」

「まあそうだけどさ。つい癖で」


 O君は家に一人でいるときも、電気が消えていても、ノックしてしまうのだった。それを聞いた母親は、


「やめた方がいいわよ」

「どうして」

「中からノックが返ってきたらどうするの」


 そんな馬鹿な、とO君は一笑に付した。


「まさか、そんなことがあったの?」


 からかい半分に聞いてみたが、母親の様子がおかしい。黙りこくっている。


 すると、どんどん! とトイレの中からものすごい音が響いてきて、それはまるで、「早く代われ」と急かすような調子だった。母親は、いきなりドアを叩き返したかと思うと、「まだダメだ!」と聞いたこともない怒号をあげた。しんと静まりかえって数秒後、「もういいよ」と母親は声を震わせた。


 O君はおっかなびっくりドアを開けて中を覗いたが、暗がりには何者の姿もなかった。






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