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今日も下僕。  作者: こさじ
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 下僕。焦る



 先月の話なのですが…


 ご主人様の肛門様が痛そうに真っ赤に腫れていたのです。


 気付いたのは、座った状態のまま前足を使ってというかなんというか…床に擦り付けるようにお尻歩きをしていたのであります。


「……なにしてんの?」


 堪らず聞きました。ま、「あのさ〜」なんて答えてくれるはずもありませんから、まずオモチャで気を引き、後ろを向いた瞬間にお尻を観察すると――真っ赤か。


 でも、よく見ようとしても気になる箇所を触られたくないのか逃げてしまうので、抱っこして下僕一家を集合させて見てもらいました。


 そこで、「真っ赤になってる」「腫れてる」「黒い塊みたいなのがある」と意見を聞き、お尻歩きをしていないときの肛門様の状態はどうだったかと聞くと全員揃って「可愛いピンク!」でしたので、ググッて調べました。

 うちにあった猫の飼い方本には……載っていなかったので…ダメな本を買ってしまいましたね。


 で、調べた結果―


 『肛門嚢炎』


 その病気ではないだろうか。

 色んなサイトを見て、総じて書いてあったことがどうにも当て嵌まり、悪化すると肛門嚢が破裂してしまうらしい、と。


 肛門嚢とは、オスの猫がマーキングのときに噴射する液が入っているところで、普段は便と一緒に排出されるらしいのですが、運動不足であると肛門の筋肉が衰えてうまいこと液を出せない――というか、便秘気味とか下痢になるとか……


 で、ガリガリ君、最近、便はしていたけど一日おきや量の少ない便秘気味だったのですよ。


 でも、運動不足だったかな? と考えても思い至らず。水分不足かな? と思って水皿を増やし、でも、ふと見ればお尻歩きをし、目が合うと何かを訴えかけて来るので、次の日朝一で病院へ行きました。


 うん…正直、予防接種のときの大騒動を思い出し、ちょっとビクビクしながら待っていたのですが、思うところありまくりのガリガリ君は大人しかった。ええ、軽く挨拶代わりに威嚇はしておりましたが、素直に肛門を触らせておりました。


 その診察なのですが、最近の食欲、排便の様子、昨日は便をしたかどうかと答えながら、溜っているだろう液を絞ってもらったのですが、「あれ?貯まってない」と言われました。


 はて? 一体、原因は何か?


 わからなかったので、便をする度お風呂で尻を洗うか、液体のお薬を肛門にぷしゃっとかけるか、軟膏を塗るか、どうするかの三択で様子見となりました。

 ちなみに私が選んだのは軟膏です。御主人様はお風呂は大っ嫌いだし、薬ぷしゃっと!はイマイチそうだし、手で直に状態がわかる軟膏がいいかなぁ〜と思って。


 診察代・薬代――2600円を払い、家に帰ったのでありました。



 そうして、病院へ行ったことで少しほっとしたのか、ガリガリ君の表情も同じに見えたのですが、軟膏の出番は数回で終わりました。

 理由は、「軟膏SUGEEEE!」ではなく、かと言って悪化して別の薬になったということでもなく、原因が判ったからであります。

 運動不足でもない、水分不足でもない、肛門嚢に液が溜まりまくってたわけでもなく、“おやつ”のせいでした。

 いつもの鰹節が売り切れでなかったので、前々から気になってたものを試しに買ってみたんですよ。何を買ったか書くとアレなんで…気になる方はメッセージでも下さい。


 ま、個人差ならぬ猫差?


 その新しく買ったおやつを食べ始めてから便秘気味になったのは間違いなく、食べるのを止めたら肛門の状態が日を追うごとにみるみる、今までが嘘だったかのようにまあ可愛らしいピンク色を取り戻し、前と同じく鰹節にしたらモリモリ用を足すようになりました。


 いや〜、猫に「このおやついいんじゃない?」と聞くわけにもいかないけれど、飼い主の責任は重いなとつくづく思い直しました。

 また、最初に与えたおやつが原因となったヤツじゃなくて良かった……とほっと胸を撫で下ろしました。



 最後に、お尻歩きについて調ていて驚いたのは、『その姿を可愛く思う飼い主もいる』ってところ。それを目にしてマジかよ⁉ と同じ飼い主として正直疑いましたよ。


 だって、私の目には『異常』にしか映らなかったもん。


 猫を飼うのが初心者?でも、どうしたんだろう、大丈夫だろうか、と思う様ですから、いつもとは違う行動また繰り返す不思議な行動には、絶対意味がある。


 今では、飼い主に似るっていうからねなんて、笑顔で「あー焦った」と思い出して言えますけども、現在進行形でお尻歩きしている猫さんを飼われ、更には「面白いことしてる〜可愛い〜」などど下衆な考えを持ってのんきにして放置している飼い主さんがいたら、



 早く、病院に連れて行ってあげてよ!



 と声を大にして伝えたい。

 あなたの猫さん、訴えかけて来てはいませんか?



 以上でした。 

 やっと一月ほど経って、「もう大丈夫なんだな」と安心出来るようになりましたし、あのガリガリ君がこちらを見上げる目は忘れることは出来ません。

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