7、ダチもダチでおかしいと思う●
・・・ここはどこだろうか?
全くもって記憶がない。
少しずつ思い出そうかな。
「ここはちっせぇ休憩室で、他のやろー供は城ん中歩きまわってるよ。ところでてめぇ、変な現実とーひすんな」
なんのことだか?
ワタシニハキオクガアリマセンヨ。
「いや、ぜってーあんだろ。ふざけてねーで、はよ戻れって。ユーマ」
俺に対してこう呼びかけたのは俺の数少ない友達であり、唯一の男友達である園田 ルーカスだ。
日本人とイギリス人のハーフである美少年だ。そのため髪の毛はふわりとしていて柔らかそうな亜麻色の髪、目は蒼く、純粋無垢な眼光が輝いている。生意気な性格とは違って。
さて、こいつは中学校に入るまでにイギリスにいたためか、たまに変なことを抜かしてくることがある。まさに今のようにだ。
「変なこと抜かしてんのはてめぇだ、見た目でせーべつ決定したヤローが(笑)」
「トリャャァァぁぁぁ!!!」
「ホイッと。危ねぇなドアホ」
「つーかお前も見た目おかしいだろぉが!」
プチっと何かが切れる音がした。
「何いうんだてめぇ!? べっつに近所のおばさんたちに『園田ちゃん』って呼ばれてないからな!?」
そう!こいつは見た目が明らかにショタに見える高校生なのだ!まぁ、おかしなことを言ってくれたのだ。やり返す権利は俺にある!
「ヘ~~そう呼ばれてるんだ~~。みんなにバラそっかなぁ~~?」
「やめろぉぉぉぉ!! なんてひでー真似しようとしてくれてんだよ!? もしんなことやったらてめぇの今年告白された回数(男子やお姉様と呼んでくる女子の)、みんなにバラすぞ!?」
な、なんて最低なことをしようとしやがるんだ!?
「御二方、やめましょう。はたから見るとひどく醜いですから」
口喧嘩から実力行使に移動しようとした俺たちを宥めたのは佐々宮 蓮。ルックスは明らかにイケメンだ。漆黒の光を反射させるきちんとまとめられた髪に見たものを安心させるような目。性格は非常に優しいため女子から大人気!
俺の数少ない友達でもある。
こいつのいうことには納得できる。 しかし・・・園田は許せん。
と、言うわけで
「「黙っとけ、イケメン女!!!」」
もしくは見た目交換しろヤァぁぁぁ!!!!
「泣いてもいいですか、その暴言に?」
ちなみにこいつの見た目は非常にイケメンだが、中身は心優しい女の子です。
「勇馬くん起き・・・何、この殺伐とした雰囲気は?」
そう言って登場されたのは俺の最後の友達、七海アゲハであり、俺たちの中で唯一性別、年齢とあった容姿、そして最も普通に近い思考(一部例外)を持っている美女である。
ショートカットされている黒髪は細くしなやかで唯一赤い、花のピンが紅一点と咲き誇る。クリリンとして真ん丸な黒瞳。多少毒舌だが他の男子からはむしろいいという評価を受けている。(そんな男子は基本的にハアハア言っているが)
そして俺たちの(変な揉め事を起こした時の)まとめ役でもある。
「2人ともとりあえず喧嘩は止めて!」
「「えーーーーーーーー」」
「止まれ! 理性のないガキか!?」
・・・シーーン
その瞬間、虫すらも声をひそめた。
アゲハさんの顔を今、見ないことをオススメする。顔自体は笑顔なんだけど、纏う雰囲気が恐ろしく怖いんです。
「というか2人ともレンちゃんに謝って」
「ゴメンな、レン」
園田がそう言った。俺?もちろん言わない。
「あとレンちゃんも端っこでシクシク泣かないの。男らしくないよ?」
「うん、分かった・・・なぜ今いきなりディスられたんだろうか? 私は男ではないのだけれど・・・」
「・・・なんのことだろうねー?」
騙そうとすんな、アゲハ。俺たちに見た目の話はタブーなのだ!
勇馬はとりあえず雰囲気にのってアゲハさんにしてやる。
「・・・さっきまでお互い見た目のことでディスりあってたのに?」
しかしそれを見事なカウンターで返す、アゲハさん。
なんのことだか?というかこれ以上話しても時間食うだけ。だから、みんないこーぜ。
「「「謝ってないくせに逃げようとすんな、称号に女ってあったヤローが!!!」」」
「その話はすんなぁああああああああ!!!!」
あまりもの言葉の神のブローに勇馬は叫ぶ!
そんな悲痛な断末魔のような叫びが休憩室どころか王都全域に木霊した。