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今日も下僕。  作者: こさじ
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 下僕。



 夜中、部屋にいると小さな物音に気づいた。

 いつもはその音が何か確かめに行くか行かないかと暫く悩むのだが、「今すぐに見に行かないと」と焦りとともにわき、見に行った。

 ガリガリ君が横たわっていた。

 最初は、湯たんぽ暑くなったのかと思ったが様子がおかしく、ぐったりしていた。また、トイレに行く途中だったのか後ろ脚が濡れ、絨毯も濡れていた。

 すぐに綺麗に拭いてやり、寝床に寝かせたが呼吸は荒く、光が当たっているにもかかわらず瞳孔が開いていた。寝る前まではエサを食べ、おやつを食べ、普段通りだったのに……。

 昨日、トイレ砂を買った。おしっこシートも買い込んだ。エサも買って、おやつも大量に買って、好きな鰹節も買った。まだだって思ってた。まだだって、まだまだ一緒にいてくれると思ってた。

 名前を呼ぶと大きく息をした。

 家族も起こしてみんなで撫でた。それぞれが特別な呼び方があって声を掛けると鳴いた。


 そして、二時間後、ガリガリ君は息をしなくなった。


 受け止められない気持ちで、まだ生きているような、呼吸をしているような、身体が動いたような、耳を押し当てて何度も確かめた。

 しかし、そのままにしているわけにもいかず、腐敗を防ぐためにガリガリ君の身体を冷やす。その間もお腹の当たりに耳をつけて「今、動いたよね?」と家族に聞いた。寝ているだけにしか見えなかった。



 朝、エサを求めて二階の階段前で待つ姿はなかった。ガリガリ君を入れた箱の中にはやっぱりガリガリ君がいた。

 死んでしまったのだと冷たい顔を撫でて名前を呼んだ。

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