23、準備は大切です
おーおー。大成功だー。こりゃあ良い。周りのやつらの大まかな位置がわかるわ。
さっきから俺が言っているのは【念話】の新たな使い方に関してだ。いわゆるGPSみたいな使い方をしているのだ。
【念話】には2つのタイプがある。
一つ目は相手を指定して行なう場合。これは相手がだいぶ遠くにいても念話を行うことができる。ただし、相手も念話の了承をしなければならない。クラスメイトには使っていたが、ここではまず使えない。
次に一定範囲で念話を行うタイプだ。これは相手が了承しなくても使えるが、そのぶん範囲は狭いし、これをすると情報過多で疲れてしまうことがある。さらに言えばほぼ雑音的なものしか聞こえず、元々の役目を全く果たしていない。
今回はその後者を使ったのだ。そうすることで念話が聴こえればいち早く逃げることで強そうなモンスターどもから逃げることができる。
勇馬は簡略版の探知を手に入れた!
こうして遭難1日目は食料集めに集中できた。おかげで木の実が大量に手に入った。これで計画をさらに確実なものにできる。
ちなみに俺は今本拠地を以前発見した洞窟にしている。あの洞窟は程よいくらいに狭く、後ろの壁も厚いので少なからず後ろから突破されるということはないだろう。そのかわり退路もないということだが、それに関しては対策が既にある。
それじゃ行くか。
そう思いながら木の枝を飛んで行く。
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採集を終え、本拠地に戻って来た勇馬。そこからは強烈な匂いが漂っていた。
「うん。【念話】での反応もないし、あの実の効果は抜群みたいだな」
やっぱりこの匂いの原因はこの男である。
あのあと洞窟でぐっすりと休んだのだが、寝ている間に襲われていなかったことを不思議に感じた勇馬はあるものを見つけたのだ。
チガの実・・・毒が大量に含まれており、その皮を剥けば強烈な匂いが辺り一面に広がると同時に胞子のような種子を大量に散布する。その散布される匂いが動物を遠ざけることから“おはらいの実”とも呼ばれる。
この実が生える木々がなんとたまたま洞窟の周りに生えまくっていたのだ。逃走していた時に感じた匂いもこれだったようだ。
万能味覚、恐ろしい子!と思った以上にチガの実、恐ろしい子!と心の中の俺が呟いた。このおかげで明らかに俺よりも強い魔獣が襲って来にくくなるのだ。まさしくチガの実様様である。
そんな訳で小さな洞窟の入り口にチガの実から出る果汁を塗ることで洞窟の前に疑似結界(ショボくて笑ける)を作ったわけだ。
これで特訓するための場所も作れた。しばらくは食料に困ることもない。(肉ないけども)
水に関しては洞窟内に湧き水が見つかった。なので問題はない。
あとはここで強くなるだけだ。今の俺ではまずここの魔獣には勝てない。
だからこそ、俺の数少ない戦闘スキルである【剣術】と【闘術】を鍛えなければならない。だが、なかなか難しそうである。
なんたって、これらのスキル約1カ月間アルベルトさんと一緒に鍛え上げたのだが、レベルがひとつも上がっていないのだ。4のままである。
ちなみに自分のステータスならば「ステータス、オープン!!」といえば簡単に見れます。
話は戻るけど、アルベルトさんが体術系のスキルは鍛え上げるのすごくたいへんって言っていたのも分かるよ。
みんなは神法のレベルが1、2ぐらいは上がっていたのに・・・。勇者なんざ最低でも4上がってたのにな。
・・・結構俺って不幸なのかなぁー。
まあ、いじいじしていても仕方がないので、とりあえず鍛えるか。
とはいえ、アルベルトさんがいない以上こちらの剣術でレベルを上げようとしても無理だろう。
この世界で体術系のスキルのレベルを上げるには型をしっかりとしなければならない。
アルベルトさんがいた時は型が間違っていれば指摘して貰えたが、もういない。
よって、それならば俺がよく知っている剣道の型を行えば良いのではないだろうか。闘術の方は空手とキックボクシングで練習すればいいかな?ありがたいことに俺は武道をなかなか鍛え上げている。
何年もかかるかもしれない。でもやるしかない。この森では(おそらく)俺が戦闘能力が一番低いのだから。
そしていずれアゲハ達と肩を並べられるように。
よく思えば剣を北村から盗まれていたのでがないはずだったのだが、ありがたいことにあのクソ邪神からアイテムボックスの中に良さげな剣がプレゼントされていた。
黒い西洋風の両刃剣だった。簡素なデザインで目立つ装飾はなく、それなりの重さがあった。
他には特に増えても減ってもいなかった。元々入っていた制服とかも入っている。
ちなみに今の俺の服装はコート、必要最低限のところを守っているプロテクター、長ズボン、それをとめるためのベルトとなっている。これらはゴブリンとの戦闘の際に手に入れたものだ。
材料は集まった。
それでは始めよう。
俺を変えるための訓練を。




