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異世界で無双してもコンプレックスは直らない件  作者: 製造物
三章、始めの街的なところ編
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42、まるで悪女のような主人公(男)

『 歩こー歩こー、ボクラは元気ー。』

「・・・」


 このなんだか懐かしいような、とある面で危険なような歌を歌うのはランであった。


 勇馬はすごく突っ込みたかった。


 「なんでお前が知ってんの!?」的な感じで。


 ただ、なんだか突っ込んだら負けのような気がするので突っ込まない。突っ込むものか!


『マスター、目的地が見えましたよ』


 手に持っていた賢者の書に新たな文字が浮かぶ。俺はそれに答える。


「ああ、そうだな」


 俺は少しだけ嬉しかった。ついに人々との生活を送れるのだと。血の色生活を送らずに済むのだと。


 着いたら久しぶりに普通の飯と布団と人を殴る感触を味わいたい。特に布団は大切。洞窟は床が硬かったからな。


 ・・・え?なんか変なのがあった?なんもないけど?


 勇馬、そのままスルー。そして


「村が見えたぞ、ラン」

『わぁあい、楽しみだねシショー!』

「ああ、そうだな」


 自身の愛弟子であるランに呼びかけた。すると子供らしい声が返ってくる。あまりにも可愛らしいので少しモフモフした。


 その村まではあと10分もかからなそうだな。


 そんなこと思いながら、俺は全速力で目的地まで走った。すなわちラストスパートだ。


......................................................................


 ・・・結果2分で着いた。


 こんな無駄なところで成長が感じられる。


 到着したその村は少し大きめの柵で囲まれているが、その柵自体は簡単に侵入出来そうな高さだ。


 目測せいぜい4、5m辺りか?どちらにせよ低すぎる。ジャンプ軽く一発だ。


 これ意味あります?もしかしたら空中に何か罠があるかも?


 そういうわけで正当な方法で入ることにしよう。


 門はどこかなぁ?早く普通のライフを~。


 ぐーるぐる


 柵に沿うようにして歩いていく。走んのはやめとく。


 のんびりいきましょうや。




 15分後、門が


「『あったぁあ!』」


 俺たち2人の声が響く。


 でも門番さんがおられるな。軽装だけど強いかなぁ?とりあえず後で賢者の書にあいつらのステータスおしえてもらお。


「そこのお前!」


 ん?俺のことかな?


「俺ですか?」

「?ああ、そうだ。ここでは見ない顔だな。何者だ?」


 ・・・ヤベェ。


 その辺りの設定考えてなかった。どうすればいいですか、賢者の書!


 バッ!と賢者の書を開ける。


 すると、


『【魅了】すればなんの問題もございません』


 とのこと。


 なんで?


 あれって襲いかかってくるだけじゃん。まさか人目のないところまで連れて行って気絶させろと?


『暴力的な発想ですね』


 家の奴らよりかはマシだと思う。


『その【魅了】はあくまですごく強い威力で発動した時のみです。普通なら相手に言うことを聞かせるレベルです』


 え?そなの?


 まじかよ、今まで使っておけばよかったよ。残念。


『えげつない発想ですね』


 ・・・ほっとけ。


 それじゃとりあえずやってくる門番たちに【魅了】(弱)を使いますか。




 結果成功だがなんだか男としての尊厳が低くなったように思えた。


 だって、門を開けさせた後に「食事行かない?」とか「きれいだね」などと野郎どもに言われるんだぞ!


 ・・・正直、鳥肌たつんだが。


『まあ、結果オーライというやつです』


 ・・・お前後で覚えとけよ。


 俺は密かに一冊の本を恨んだ。

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