39、ただいま!天国!
『ただいま、シショー!』
「お帰り!ラン!」
こちらに向かって歩んできたランを両手で抱きしめる。・・・ふっわふわですごく気持ちいい。
俺は今、懐かしの洞窟へと帰ってきている。最早ここ以上に暮らしやすいところはないかなぁって感じだよな。
正直イソギンチャクの部屋は風通しが悪いので洗濯物が乾きにくく、また寝るときも蒸し暑くて寝れない。すなわち暮らしにくい。
それにこの森って昔はハードだろ!?とか思ってたんだけど今じゃ天国。獲物も仕留めやすいので楽チン楽チン。
ちなみに今ランの弟子入りを認めてから一週間が経った。
その間、ランが俺のことを女と言ってきて発勁をしたのもいい思い出だし、賢者の書を鍋敷きがわりに使ったのもいい思い出。狼を蹴り一発で倒したのもいい思い出だ。
決してランが少し過去を振り返ると死んだ魚のような目をしていることは無いし、賢者の書が黙っていることもない。
ちなみにランは神法特化型の魔獣だったようだ。こちらのステータスを見てほしい。
ラン ♂ Lv.7
【種族】
カーディナル・レッド・ファング
【ステータス】
HP 115/130
SP 34/50
MP 3400/3400
AP 10
GP 470
MGP 2200
FP 87
【称号】
賢者、神法士、火創士、水創士、風創士、土創士、魔獣を殲滅せし者
【スキル】
鑑定、読心、探知、言語理解、MP上昇、MP回復、火神法Lv.3、水神法Lv.2、風神法Lv.2、土神法Lv.2、魔獣殺法
・・・どうよこれ?
俺師匠としての立場ないんだけど?
実際に指導したのは賢者の書だし、俺はそれをランに言ってただけなんだよなぁ。
賢者の書が有能なのはわかるんだけど正直俺の立場がマジでない。
今のところランを模擬戦で叩き潰せるものの・・・いつ抜かれるかわかったもんじゃない。
勇馬は深ーい、深い溜息を吐いた。
『シショー?何か悩んでるの?大丈夫?』
「大丈夫だ。全部ぶっ飛んだ!」
ランの悲しそうな顔だけで思考が吹き飛んだよ。ランは本当に可愛いなぁ。
ついでにナデナデする。
『・・・マスター、少し宜しいでしょうか?』
? なんだ?
『マスターの成長率が著しく低いように思えます。もうそろそろ狩りの中心地を変更するべきです』
あー。・・・やっぱり?ここ天国なんだけどなぁ~。
『ですがマスターの目的は強くなることにあるはずです。それを考えるとやはり本拠地を変更する必要があるかと』
もうゴリラじゃあレベル上がりもしないしなぁ。最近レベルが全く上がらないしな。ここじゃ限界か。
『ですね』
しゃあない。それじゃあそろそろここを出るか。
もうここを出ることはできる。【ダンジョン転移】はこのダンジョンの移動が便利になる他、この森から出る術でもあるのだ。
このスキルがないとこの森からは出ることはなかなか難しい。他の方法として【探知】が有効的で、賢者の1人や2人いないと出れはしない。
・・・本気で勇者パーティーならすぐやれんじゃね?
とはいえもう俺がクリアしたからダンジョン入っても意味ないけどな。
にしてもこの森には嫌な思い出も多いがいい思い出も多いな。もうそれら全てを思い出したらくどいし、長くなるので割愛するが・・・。
まあ、ランを連れて外に出ようか。ランを連れて行くのは決定事項です。可愛いもの。
『魔獣ですがね』
それでも、だ!それにランは可愛いのでみんな許してくれるよ!賢者の書に『親バカみたいですね』と書かれているような気がするが気にしないこととする。
この時俺はこの森では俺に敵うものはいないと慢心していた。だからこそ片手が埋まるのに賢者の書を取り出していたのだ。
まるでそれを咎めるかの様に、理不尽な存在というものは現れるのだった。




