70、おかしなおかしな日常を盛り付けて
こうして、しばらくの時が経った。・・・だいたい一週間ぐらいであったが。
ただし勇馬やリシャーナ、ランに賢者の書、さらにはヒスリアまで巻き込んだ騒ぎは他のエルフを呆然とさせた。
ある時は、
「貴様!!なぜ魔石を食べているのだ!!?死にたいのか!!!?」
「いや、これが俺の日頃からの食事だし・・・というかリシャーナ、これ美味いな。リーラと甲乙つけがたいな」
「ふふふ、ありがとう。そういって貰えると嬉しいよ。ところで・・・リーラって何者だい?」
「ん?俺の友達の彼女。【料理の極み】持ってやがるから美味しいんだ、あいつの料理」
「・・・ふーん、そうかい、そうかい」
「な、なんだか姫から黒いものが出ているんだが・・・姫はあんな呪いを使えたか?」
「いや、使えなかったはずだ。ユーマ、早く気付け!!」
「あいつらなにコソコソと話したんだ?・・・あのー、リシャーナさん?地味に俺の飯を取ってもらうのやめてもらえます?」
「ん?何か問題でも?」
「・・・いえ、なんでもございません」
『リシャーナさん、おかわりー!!』
「いいよ、今ユーマから奪い取ったご飯をあげよう。あ、ユーマ。ほかの人にご飯をくれるように交渉するのは禁止だよ」
「・・・了解」
こんな風にご飯中に混沌が落ちたりやら。
また別のときには、
「まて!貴様、なぜ身体から雷が出ているんだ!!?」
「ん?【雷撃攻撃】使ってるだけなんだが?」
「・・・属性攻撃系統のスキルって確か魔獣だけしか使えないはずなのだが・・・私の記憶違いだったのかな?」
「そうなのか?まあ、俺は魔獣からスキルをもらっただけだからな」
「・・・それはだけでは無いと思うし、さらっといっていいことでもないと思うのだが・・・」
「まじでか、俺いままでこれを隠したことないぞ?」
「「「隠せよ!!」」」
と勇馬の天然な発言にわちゃわちゃしたり。
「ふざけんな!!?なんでテメェが俺が作った飯を食ったんだよ!!!アレはリシャーナに食ってもらおうと思ってたのに!!!」
「ふん!!姫さまに変なものを食わされては困るのでな!!!毒味という奴だ!!」
「そのくせ全部食ったんじゃねーか!!!?これもはや毒味ってレベルじゃねぇんだよ!!!」
「ふん、とにかく貴様に下げる首などない!!!」
「「ああぁん!!?」」
「やると言うのか!!?」
「上等だ!!?」
「「死ねぇえええええええ!!!!!」」
「君等は何をやっているんだぁあああ!!?」
「姫さまって鈍感だよな」
「ヒスリア様が可哀想ですね」
『だねぇ』
『ですねぇ』
「もう、ラン様や賢者の書様ごときでは驚けませんね」
「俺なんざついに【驚愕耐性】なんていうスキルを手に入れたぞ!!」
「「「「「「「「「「俺も!!」」」」」」」」」」
『大変だねぇ。兵士さんって』
『・・・大変なのはマスターと関わった者かと』
と兵士さんが遠い目をしながら2人の漢と鈍感系女子を見ていたり。
と、とりあえず色々あったわけでございました。
ところでなのだが・・・
「なんであんたら国から出てきたの?」
という疑問があるのだが。
「いや、ユーマはとっくにわかっているだろう。【読心】で」
そう、たしかにやろうと思えばやれる。だがしかし、
「流石に【読心】ってやりすぎるとあんまり相手に信用されないようになるからな。使いたくはないんだよ。あのときは最低限の情報しか持ってなかったし、実際には国の情報も全く知らん。だから、教えて欲しいんだけど」
「・・・というかさらっと今、脅しの内容を嘘って言ったね、ユーマ」
「うん、そうだけど。まあ、知ろうと思えば知れるからあながちウソじゃない、とだけ言っておく」
情報の収集はたしかに便利ではあるがむやみにやりすぎると本当に嫌われるので注意!ぼっちの方は特にね!!
「はあ、そうかい。それじゃあ言わせてもらうよ」
少し短い嘆息を吐いてからリシャーナは説明を始めた。
「我々が信仰する真龍様に私を王として認めてもらわねばならないのだ」
「それで、兵士たちはわかるが・・・なんでリシャーナもついてきてるんだ?」
別に兵士に言って貰えばいいと思うのだが・・・と勇馬が考えていると、
「その真龍は次の王を見て王と決定するからな。そうでなければその真龍の許可をもらえないんだ」
「龍のくせにすごく生真面目なやつだな・・・名前は?」
「樹真龍メラタリア、推定ランクはAだ」
「推定?」
なんでたしかなランクがついていないのか?勇馬は不思議に思った。
「普通の人間が侵入する前に滅されるからな。そこまで辿り着けないのだよ」
「ああ〜、なるほど」
たしかに冒険者がそれに対面できないとランクはわからないからな。それを考えると納得した。
「で、これからそいつに会いに行くってわけか」
「そうだな。それでユーマにはメラタリアに会っている間、待っていてもらいたい」
「いいけど・・・どこにいるんだそいつ?」
目の前には谷しか見えませんがな。
「そこにある峡谷の狭間にいられる。ユーマには峡谷を降りる直前のところで待っていてもらいたい」
・・・目の前かよ。
「・・・案外近かったな」
「君が聞くのが遅かっただけだ。ユーマ」
そう言いながらクスリと笑うリシャーナ。
最初の頃よりも少しだが打ち解けられているように思えた。
そして、俺の隣に1人のエルフを置いて峡谷を降りるようだ。もちろんエルフを置いているのは俺が逃げないか確認するためです。
「それでは行ってくるよ」
「おう、行ってら」
こうして俺たちは一時、別れた。
だが数分後、思わないような理由で勇馬とリシャーナは再開する事になるのだった。




