71、なんて頑固なんだ!!?
もうすこしで四章前半終了です!!
いやー、思ったよりも長引いている
〜リシャーナ〜
『何をしにきた。自然に愛されし子らよ』
勇馬と別れてから数分後の話である。
対面する深緑の龍、それは巨大な大樹と融合していた。いや、その龍はその辺りの木々全てを支配している。
大樹の枝は全て龍の顎へと変貌しており、巨大な顎が紅の眼光を発生させながらリシャーナの眼前へと近づく。
リシャーナは息を飲む。これが自分たちエルフを大昔から守り続けた守護者。自分たちが崇拝すべき存在。
「我らが主よ。大いなる真龍よ。私の力を持って私を王と認めてくださいまし」
短く、それでいてこれ以上ないほどに込められた願い。白銀の瞳に強い願望が込められていた。
『・・・断る』
彼女は瞬時にその言葉の意味を理解出来なかった。かつてエルフの王になれなかったものはおらず、今回も認められると思っていたからだ。
「う、嘘ですよね!!?メラタリア様!!?」
『嘘などではない。我らは嘘をつかない』
白い顔を青く染めながらリシャーナは改めて確認を行う。しかし、その言葉は撤回されなかった。
「な、なぜ!!?」
冷や汗が滝のように吹き出ていた。
嫌な予感が肌を荒くする。
それでも聞かずにはいられない。一筋の希望を求め、リシャーナは声を荒げながら叫んだ。
『貴様が禁忌を破ったからだ』
「!!?」
バレている。ユーマとともにいたことを。
エルフが人間を嫌悪しているのは何もお互いの性質を嫌っているだけではない。
エルフが信仰している龍が人間を嫌っているのだ。
エルフが信仰する龍は例外なく樹真龍である。
樹真龍は人間を嫌う。自然を破壊し、森を侵害していく人間。
それと僅かにではあるが接触し、共にいたことを樹真龍は許しはしない。
「ですが!!我々はあの者をあくまでも利用していただけで!!」
『黙れ!!!貴様があの人間に負以外の感情を持っていたのを知っているぞ!!我は!!』
「ーーーっ!!」
確かに一緒に旅している間にあの人間を信頼するようになっていた。
見た目は清楚で美しく、それでいて優しさもあり、相手との駆け引きを忘れない。
そんな人間を頼っていた。いつのまにか近くにいることで安心を覚えていた。
普通ではありえない心境だ。自分にあってはならない感情。エルフとしては封印せねばならない感情。
それでも、あの破天荒な人間を嫌うことはできなかった。
だが自身のそのような迷いによって、種族を救えなくなることはとても耐え難い。
その時、
「真龍様よ!!我々はあの人間を敵視すべき存在とは思えません!!」
「ヒスリア!!?貴方は何を!!!?」
勇馬を最も敵視していた男、ヒスリア。その男が今、勇馬を庇っていた。
その事実にリシャーナは驚きを隠せなかった。
「姫さまはよろしいのですか!!?あの者は我々と・・・エルフと人間を結ぶ架け橋へとなり得ます!!今、我々に必要な力を得られる可能性があるのです!!!」
ヒスリアが必死になって勇馬に秘められた可能性を語った。それでもなお、真龍は敵意を振り撒いていた。
「真龍メラタリアよ、あの者は貴方様が嫌悪する人間ではございません。あの者は種族の垣根を超越します。ですから・・・」
『許さぬ。人間ごときを認めるわけにはいかぬ』
そして、完全に拒絶するように幾多も存在する顎から緑に収束された光がエルフ達の目を焼いた。
『貴様等などこの山の灰になるがよい』
そうして放たれた数十もの光線。真龍のブレスであった。
エルフを包囲し、確実に殺すように放たれた神力は、
「よし、間に合った」
その声とともに霧散した。
『・・・貴様か、我が子達を汚したのは』
「ああん?すまんが俺にはその覚えがない。頭でっかち」
『シショー!!この龍、なかなか焼きがいがありそうだよ!!!』
『・・・本当にランは手遅れのようですね』
相手は災害レベル、それにもかかわらず不敵な笑顔と呑気な会話を交える影。
リシャーナはその影の名前を呼んだ。
「ユーマ!!!?」
「おうリシャーナ、無事みてぇで何よりだ。ヒスリアも・・・くたばっとけばよかったのに」
「聞こえているぞ!!貴様!!!」
銀のサーベルを手に握り、白いコートをたなびかせるその少年は顔だけをこちらに向け、サーベルを肩に置いた。
そして、再度振り返り、
「さて、俺の大事な女に手をよくも出してくれたな」
『・・・貴様、我に刃向かうと言うのか?』
「は?刃向かう?そんなご大層なもんじゃねぇよ」
カラカラ笑いながらも目だけは鋭く真龍を睨んでいた。
そして、彼は言った。
「テメェが邪魔だからぶっ飛ばす、それだけだ」
『・・・よかろう、弱者の意地を我に見せてみよ』
怪物と災害、二つの殺気がそこに充満した。




