73、外道は浄化される
本日ラストです!!
“血の盟約”を終えた後、メラは早速リシャーナを王として認めた。
ちなみにその方法とは『リシャーナ・チューズ・ヴァレンティアをエルフの王とする!!』と言うだけ。・・・それだけなら渋らなくても良かったのでは?というツッコミはご遠慮いただきたい。
あとメラのことは仲間にこそしたもののあの図体でランのように連れて行けるはずもなくこの辺りとエルフの国の守護をあいつの仕事にした。
エルフの国はここからだいぶ離れているのだがメラ曰く『あちらには分体がいるので何かがあればすぐにわかる』とのこと。・・・分体って便利だね。やっぱりコイツ食べようかな?
そう思っているとメラが『我が力がお望みとあらば君の力になるも我が本望でございます!!』などと言い出し、俺に魔石を取り出すようにしてきたので蹴り上げてストップした。ここまで従順になると気持ち悪い。
さて、これでリシャーナ達の目的は果たされた。あとは国に帰るだけ。だいぶ楽な仕事そうだな。そう思ってたのだが・・・
エルフ全員がもれなく目を泳がせた。
勇馬、ラン、賢者の書、メラ、ジト目開始!!
「『『『ジーッ』』』」
「「「「・・・(プイッ)」」」」
回り込むようにしてジト目ったが、総員華麗な回転を見せた。どうやらどこまでも無視を続けるようだ。
しゃあない、こうなると・・・
「【読し「ストォップッ!!!」・・・なんだ?」
ロケット弾のように勇馬の口にペケ字拳を繰り出すリシャーナ。めちゃくちゃ必死であり、正直可愛かった。
まあ、こうなるのは分かりきっていましたがね。【読心】様はどうやら脅しにも有効のようです。
「実は・・・」
そこら辺のコケを見ながら彼女はしどろもどろと語り始めた。
まず、行く途中に人間に変装する道具をうっかり全員が使い忘れていた。
さらに見つかったのがよりにもよって帝国の兵士。
そんなわけで、ただ今帝国で追われている身です。
多分変装しても入る前にいつもより厳重な確認があると思われます。
結果、ごめんなさい。
総員、見事な土下座を決めた。・・・なんだかエルフはジャパニーズサムライの気質を感じる。
「まあ、過ぎちまったことは仕方がないんだが・・・お前らってそんなコメディ感あったけ?特にヒステリック」
「僕の名前はヒスリアだ!・・・いや、別に僕が悪いというわけではないんだが・・・」
「「「嘘つけ!」」」
「・・・君が嘘をつくようなエルフだとは思っていなかったよ、ヒスリア」
「ちょっ!?姫!!?涙ながらに嘘つくのやめてもらえます!!!?やってもいないのに罪悪感覚えるじゃないですか!!?」
・・・なんだかコイツらともだいぶ馴染めてきたような気がする。こんなにコイツらやかましくなかったもの。
「それで?理由は最終的に?」
「うむ、珍しい蝶々を見つけてね。それでとまっていた宿からついつい変装道具を付けずに出て行ってほかのエルフは止めようとして慌てて出てきてそれでバレたというわけだね」
「・・・さらっと白状したな、リシャーナ」
しかも理由がランみたいな感じだな、おい。
「し、仕方がないじゃないか。だって全長100メートルぐらいの光輝く蝶々だよ」
「それもう蝶々じゃなくてモス○だろ」
確か東京タワーを始めてぶっ壊した人類の味方、それを思い出した。
・・・この世界にいるのか。というかそれなら某怪獣や某エビやら蜘蛛やらヘビやらもいるのかな・・・いや蜘蛛はいたな。ずっと小さかったけど。
偉大だな、GO○IRAは。
まあ、それはともかく。なんとなく彼女に特撮大好きの血が湧き上がったことでバレてしまったことは理解した。
だがしかし!!
「なんで野郎どもは全力で止めなかったんだ!!?」
「「「悪いの我々!!?」」」
思いもよらなかった責任転換に皆様が驚いている。
「そりゃあそうだろ!!世間知らずのお嬢様の行動を引き止めることなんざ普通の・・・あのなんで俺はよりにもよってリシャーナさんにナイフを突きつけられてるんですか?」
「さあ?なんでだろうね?」
勇馬の首元に銀色の光が反射していた。少女の髪の毛ではない。ナイフの剣尖である。・・・俺悪いことした?
まあ、別に痛くはないんだが・・・気分は良くない。
「まあ、過ぎちまったことを責めても仕方がないな。そんじゃ、まず入る方法は・・・まあ、簡単か」
「待ってくれ。なんで一瞬、貴様はニヤリと下賤な笑みを浮かべたのだ?」
俺、そんなことしてませんがな。考えてることも普通ですよ?
『『『・・・』』』
【念話】、もしくは【読心】をできる1匹と1冊と1龍は沈黙した。彼らの主はすでにどこかがおかしい。
「それで、・・・どんな作戦なんだい?」
リシャーナが訝しむように俺を見ながら質問する。・・・どんだけ俺信用ないの?
「あのなぁ、俺はせいぜい門番を【魅了】していうことを聞かさせる傀儡にしようとしてるだけでだな。別におかしいことをしようとしているわけではないんですよ。そのはずなのになんでやれやれと言いたげな目線を向けてくるんですか?」
「おかしいからだよ」
「おかしいからだ」
『おかしいからだよー』
『おかしいからです』
『おかしいからに決まっておろう、君よ』
ここにきての俺に対する変人肯定、なぜだ!!?
やっとナイフが首元を離れる。代わりに俺の肩にぽんとリシャーナの白い手が置かれた。
「まあ、あの、人・・・おかしいところは一つや二つあるさ」
「やめろぉおおおおおおお!!!!!!」
凄まじいほどの慈悲の顔。
それに悶え苦しむ外道。
深淵はここにあった。




