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神1、神はポンコツ、世は乱れる

 これは勇馬が2度目の人生を進み始めた後のとあるズボラ邪神のお話。


 そこは黒色の神殿、外ではここのことは“黒の神殿”と呼ばれ、神が住むと言われ、人々はそこに向かって毎日祈りの言葉を紡ぐ。


 事実、そこには神は住んでいる。しかし、それは人々が崇拝するような神は住んでいない。


 その事実を人々は知らない。


 だが知らない方が幸せだろう。


 なぜなら、


「おーい、ヨルムンガンドォー、いるかー?」


 そこにはダメ親父のように大仏ポーズをしながら尻をぽりぽりと掻いている()がいたからだ。


 あらためてご紹介頂こう。目の前の黒髪ボサボサロング、無精髭の楽園、全身から気怠げーというオーラを纏っている者こそこの世の神。名をロキ、創造神に次ぐこの世の頂点の2柱のうちが1人にして全ての魔の支配者。


 すなわち邪神と呼ばれる存在がダラダラと堕落しているのだから。


「いますが・・・少しは働いてください、ロキ様」


 また、こちらは邪神の右腕にしてこの世に8人ほどいる魔王が1人、そして全ての龍族、そして魔王の頂点に立つ者、名をヨルムンガンドと言った。


 その満月のような光を発する金髪は王者としての風格を彷彿とさせる。


 その紅い眼光に睨まれるだけで人々の恐怖を喚起させる。


 その顔を見れば冷徹という言葉の真の意味を誰もが理解するだろう。


 本来、そのはずなのだが・・・


 彼女の髪の毛は本来のストレートヘアの見る影もないようなボサボサ髪に!


 紅い目の下には凄く黒いくまが!


 クールな表情のはずの顔は凄く眠そうな感じに!


 さらにいえば服装はしわくちゃな白黒のゴスロリだった!


 正直、どちらかといえば徹夜明けの漫画家的な感じだった!


「こちらは今まで徹夜を176年81日21時間55分49.8517秒間ぶっ通しで行なっていて、凄く眠いのですが・・・」


 普通の人間なら過労死するレベルの仕事地獄。今彼女が眠そうにしているのは我々の予想を遥かに超える眠気が彼女に襲いかかっていたから!こんなところで彼女は魔王の1柱の実力を見せつけた。


「そんだけ覚えてんなら大丈夫、問題ない。限界ならそんなに正常に脳は働いてない。あと5000年は余裕でいけんだろ」

「私を過労死させる気か!?この鬼畜!」

「・・・そんなしょぼいもんじゃねぇんだがな」


 ・・・邪神=マジ鬼畜、この方程式は成り立つようだ。


「つーかさ、お前いい加減ゴスロリ脱がねぇのか?正直不潔じゃね?」

「あんたが私に一生脱げない呪いがかかってるゴスロリなんざ着させるからだろ!!あと毎日汚物は消毒してるから大丈夫です!」

「・・・そうか」


 なんだか真面目な感じでボケている部下に少し違和感を感じたが、まあいい。放っておこう。


「というか、部下から聞いたのですが・・・最近、()()誰かを転生させたようですね、ロキ様?」


 笑顔で凄く威圧してくる部下に邪神は冷や汗をかいた。ちなみにその部下の眼は全くもって笑っていない。「このクソ野郎!」と雄弁に語っている。


「その反応は本当のようですね?・・・はぁ、また余計な仕事が増える」

「お疲れさん\(^-^ )」

「あんたのせいだよ!仕事しろ!」


 そう言いながらウインドウを開き、その転生者の名前を確認するヨルムンガンド、どうやら真面目な性格は捨てられないようだ。


 その名前を見つけると、ヨルムンガンドはすごーく目を見開いた。邪神は掠れた口笛を吹いている。


「あんた、何やらかしてくれてんだぁああああああああああああああんたはぁああああああああ!!!!!!???」

「うるせぇええええ!!!」


 あまりのうるささにほぼ寝かけていた邪神がキレる。


「創造神から殺すように依頼されてたこの人間をなんであんたは生き返らせてんだよ!!!??ふざけてんのか!?あんたの脳は飾りなのか!!??」


 沸点を思いっきりぶっちぎった部下、ついに上司に罵詈雑言を吐く。


 それに対して邪神は、


「え?面白そうじゃん?」


 逆になんで?みたいな感じで返答。それが部下の逆鱗を撫でた。


「いっつもあんたはそればっかだよ!?下界に基本的に危害を加えられないっていうのに!?どうするんですか!?あんぐらいの強さじゃあ“ヘル”とか“フェンリル”に倒して貰うように頼むのも無理ですよ!!??あいつら肉体バカ医者と脳筋ですから!創造神様にはどうやって説明するつもりですか!?」


 ちなみにこの言葉なんとヨルムンガンドは1秒も超えず言い終えた。今のヨルムンガンドなら早口言葉選手権で優勝できるだろう。


「いや、ほっとけばいいじゃん?」


 また邪神、逆鱗に触れました。というか逆鱗殴ったという方がいいのだろうか?そんぐらいヨルムンガンドは顔を真っ赤にさせてプルプルしている。


「まあ、創造神にバレても知らぬ存ぜぬで貫くから大丈夫だ」

「・・・そうなんですか?まあ、創造神様にバレても私はロキ様のせいであると言いますから問題ないですが・・・」


 そうしてヨルムンガンドはまた目をウインドウに向ける。すると・・・


「・・・ロキ様?」


 今までの憤慨ではなく、ブリザードのように冷たい一言が放たれた。


「・・・何?」


 今度こそ邪神は凄くビビってる。さっきまではなんだかんだで許してもらえる感じだったが、今度はヤバイ。絶対ヤバイ。


「・・・なんでこの男を『【聖石】及び【魔石】の取り込み可』にしてるんですか?」

「・・・・・・え!?マジで!?」


 邪神、慌ててその男に関するウインドウを開け、その肉体性質を確認する。すると・・・


 書いてある。ヤバイ。これ、チートじゃん。


 『【聖石】及び【魔石】の取り込み可』、この性質を持っているのもはそれらを食べることでその食べた物の力を手に入れることができる。すなわちチートだ。


 邪神、困惑する。


「・・・とりあえず、ロキ様。五発ほど全力でぶん殴っていいですか?」

「いやだ!俺、まだ死にたくない!!」


 醜い戦いが勃発した。


 ちなみにそのウインドウに書いてある名前は・・・黒輝 勇馬、この世界においてイレギュラーな存在だった。


 ちなみにこの後邪神の行為はとある龍様に休日3日を与えることでことなきことを得た。

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