9、異常なほどの十人十色●
うん、こやつらやはり特技が称号に関わってるような気がするなぁ。
まず園田は数学が大得意である。
全国模試でも順位は数学のみ恒常一桁、しかも数学オリンピックでは小学生で優勝を飾っている。ちなみに奴は将来プログラマーになりたいそうだ。やはり栄養は身長ではなく脳のみにいったかと思われる。
次に蓮は演劇部の部長(1年生だけど)で、演劇部を彼女の力で全国へ連れてったのだ。その演技力は並の俳優を超えている。泣く演技も彼女ならコンマ数秒でいける。
将来の夢はたから◯か歌劇団に入ることらしい。すごく向いていると思う。男役ばかりだとは思うが・・・
「なんだか今一瞬だけすごく腹が立ちましたねー」
蓮さんや、目が笑ってないよ。あとハイライトのない目でこっち見るのやめてください。ものすごく怖いですから。
勇馬はすぐに目を背けた。彼女と目を合わせたくありません。
「ところで、なんだか勇馬くんが好きそうな情報があるのですが聞きます?」
なんだろうか?ついに蓮男装開始!!とか? ・・・いやもうやってるな。
「違いますよ。クラスメイトの称号についてですよ。細かなステータスは見れませんでしたがスキルも少しは見れましたよ。いります、その情報?」
「センキュー、蓮!!」
そりゃあ、いるに決まってんだろ!それでクラスメイトをどう利よ・・・もといクラスメイトと連繋して行動するか考えやすくなるな!
俺は蓮の手をとって頼み込む。後ろから恋するショタの罵詈雑言が聞こえるが俺と蓮は気にしないこととする。最も精神のみ女の子の人は本気で気がついていないらしい。・・・園田、無念なり!
「で、どんなんだったんだ?」
「強そうだった人を先に言いますね。まず天翔くんが・・・」
「あっ、あいつだけ覚えてるから他のやつの教えてくれ」
なんでか、あいつのだけ妙に覚えてんだよなぁー。不思議なくらいに。
やっぱ、勇者だからかなぁ。つーか、勇者ってチートだと思いまーす。
「そうですか。ではまず愛坂さんが【賢者】を、次に後藤くんが【守護者】を」
愛坂 優奈は学年の中でも屈指の美女(他はアゲハ、あと本人は気がついていないが男の娘)である。黒い髪を三つ編みで結び、黒縁の眼鏡を掛けている。本人はあまり外見のことを気にしていないのか、全体的にボサッとした印象を受ける。
ただし、恋愛には無縁な人生を送っている。それというのも常に読書している途中で「ひひひひひひ・・・」とか笑っている真性のオタク。しかも、男子同士が仲良くしてるだけでニマニマと笑顔を浮かべるあたり普通じゃない。俺、彼女に写真あげるときあるけど俺は無関係。普通です。
そして賢者は情報収集に長けた称号だ。
スキルとしては【鑑定】、【探知】の二つである。説明はショートカット。わかるでしょ。わからんかったら、質問してくださいな。
一方、後藤 将太は地味な名前とは裏腹に髪は黄色に染め、耳にピアスを付けている。なんだかいけてる風を装っている感じの方です。
ただし、顔はブサイクなのでなんというか・・・雰囲気イケメンというやつだ。
守護者は天翔が持っていた【障壁】、あれのみに集中した称号だ。その代わり、防御力がえげつない。また、多少の攻撃の神法を持つので、持久戦に長けた称号だろうとのこと。
「ちなみに小波さんは【聖女】でした」
・・・それ、ちなみにじゃなくね?
なんか【聖女】ってご大層な感じがするんだが・・・。
小波 ほのかは一言で言えば『天翔のちみっこ彼女』としか言えない。クルクルカールの黒髪と可愛らしい顔立ちを持っており、クラスのマスコットのような存在だ。
天翔とは元々幼馴染みで、天翔が告白したことで付き合うことになったらしい。
そんな感じなのに【聖女】・・・?どちらかというと【マスコットキャラクター】とかじゃないの?
【聖女】は予想どおり回復に長けております。攻撃の神法は光属性のものを持っているのでだいぶ強い。
・・・いいなぁ~。
「・・・最後に木暮くんが・・・【魔を纏いし者】となってましたよ・・・」
木暮・・・あいつはどこまで行くつもりなのだろうか・・・?
木暮 紅夜は俗に言う“厨ニ病患者”と言うやつだ。普通にしてりゃ黒髪の俺様系イケメンなのに眼帯やら腕に包帯やら怪しげなチェーンやらいろんなもんを付けている残念な方だ。
しかも素で「我が邪眼が疼く・・・」とか「貴様ら・・・死にたいのか?」とか「黒炎より貴様らを駆逐してくれるわ!!!」とか言う残念な方だ。
そんな感じなのに見た目いいし、運動神経は俺や天翔と並ぶくらい良かったり、外国語覚えまくってたりのハイスペックさである。まさに才能の無駄遣いここに極まり。
ただし勉強はできず。(厨二英語、漢字は除く)
そんなあいつが【魔を纏いし者】とかぴったりすぎて腹が痛くなる。
ちなみにこの称号についてはイミスなどに聞いても、知らぬ存ぜぬを繰り返していたそうだ。どうやらユニークな称号らしい。
さらに言えば木暮はステータスを見て、ニヤリとしたそうな。あいつらしいっちゃあいつらしい。
そして改めて思う。
「うちのクラスまともな方いる?」
「「「いない!!!」」」
「だよなぁ~」
俺の密かな疑問に対して強い否定が帰ってきた。
俺たち三人のみならずクラス全体が問題であることがよく分かりました。