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異世界で無双してもコンプレックスは直らない件  作者: 製造物
四章、無法侵入する帝国編
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77、宴会ってサバイバルだ!!

「「「「「「『『かんぱーい!!!』』」」」」」」


 泊めてもらった家で俺たちは宴会みたいなものを開いていた。


 ここ、実はあのヒキガエルの家。めちゃくちゃでかい。縦にも横にもリーラの家の軽く十数倍くらい。めっちゃでかい。あの野郎、あの見た目のくせしてこんなところに住んでたのか・・・。


 しかも3階建の地下室完備。生活を快適にする神具もいくつかある。どんだけ?


 それはともかく、ここを貸してもらえたのはあのヒキガエルが色々やりすぎていた為監獄にシュートされていたからだ。そのため、ここの村の恩人である俺たちの宿泊場所にしてもらえたわけである。


 さらにいえば地下から奴隷が出るわ出るわ。だいたいが死臭が出ている裸体の女性や薬物漬けにされてぶっ壊れている男など。幸いだったのが地下にいたエルフが全員無事だったことぐらいか。ほかに無事だった人々はいない。


 どうやらこのエルフたち、リシャーナに引っ付いていたスパイ的な奴らだったらしい。それでリシャーナたちが騒ぎを起こしたのが予想外で戸惑っていたら彼に捕まったのだとか。


 それにしても・・・気に入らねぇな。


 これが当たり前なのが帝国、この辺りの平民たちでさえ同情を覚える程度でそのルール自体は当たり前と思っている始末。


 勇馬は宴会をしながらも険しい顔で思考を巡らせていた。


 するとドスンと勇馬が座るソファに何かが沈む音がした。おそらく誰かが乱暴に座ったのだろう。


 そう思って横に目をやる。


「ユゥーマ?呑んでるぅー?お酒足りてるぅ〜?」

「・・・へ?」


 そこにあったのは銀の輝き。ただし顔だけは激しく真っ赤である。口調が変わってるけど大丈夫か!!?


 どうなっているんだ!!?と周りを見渡す。


「ユーマぁ!!私はぁ!!いつか君を打ち倒すぅ!!」

「イエイイエイ乾杯すよ!!ランさん!!」

『オッケェ〜。お酌よろしくぅー』

『・・・全員が酔ってますね』

「嘘だろ!!?」


 明日、一応この辺りで物資補充ですよ!!?あと最近エルフの生真面目なイメージがぶっ壊れつつあるのは俺だけなのか!!?お酒呑んでいいんですか!!?


『勘違いしていらっしゃるようですが・・・一番酒を嗜むのはエルフですよ』

「まじで!!??巨人あたりじゃないの!??」

『あれもなかなかですが・・・それよりもエルフですね』


 訂正、完全に俺の中のエルフはぶっ壊れた。


 あとラン!!お前まだ一応産まれてから8ヶ月程度だろ!!?お酒呑んで大丈夫なんですか!!??


 この場において冷静なのは勇馬と賢者の書のみ。その他全員は元エルフの奴隷すらもどんちゃん騒ぎだ。そのレベルはあの日のお見送りの時よりも5倍くらい大きい。


 ・・・みんなお酒弱すぎない?


 ランはクラッカーがわりに爆破神法を放ちまくりヒスリアはグラスを手で砕きながらの泣上戸、その他エルフどもはどんちゃん騒ぎ、リシャーナに関しては・・・


「ユーマぁ?どこ行こうとしてるのぉ?私ともうちょっと遊ぼうよぉ〜」

「ちょっ!?ひっつきすぎなんだが!??」

「ユーマが引っ付いてオッケェって前に言ってたじゃぁん」

「そんなことは言ってねぇええ!!!あくまで一緒にいるって言っただけだ!!」

「いいじゃん、いいじゃん。男なら膝枕ぐらいしなさぁーい」

「え!?マジで寝た!??嘘だろ、ここで寝るの!??しかも握力が半端ない!??」


 勇馬、強引なリシャーナにタジタジ。結果、めちゃくちゃ純系女子に見えるという事件が起こる。


 リシャーナは勇馬の膝枕を堪能。逃がすつもりはないようでソファと勇馬の脚を掴むことで勇馬を固定している。


 ここぞとばかりに金縛りの呪いに俺かかってます!!?と言わんばかりに勇馬の動きが阻害される。めちゃくちゃ身体が重い。


 幸いなことに他の人々に見られている気配はないが・・・それでも恥ずかしいものである。


 勇馬が“技”を駆使して逃げようとする。しかし、


「・・・お父さん、なんでぇ」


 その声が勇馬の動きを止めた。


 きっと今、彼女は昔の惨状を思い出しているのだろう。顔が強張っていた。


 手に掴まれている足が少しだけ悲鳴をあげた。


 どれほど辛かったのだろうか。勇馬には想像することすらできはしない。


 できることは今一緒にいることだけだろう。


 それが彼女の恐怖を少しでも和らげられるのならば・・・それで十分だと思えた。


 勇馬は今、脚をつかんでいる彼女の手にそっと手を重ねた。


 安心したのか強張っていた顔に笑みがともり、足を握る手から力が抜けた。


「一緒にいるって約束したもんな」


 勇馬は微笑を浮かべ、彼女の髪を撫でた。


 もう逃げることもできるが、もうそんなことをしようとすら思えない。


 勇馬は足に感じる温もりとともに意識をそっと落とした。


 ............................................................................


 〜リシャーナ〜


「ーーー!!」

「・・・ーーー!ーー、ーーー!!」


 どうやら今日の朝のアラームはまたもやユーマとヒスリアの喧嘩のようだ。


 それにしてはなんだかいつもよりも激しいような気がするような。


 なんだか嫌な予感を感じながら私は目を開ける。


 すると、目の前にユーマの顔が見えた。


 ・・・あれ?おかしくない?


 そういえば昨日ってお酒呑んでからどうしたっけ?覚えてないような・・・。


 思考が乱れる中、耳に正確な情報が加わる。


「なぜ貴様が姫さまを膝枕をしているのだぁあああああ!!!!」

「誤解だ!!俺からやったわけじゃない!!!」

「感想はどうなんだぁあああ!!!!??」

「すごくありがたいです!!!」

「それが貴様の最期の温もりだぁあああああ!!!」

「馬鹿野郎!!室内で精霊神法使うな!!!」


 ・・・ん?


 待って?


 ・・・膝枕?


 ・・・


 ・・・・・・


 ・・・・・・・・・!!!


 私もしかして、


「今ユーマに膝枕されてるぅうううううううううううう!!!???」


 その声は村中に響いた。


 この日、そこらの村人はこう言ったという。


【剣姫】とその連れ、酒飲ませるべからず


 と。

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