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31、3つの試練

 松明に照らされた道を歩いているとたどり着いたのは湖のほとりだった。


 てっきり迷宮だと思っていた俺は色んな意味で呆気に取られる。迷宮じゃないのかよ!とか、綺麗だなぁーとか、ところで帰ってよろしいですか?とか。


『やっと、キタァアアアア!!!!』


 そんな時、勇馬の頭の中に奇声と間違えてしまいそうな幼女らしい声が響いた。


「な!?なんだ!!?」


 俺は心底から驚く。


 俺は声の主を探す。だが、周りには人影はいない。


『ちなみにですが私はそこにはいませんし、この世にもいません。なので、ついさっきの私のセリフで驚いたのならこう言わせて貰います。ざまぁみやがれ!』


 ぶちり


 俺の頭の中で何かがキレる。コイツ、この世にいればよかったのに。


『にしてもよくここまでついたねー。この“エルリスト大迷宮”の下位層を突破してここにたどり着いたねぇ。普通の人間ならここまで辿り着けないと思うんだけど』


 あ、迷宮なのね。安心したわ。


 つーか、うちの勇者様達ならすぐさま踏破できると思うけど?


 アンタ、ここに自信持ちすぎでしょ。


 ていうか、あの森のことは下位層って言うのか・・・。


『それにここに繋がる扉は普通の人間には見えないようにしてるんだよ。ある程度の強さを下位層で示した者だけがここに来れる仕組みになってるわけさ』


 ほうほう、なるほど。だからあの扉が途中で見えるようになったわけか。


 ・・・良かった。俺の目が節穴ではなかったのか。


『特にゴリラっぽいやつはなかなか強いと思うよー。あいつCランク基準で作ったし』


 へぇー。俺はもう単体でCランクを倒せるようになったのか・・・。強くなったんだな。


 目から涙が溢れる。


 でも、そだったら尚更勇者どもは速攻でクリアできると思う。


『さてと、あまり長話はしていたらダメかな?そろそろこの迷宮のクリア方法を話そうじゃないか』


 やっとかよ。遅すぎなんだが・・・。


 のんびり話しすぎですよ。


『改めて自己紹介を。ボクはここの支配者だった者、アリス・ワークハイムさ。称号は【賢者の極み】を持っているのさ。どうぞヨロシクね(*´∀`)♪。あと、年齢は女の子の秘密だよぉー。知ろうとしていたなら、エッチだよぉー』


 ・・・なんで頭の中に顔文字が浮かぶんだよ。色々めちゃくちゃだな。性格も能力も。


 多分コレ【念話】で頭の中に情報を伝えてきてるんだろうな。でも俺が使う念話とはだいぶ別物になっている。


 俺が使ってもここまで鮮明に声は届かないし、声色なんか無い機械音みたいに聞こえてくる。


 だが、この【念話】はところどころにあるアクセントも理解でき、声色さえもきっちりとわかる。さらに言えば顔文字さえも相手の頭に浮かべさせられる。


 流石は【賢者の極み】を持っていることはある。


 極み、そうつく称号はなんらかの技術を文字通り、極めたもののことを言うらしい。


 Lv.10へとなっただけでは辿り着けない極地。それが極み。


 生前の実力の一旦を見せつけられた。そんな気分だ。


 ただし、テメェの年なんざ知りたくねぇ。


『さて、一応言っとくけどもうここからは出れないからね。そこんとこヨロシクー』


 後ろを見るとそこには何もない空間が広がっていた。・・・なんかこいつしれっと実力見せてくんな。


『さあ、ここを出るためには条件があるのだよ。それはここを含む3つの試練をクリアすること!どうぞ頑張れー!』


 目の前に神法式(魔法陣)が広がる。深緑の色に一瞬心を奪われたが、その後すぐにそこから現れたものに驚く。


 海蛇、言い表すにはこれだけで足りる。


 だが、前の大蛇とは話が違う。ステージが全く違う。


『第1の試練はそいつ、コール・カスケードが相手だよー。ガンバー』


 呑気な声が聞こえれば、海蛇の咆哮も聞こえた。

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