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エレベーター

 

 Uさんは現在、住み始めて半年になる古いアパートから引っ越そうと思っている。バイト終わりに、部屋がある6階まで階段で上がるのが辛くなってきたからだ。

 エレベーターがないわけではない。アパート全体の古さにしてみれば比較的きれいなエレベーターがついているのだが、そこでは、よく奇妙な現象が起きた。だからあまり使わないようにしていた。

 しかし最近になって、Uさんはついエレベーターに乗ってしまった。その日はいつにもましてバイトが辛く、とても階段を使う気にはなれなかったのだ。

 アパートまで帰ってきた時、エレベーターは1階にあった。Uさんはボタンを押して乗り込んだ。久しぶりに乗ってみれば、やはりなんともないエレベーターだ。そのまま6階、そして「閉」のボタンを押した。

 しかし、ドアはいっこうに閉る気配はない。何度「閉」ボタンを押しても、ドアは動かなかった。

 Uさんがいらだちを覚えてきたころ、けたたましいブザーが鳴り響いた。エレベーターの重量オーバーを知らせるアラームだった。

 Uさんは前につんのめるようにしてエレベーターから降りた。振り返ってみると、誰もいないエレベーターのドアが閉るところだった。

 いや、そうではない。

 自分が「閉」ボタンを押している間も、ぞろぞろとエレベーター内に入ってきていたのだ、と気付いた時、Uさんは引っ越しを決意したのだという。






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